Source:https://news.yahoo.co.jp/articles/2f968f2dd0d5cc2ab1e34d4f8aed2aac580b4b9d
2度目の緊急事態宣言のなか、ワクチン導入の時期について政府の説明は二転三転し、一向に予定が見えない。そうしているうちに中国製ワクチンが流入しようとしていた! ⇒【写真】SNS上で中国製ワクチンの販売を謳う業者とのやりとり
「日本にも輸出は可能だ」謎の業者の言葉は本当か!?
新型コロナウイルスの感染拡大に歯止めがかからぬなか、「救世主」として期待されるのがワクチンだ。 厚労省は昨年末、一般国民へのワクチン接種開始について「4月以降」としていた。 だが、1月に入って「5月下旬から6月上旬」と延び、さらに20日には田村憲久厚労相が「年内までに(米ファイザーから)供給を受ける」と、供給時期について後ろ倒しになる可能性を示唆した。 アメリカではすでに1000万人が、イギリスでも400万人がワクチン接種を受けているが、日本では接種開始の見通しさえはっきりとしないのだ。 そんななか、いつ順番が回ってくるかわからない公的ワクチンにしびれを切らすかのように“独自ルート”で接種を受ける動きがひそかに広がりつつある。
既に富裕層や永田町では出回っている!?
≪水面下で出回る中国ワクチン 富裕層から永田町へ?≫ そんな見出しが躍ったのは、元日の『毎日新聞』web版。中国人コンサルタントによって日本に持ち込まれた国内未承認の中国シノファーム社製ワクチンを、企業トップや首相ブレーンとその家族ら計18人が都内クリニックで接種したというのだ。 その後、『週刊朝日』も大阪で同様のケースがあったと報道。合計すると30人近くが接種したことになる。 こうした「闇ワクチン」に対し、SNSでは接種を受けた人や、関わった医師に対する批判的な声が多数派だ。しかし同時に、「公的ワクチン接種を待っていられない」といった声も少なからずある。 中国との貿易業を営む都内在住の40代男性はこう本音を漏らす。 「私は可能なら、中国にまでワクチン接種を受けに行くことも考えていた。中国入国と日本帰国で計28日間、隔離されたとしても、いつまで続くかわからない自粛生活に耐えるよりマシです。 国内で接種できるのなら、中国への渡航費と同額までなら払ってもいい」 一方、中国政府が、折に触れて「厳格管理している」と強調してきた自国製ワクチンが、日本にひそかに持ち込まれることなどあり得るのか。 中国事情に詳しい、ジャーナリストで拓殖大学教授の富坂聰氏は、「すでに中国では1500万回分のワクチンが接種済みとされており、春節までにさらに急ピッチで進めている。そんななかで、現場レベルで数百人分程度の横流しがあっても不思議ではないでしょう」と話す。
闇ワクチンは日本で入手可能?
中国のワクチン事情について、広東省在住の日本人男性は言う。 「私の住むエリアでは、最優先だった医療関係者への接種がおおむね終わり、今は公務員や国営企業社員などに対してワクチン提供が行われています。 私のような外国人は無償接種の対象外ですが、民間企業が従業員や関係者向けに対して行うものもあり、この場合は外国人でも打てるのです」 民間企業の集団接種なら、より大規模なワクチン横流しも可能かもしれない。さらに北京市在住の日本人駐在員はこう証言する。 「近所の診療所に『ワクチン手に入る?』と聞くと、『手配するよ、問題ない』と。普通に日本でインフルエンザワクチンを打つみたいに、簡単に接種できるそうです」 では、報道のように闇ワクチンは日本で入手可能なのか。週刊SPA!はSNS上で中国製ワクチンの供給を謳う業者を発見。購入希望者を装い、コンタクトを取ってみたところ、先方から返信があった。 「最小単位は10万回分。政府機関か病院名義での契約のみ受け付けている。昨年末までにブラジルやトルコなどに輸出した。 今年は、カンボジアとウクライナに輸出する予定だ。日本にはまだ輸出したことはないが、問題はないだろう」 さすがに10万回分のワクチンを輸入するわけにもいかず、真贋や供給ルートについて確認することはできなかったが、他にもWeChatの在日中国人グループで聞いたところ「医師からの注文なら手配する」と話す人間もいた。
中国製ワクチンは輸送・保存が簡単
意外だが、実は闇ワクチンは法的に規制されていない。厚労省医薬・生活衛生局の担当者は言う。 「医師が未承認ワクチンを個人輸入し、自身の責任の下で患者に接種することは合法です。ただし輸入に際しては、通関前に専門官が確認する『薬監証明』を申請する必要はあります」 つまり、医師がしかるべき手続きを行えば、公的ワクチン接種よりも先に、合法的に抗体を獲得することが可能なのだ。 ただ、前述の報道に関しては「薬監証明が行われた記録はなく、非合法に持ち込まれたのでは」とも明かした。 この時期に、日本に持ち込まれたワクチンが中国製であることにも必然性がありそうだ。感染症に詳しいナビタスクリニック理事長で内科医の久住英二氏は話す。 「ファイザーやモデルナのmRNAワクチンは、極低温環境を保たなければならず、小ロットを個人輸入するのにはハードルが高い。その点、ともに従来型の不活化ワクチンである2つの中国製ワクチンは、通常の冷蔵庫程度の温度で輸送・保存が可能。温度の制約が緩いアストラゼネカ社製ワクチンが安定的に供給されるようになるまでは、自由診療で用いられるワクチンは、中国製一択になる」
「中国製ワクチンの効果は、もっときちんと検証されるべき」
一方、中国製ワクチンの有効性については信頼できるデータがなく、欧米製に比べ効果が低いと囁かれている。最低でブラジルの50%、最高でトルコの91%とかなり開きがあるからだ。 「有効性50%というのは100人が接種したうち、50人に効かなかったという意味ではなく、ワクチンを接種した群体と偽薬を投与した群体の発症率を比較することで得られる数字。 中国製ワクチンの効果は、もっときちんと検証されるべきで、もったいないと思います」(久住氏) 一方、中国政府のワクチン政策に関して富坂氏はこう述べる。 「マスコミで報じられているような『ワクチンで提供国の首根っこを摑む』といった“ワクチン外交”を中国はしたいだけではない。 WHOのワクチン共同購入の枠組みに提供し国際協調の姿勢を見せていることからも、純粋に多くの国に提供して国際社会での地位向上を狙っているのでしょう」 日本政府は現在、中国製ワクチンの導入を考えていない。しかし、イメージ向上を狙って、中国政府は今後日本の医師向けに正規の輸出窓口をつくることも考えられる。 思惑はさておき、安全性と合法性が担保されれば、中国製ワクチンの接種は日本でも広がるのかもしれない。
すでに接種が開始されたワクチン
<アメリカ> ▼ファイザー 独ビオンテック社と共同開発された、mRNAワクチン。有効性は95%。-70℃での管理が必要とされる。 提供国 EU、中国、日本、韓国、サウジアラビアなど世界45か国以上 ▼モデルナ 米国立アレルギー・感染症研究所との共同開発。mRNAワクチンだが、保存の温度条件や有効性でファイザーに勝る 提供国 日本、EU、カナダ、スイス、イスラエル、イギリスなど <中国> ▼シノファーム 中国製薬大手傘下のCNBGが開発。従来型の不活化ワクチンで、同社は79%の有効性が確認されたと発表 提供国 チリ、アルゼンチン、パキスタン、エジプト、モロッコなど ▼シノバック 鳥インフルワクチンなどで実績のある中国製薬大手による不活化ワクチン。年間3億回分を供給予定 提供国 ブラジル、トルコ、パキスタン、インドネシア、ネパールなど <イギリス> ▼アストラゼネカ 英政府が開発費の一部を拠出しており、同社は利益度外視の価格で提供するとしている。日本でも治験が開始された 提供国 スイス、ブラジル、インドなど <ロシア> ▼ガマレヤ 国立ガマレヤ研究所が開発した組み換えタンパク質ワクチン。昨年末の段階ですでに20万人が接種したという 提供国 ブラジル、イギリス、韓国、ボリビアなど ※新聞報道などを基に編集部が作成 <取材・文/奥窪優木 広瀬大介>
ハーバー・ビジネス・オンライン
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