2020年2月12日水曜日

沖縄ファミリーマートでネパール人留学生が大活躍のワケ

Source:https://headlines.yahoo.co.jp/article?a=20200208-00002457-shogyokai-bus_all
2/8(土) 5:00配信、ヤフーニュースより
 日本全国が深刻な人手不足だが、沖縄県も例外ではない。その状況下、沖縄ファミリーマートの加盟店は、ネパール人留学生を積極的に採用し、その戦力化に成功している。ネパール人留学生が働く店は総店舗数327のうち約50~60店舗、そのうち3~4割の店はネパール人スタッフが10人以上を占める(2020年1月現在。日々、変動あり)。中には、「夕方勤務(夕勤)は全員ネパール人」という店もあるほど。戦力的にも人物的にも、いかに信頼を置いているか十分にうかがえよう。

沖縄で増えるアジア系の外国人 昨今の人手不足は全国的なものだが、沖縄県の場合2010年頃から厳しさを増した。地域特性からか、コンビニや小売業がもともとアルバイトとして人気薄なことも、アルバイト採用を難しくした。

 反対に、県内にはここ2~3年は外国人、特にアジア系の人が増えた。18年末の県内の在留外国人の総数は約1万8000人で、前年同期比13・7%増。全国でも上位の伸び率である。

 国別では、中国(18年末2600人)、ネパール(同2139人)、ベトナム(同2047人)が上位3カ国を占める(数字は、南西地域産業活性センター調べ)。ネパールは留学生が多く、ベトナムは技能実習生が多い。工場勤務に加えて留学生が増え、例えば県内に日本語学校は10校を超える。もともとネパール人留学生は多かったが、不法就労が問題で一時は人数が減った。昨今、再び勢いを取り戻した感じだ。
マニュアルにふりがな家族のように接する
 こうした状況下、県南部の浦添市に近いある加盟店がネパール人留学生をアルバイトとして採用する。もちろん、同社にネパール語の作業マニュアルなどない。もっとも、日本の全ての流通業がそうだろう。

 オーナーは、日本語のマニュアルに一語一語平仮名でふりがなを振り、留学生が一人で読んでも理解できるようにした。その上で、マニュアルの内容について、膝を付け合わせ一つ一つ丁寧に教えた。また、イベントの際は、行事の起源や仮装の目的について、例えば「なぜクリスマスには赤い帽子や服を着るのか」も丁寧に説明を加えた。何より配慮したのは、働く仲間として家族に近い者として接することだ。

 当然、文化の違いはある。例えば、シフトの入った当日に急な休みを求められた場合も、頭ごなしに注意することは避けた。「あなたの気持ちは分かるけど、あなたに休まれるとみんなが困るよ」と説明する。すると、代替のメンバーを自分で探してきた。

お客のいないときはネパール語もOK こうしたやり取りを日々重ねることで、オーナーは留学生の信頼を得た。すると、その留学生は自分の学友を次々と店に紹介するようになった。仲間が増えると、オーナーの負担も軽くなった。例えば、中心となる留学生に伝えると、ネパール人同士で情報を共有してくれる。同様に全スタッフに向けた日本語の告知も、オ-ナーが頼まなくても、ネパール語に翻訳してくれる。もっとも、オーナーも本部もネパール語が理解できないので、翻訳内容を評価できないのは痛し痒しだ。

 オーナーも、仲間を紹介してくれた厚意に応えた。例えば、レジスペース内では日本語が原則だが、接客時を除きネパール語を使うことも認めた。ネパール人同士、円滑に仕事を教え合うためだ。シフトを組む際も、可能な限り同じ時間帯にネパール人が複数入るように配慮した。
本部はテレビCMで加盟店の採用を支援
 以上は複数の加盟店で実際にあった話をまとめたものだ。オーナーが労苦を惜しまず、また臆せず、最初のネパール人留学生に対応したことが店の窮地を救ったといえる。

 一方、沖縄ファミリーマート本部も、加盟店の採用を支援する布石を打ってきた。

 その一つが、18年春よりオンエアした沖縄ファミリーマート独自のテレビCM。ファミリーマートの手軽さ、親切な教育を、主婦や学生などターゲット別にアピールした。シリーズ物でこれまでに計6本制作されている。ネパール人留学生が増えたことを受け、ネパール人の俳優が出演したものもる。

 加盟店オーナーの評判は良好だ。「CMを見たから」とネパール人から問い合わせ電話が増えたという。さらには、日本人から問い合わせの電話が鳴ったのは大きな変化だ。ここ2、3年、日本人は応募どころか問い合わせの電話すら1本もなかったのだ。オーナーが驚くのも無理もない。

 ファミリーマートが買物だけでなくアルバイト先でもある。沖縄の地でそう認知されるようなったことは、今後の採用に期待を持たせる。

 この独自CMに限らず、沖縄ファミリーマートは地域特性を経営に反映させてきた。例えばそれは商品開発であり、『ファミチキ』のように沖縄ファミリーマートから全国のファミリーマートへと拡散した商品もある。一方で、東京本部、店頭やオーナーとの情報交換にも余念がない。

 現在、日本全国で約140万人の外国人が働いている(図(1))。その数は増え続けており、外国人が増えているのは沖縄県に限らない(図(2))。ただ、彼ら彼女らを店の戦力に生かせるかは、まずは人としての誠意ある対応、そして組織の理解と支援に大きく左右されよう。

 企業名/沖縄ファミリーマート代表者名/野﨑真人本部所在地/沖縄県那覇市港町3丁目4番18号店舗数/327店舗
「食品商業」編集部 村田伸五

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