Source:https://www.tv-tokyo.co.jp/plus/business/entry/2021/023255.html
2021.2.12、」GOOGLEニュースより
環境問題、貧困、ジェンダー、働き方...。国際社会は今、数多くの難題に取り組んでいる。こうした中、持続可能な社会の実現のために国連サミットで採択されたのが2016年から2030 年までの国際目標「SDGs」だ。
持続可能な社会・経済を作り上げるために、日本は何ができるのか。BSテレ東では『日経スペシャル SDGsが変えるミライ~小谷真生子の地球大調査』と題し、日本の進むべき道を考えるシリーズを2020年3月からスタートさせた。
2020年12月18日の放送では、SDGsを考える地域金融機関の取り組みを伝えた。
給付型奨学金制度を始めた備後信用組合の信念
広島県福山市に本店を構える備後信用組合。13店舗を展開する地域に根ざした信用組合だ。渡邊由依さん(20)は2021年の春、岡山県の短大を卒業し、備後信用組合に入ることが決まっている。
備後信用組合は、2011年に返還不要の給付型奨学金制度を開始。母子家庭、父子家庭の高校生を対象に抽選で20人に毎月8000円を給付するというものだった。
渡邊さんは姉と母の3人暮らし。幸運にも高校3年間、備後信用組合から毎年、奨学金の給付を受けることができた。金融機関への就職を希望していた渡邊さんは「奨学金を受けた場所がいい。自分が受けたものを広めたい」と備後信用組合への就職を希望した。
備後信用組合の給付型奨学金は地域に根付いており、地元のエフエムふくやまでは取り組みに賛同し、毎年奨学金募集の告知をしている。
備後信用組合が奨学金制度をつくってから、受給者の数は200人に上る。高橋俊策会長のもとにはたくさんのお礼の手紙が届く。高橋会長は給付型奨学金を始めた理由について、信用組合の設立理念が根底にあると語る。
「いま金融機関は厳しくなっている。リスクのあるところには近寄りたくない。一方で困っている人はリスクがある。しかし、そこに近づいていかなかったら経営はできないというのが、備後信用組合の信念です」
ネパール人コミュニティを支援する第一勧業信用組合
11月9日、東京・新宿区にある第一勧業信用組合。店内で撮影の準備をしているのは信用組合の中央組織、全国信用組合中央協会。日本の信用組合の取り組みを海外に配信する取り組みでテーマは「外国人コミュニティの支援」。インタビューに答えているのは4月から第一勧業信用組合に採用されたネパール人のグルン・スラジュさんだ。第一勧業信用組合では2018年にSDGs宣言をしており、スラジュさんにはネパール人コミュニティとの橋渡しが期待されている。
「新宿にはネパール人が多いので、組合員をこれから増やしていきたい」とスラジュさんは語る。
ネパール人の子弟が通うインターナショナルスクール「エベレスト・インターナショナル・スクール・ジャパン」。幼稚園児から高校生までおよそ300人が通っているこの学校はネパールが公認した世界で唯一のインターナショナルスクールだ。
生徒の急増で移転場所を探していたとき、金融機関で唯一、第一勧業信用組合が融資した。同校のシュレスタ・ブパール・マン前理事長は「メガバンクからは借り入れできなかった。いろんなコミュニティを支えていくという指針を持っている金融機関だからこそ、借り入れが可能になった」と話す。
「TOKYO DREAM 目黒駅前店」。2007年に来日し複数のレストランを経営する「HIRA」ラミチャネ・スリヤCEOの店だ。
ネパール人のスリヤCEOは、スラジュさんについて「自分の国の言葉を話せる人が第一勧業信用組合にいることはこれから相談しやすい」と話し、スラジュさんも「相談されて役に立てたら、自国の人を助けられて目標が達成できる」と語る。
12月1日、東京・中央区。アジア信用組合連盟のリモート会合に全国信用組合中央協会・全国信用協同組合連合会の内藤純一理事長が出席し「相互扶助は日本語では共助と呼ばれています」と語った。
日本は2020年、アジア信用組合連盟の正会員になり、この日は日本の取り組みをアピールする場。取材した第一勧業信用組合の取り組みも紹介された。
内藤理事長はいまこそ信用組合の役割が問われるという。
「SDGsの考え方はわれわれにピタッとくる考え方。信用組合はかなりの部分を実践してきた。共助というものがもっと出てこないと危機は乗り越えられない」
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