Source:https://news.yahoo.co.jp/articles/1e81e0cb8e18292c06a1ac3759f55fde743f5a4e
ミャンマーのヤンゴン国際空港に22日、インド政府から寄贈された新型コロナウイルス感染症のワクチン150万回分が届いた。ミャンマーにとっては、初めての新型コロナワクチンで、今週から医療従事者やアウン・サン・スー・チー国家顧問兼外相を含む国会議員らに接種を始める。政府はインドとの交渉に積極的で、同国の製薬会社から別途、3,000万回分のワクチン購入を予定している。 到着したワクチンは、インド政府が今月初頭に緊急使用を承認したワクチン2種のうち、地場セラム・インスティテュート・オブ・インディア(SII)が生産する「コビシールド」。英製薬大手アストラゼネカなどが開発した。1人2回ずつの接種が必要になるため、75万人分となる。 22日午後2時半、ワクチンを乗せたインドの救援機がヤンゴン国際空港に到着した。空港で記者団の取材に応じたシュリ・サウラブ・クマール駐ミャンマー・インド大使によると、政府間協議の合意に基づく4,500万米ドル(約46億円)相当の寄贈になる。 インドは20日から、ミャンマーとバングラデシュ、ネパール、ブータン、モルジブ、セーシェルの6カ国にワクチンの無償提供を始めた。ミャンマーのクマール大使は「ミャンマーはインドにとって最も近い近隣国(のひとつ)であり、コロナ禍にあっても最重要に位置付け、関係を強めていく」と述べた。 空港での引き渡しに参加したミャンマー保健当局の関係者によると、到着したワクチンは、冷蔵輸送車で一両日中に最大都市ヤンゴンを含む全国の州・管区に運搬。各地の医療従事者への接種準備に入るという。24日付の国営紙グローバル・ニュー・ライト・オブ・ミャンマーは、23~24日に連邦政府の担当者、25~26日に州・管区の担当者が接種のトレーニングを行い、27日から医療従事者への接種を開始すると報じた。 一方、昨年11月の総選挙後初めての連邦上下院の議会が2月1日から開幕するにあたり、スー・チー氏やウィン・ミン大統領らを含む国会議員、政府高官らへの接種も優先される。1回目の接種後、28日の間隔を空けて2回目を打つ。 ■ワクチン外交、印が先行か 政府は今回の寄付以外に、SIIから3,000万回分のコビシールドの購入交渉を進めている。21日に国民向けにテレビ演説したスー・チー氏は、同交渉に基づき「月内にはさらに多くのワクチンが届くが、生産国の事情もあり、いつ何回分届くかは明言できない」と説明した。保健・スポーツ省によると、国内でのワクチンの運搬や保管などの準備は完了しており、いち早い調達を待つ状態だ。 ミャンマーでは、中国もワクチン外交を展開。今月11~12日に訪れた王毅国務委員兼外相が30万回分の無償提供を申し出たが、ミャンマー政府側は具体的な中国の民間製薬会社との交渉について正式表明しておらず、インドが先行しているもようだ。 政府はこれらワクチン生産国からの調達に取り組むほか、世界保健機関(WHO)が主導する世界的なワクチン配分計画「COVAX(コバックス)」にも参画。コバックスでは人口の20%程度に接種できる分のワクチンが入手できる見通しだ。 これまでに明らかになっているインド、中国からの調達想定分とコバックスの分を加えれば、年内に目標とする総人口5,400万人の4割には届く可能性が見えてきた。政府は、22年までに総人口の約7割への接種を目指している。 接種の優先順位についてスー・チー氏は、国民向けのテレビ演説で、対象者を「国の利益に最もかなうように検討した」と説明。新型コロナの最前線で働く医療従事者、ボランティアらに次ぎ、政府高官や公務員、連邦議会の議員に接種を受けさせる。スー・チー氏は、「ためらいを感じずにはいられないが、私もこのグループに入る。国民は理解してくれると信じている」と語った。 3番目に、政府を機能させる上で重要な地域の住民が対象となるが、接種時期は「ワクチンの供給状況による」と述べた。 高齢者や基礎疾患がある人、外出自粛措置が導入されているような感染者が多い郡区の住民も優先順位が高い。ただし、外出自粛の対象郡区の人口は1,100万人を超えるため、ワクチンの到着状況を踏まえて改めて検討する。 ■基金への寄付は18億円に
スー・チー氏によれば、政府がワクチン購入に充当するために1月5日に設立した基金には、チャット建てで187億8,100万チャット(約15億円)、米ドル建てで297万米ドル(3億1,000万円)の寄付があったとし、国民に謝意を表明した。基金に政府は10億チャットと2億5,000万米ドルを拠出している。
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