Source:https://news.yahoo.co.jp/articles/e45bd401e4fdd8b577d84f92dfe1e3a0775500d2
【北京=三塚聖平、モスクワ=小野田雄一】中国やロシアが「ワクチン外交」を強化させている。中国はアジアやアフリカの発展途上国を中心とした計52カ国・地域を対象に、新型コロナウイルスのワクチンを無償提供する計画を表明。ロシアは国産ワクチンの高い有効性が確認されたことを追い風にしたい考え。いずれもワクチン確保に苦しむ国々への影響力拡大につなげる思惑があるとみられる。 【イラストでみる】PM2.5と新型コロナウイルス感染の関係 中国外務省の汪文斌(おう・ぶんひん)報道官は1日の記者会見で、中国による無償提供の第1弾となるワクチンがパキスタンに到着したと発表した。同国の他にブルネイやネパール、フィリピン、ミャンマー、ジンバブエなど計14カ国・地域に順次提供するほか、第2陣として38カ国に提供する計画だという。 3日には、ワクチンを共同購入して途上国にも分配する国際的枠組み「COVAX(コバックス)」を通じて1千万回分を提供することを決めたと発表。中国共産党機関紙、人民日報系の環球時報は5日付で、注射器などワクチン接種に必要な物資の提供も行う可能性を伝えた。 個別の国に対する無償提供は条件の有無など透明性が低いことから、中国が途上国へのワクチン提供を通じて政治的な影響力を高めているとの見方がある。国際枠組みであるコバックスへの関与姿勢を同時に示すことで、そうした批判をかわす狙いもうかがわれる。 一方、中国国内では国産ワクチンの信頼を揺るがしかねない事件も起きている。国営新華社通信によると、中国の警察当局は今月1日までに3千本余りの新型コロナワクチンの偽造品を押収し、製造・販売した疑いで80人以上を逮捕した。昨年9月から注射器に生理食塩水を入れたものを高値で販売していたという。 環球時報(英語版)は、容疑者らがワクチン偽造品の海外輸出をもくろんでいたとも伝えた。汪氏は2日の記者会見で「中国政府は、ワクチンの安全を保障することを高度に重視し、引き続きワクチン関連犯罪を厳しく取り締まる」と強調した。国産ワクチンの安全性への懸念が高まることに神経をとがらせている様子をうかがわせた。 一方、ロシアが開発したワクチン「スプートニクV」を導入する国も拡大している。開発と販売に携わる露直接投資基金(RDIF)によると、4日までに旧ソ連諸国のほか、中南米や中東の新興国など、ロシアを除く17カ国・地域が承認した。RDIF側は2日、承認国が近く「約25カ国」になるとの見通しを示した。 英医学誌ランセット(電子版)は2日、スプートニクVの有効性が「91・6%と確認された」との論文を掲載。スプートニクVは昨年8月、最終段階の臨床試験(治験)前に国内承認され、効果や安全性に懸念が示されていた。 インドも、摩擦を抱える中国への対抗を念頭にワクチン外交を展開。インド政府の3日の発表によると、ミャンマーやバングラデシュなど7カ国へのワクチンの無償提供を決めている。
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