Source:https://news.yahoo.co.jp/articles/2abbb714274d1d37e4ebb9545f9a08eeefa916cf
熊本で地震、関東地方の豪雨、ネパールの土石流やタイのバンコクの洪水氾濫と、国内外で大災害が相次ぎました。今年の夏は今後の防災を考え直す重要な契機として記憶されそうな気がします。
本コラムで取り上げたい事項も多いのですが、まずは私自身が以前に住んでいた横須賀の崖崩れに着目します。台風25号では印旛沼(千葉県)の堤防決壊が注目されていますが、神奈川県でも多くの被害がありました。そして、その一つの横須賀の崖崩れでは、亡くなった女性の家族が2年前から対策を行政に要望していたにもかかわらず、今回の災害に至ってしまったと報道されています。
さまざまな災害の中で、防ぐことができた災害ほど悔しいものはありません。今回の事例が本当に防ぐことができた災害なのかどうかはわかりませんが、危険性を認識できていたのであれば、事前対策や早期避難など、何かしらの対処ができたような気がします。
横須賀市によると、事前の対策が実施できなかった理由の一つは斜面が民有地であったことです。擁壁設置などの対策には費用が発生します。また、もし公費を投入できる何らかの制度が適用できても、所有者の協力は不可欠です。
つまり、がけ崩れなどの災害に関して、土地の所有者の果たすべき役割は非常に大きいといえます。しかし、土地の所有者にとって、費用を負担して十分な安全対策を行うことは大変です。実際、どの程度までの安全を確保する責任があるのか、判断が難しいことがほとんどだろうと思います。
私は土地持ちじゃないから関係ない、と思う人も多いかもしれません。しかし、日本では年間100万件を超える相続が発生しており、「負」動産と呼ばれるような管理に手のかかる土地を相続している人が数多くいます。さらにいえば、兄弟姉妹等での共有名義で相続している場合も多く、対策などについて所有者として協力しようとしたときに、合意を得るだけで大変な苦労が必要となる場合もあります。
土地の登記制度の見直しもされていますが、まだまだ実効的に機能しているとは言えません。この状態では民有地に起因する災害が増加していくと考えられ、民有地の災害リスクをどうすべきか、真剣に考えるべき時に来ていると思います。
(関西大学社会安全学部教授、一井康二=いちい・こうじ)
関西大学社会安全学部の教員による防災に関するコラムを掲載します。
0 件のコメント:
コメントを投稿