Source:https://news.yahoo.co.jp/articles/0562a82ed6e0255c13ab2ce88f6ef8ec469cabc3
猛暑や豪雨など、極端な気象が世界各地で相次いでいる。こうした現象と地球温暖化の関係を、科学はどこまで明らかにしているのか。AERA 2026年10月5日号より。
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欧州では6月に40度を超す熱波が襲来、ネパールでは8月に死者1300人以上、行方不明者5千人以上を数えた土石流と洪水が発生、国内でも8月の千葉豪雨に続き、9月の連休も台風25号による洪水被害が各地で発生するなど、異常気象が相次ぐ。
地球温暖化は、まるで黙示録の様相を示しているようだ。だが、まずは科学の声に耳を傾けてみよう。
■降雪から降水への変化
温暖化の科学的な基盤である国連気候変動に関する政府間パネル(IPCC)は、2014年の第5次評価報告書(AR5)まで「個別現象を温暖化の影響と断定するのは困難」というスタンスだった。だが、23年のAR6では、個々の現象についても人為的影響を指摘するようになった。
「温暖化がある現在の世界」と「温暖化がない仮想の世界」をコンピューター上で再現し、個々の異常気象に温暖化がどの程度影響を与えたかを定量的に評価する「イベントアトリビューション」という手法が発達したためだ。データの蓄積とともに、実際に起きた気象災害に対する温暖化の寄与度を測る精度とスピードは飛躍的に上がっている。
国際研究グループ「ワールド・ウェザー・アトリビューション」(WWA)は、6月の西ヨーロッパの熱波は、記録的な熱波だった50年前の1976年の気候では「事実上発生不可能」で、大規模熱波があった03年と比べても昼間は約10倍、夜は100倍以上の発生確率だったと発表した。
ネパールでの壊滅的な土石流については、温暖化による永久凍土の融解や氷河の後退、降雪から降水への変化などが、ヒマラヤ地域での災害の発生確率と深刻度を高めているとの見解を示した。
■2.6度上昇の見込み
日本国内の研究チーム「極端気象アトリビューションセンター」のリサーチフェローである北海道大学大学院地球環境科学研究院の佐藤友徳教授は9月25日、8月中旬から9月上旬にかけて全国各地で発生した6件の大雨について、温暖化がなかった場合との発生確率を比較した分析結果を公表。8月13日の千葉については、48時間降水量200ミリ超となった大雨の確率が、約2.3倍に増加していたという。
また同センターによると、7月中旬以降に西日本を中心に発生した記録的高温の発生確率は、約0.006%という1万年以上に1度しかない出来事で、「地球温暖化がなければ起こり得なかった」と結論づけた。
気象災害は、IPCCの予測通りに増えている。スイスの再保険会社「スイス・リー」によると、世界の自然災害による保険損失は、数十年にわたって年平均5~7%のペースで増加。気象庁によると、国内で、大雨の原因となる線状降水帯は今年、9月7日までに計21回発生した。25年の年間17回、24年の21回を上回るペースだ。日本損害保険協会によると、自然災害の保険金支払いの上位10件のうち7件は14年以降に発生している。
国連環境計画(UNEP)は9月、数年以内に産業革命前からの気温上昇が世界目標である1.5度を超える見込みだと発表した。最も楽観的なシナリオでも約1.8度で、このままでは2.6度程度になる可能性が高いという。
今後の心配は、いつ不可逆的なティッピングポイント(臨界点)を超えるかだ。
国際的な研究チームによる「グローバル・ティッピング・ポイント報告書2025」によると、サンゴ礁の死滅やグリーンランドの氷床崩壊などはすでに臨界点を超えるか、超え始めており、回復するのはほぼ不可能だという。
アマゾン熱帯雨林の乾燥化や北極圏の永久凍土の大規模な融解も臨界点に達するリスクが高まっている。臨界点は、一つ超えるとほかも「ドミノ効果」によって連鎖的に超える危険性がある。科学者にとっては気が休まらない日々が続く。
(環境ジャーナリスト・石井徹)
※AERA 2026年10月5日号
石井徹

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