2020年2月7日金曜日

ネパール少女の人身売買が増加 インドで売春強要、犯罪組織関与か

Source:http://www.sankeibiz.jp/macro/news/200123/mcb2001230500010-n1.htm


 ネパールの少女が人身売買の被害に遭い、隣国インドで売春を強要されるケースが後を絶たない。約9000人が犠牲となった2015年のネパール大地震以降、被災地から連れられる少女が増加。被害者は年6000人に上るとされ、非政府組織(NGO)は両国政府に対策強化を求めている。
 インドの首都ニューデリー中心部の旧市街。「GBロード」と呼ばれる通り一帯に売春宿が集中している。古ぼけた低層のビルが軒を連ね、それぞれの1階に機械部品や日用品を扱う店が入り、2階以上の窓には鉄格子がはめられている。女性の逃走を防止するためだ。窓の向こう側で、赤やピンクの服を着た女性が外を見ていた。
 ビルの一つに入ると、2階から上には大部屋があり、部屋ごとに15人ほどの女性が待機。無表情で、10代にしか見えない女性もいる。エアコンはなく、むせるような熱気だ。
 「料金は500ルピー(約770円)。中国人や日本人も来るよ」。店を取り仕切る高齢の女性が笑みを浮かべた。奥には板で分けられたスペースがあり、粗末なベッドが見えた。
 ネパール人女性の保護に取り組むNGO「シャクティ・サムハ」によると、GBロードで営業する売春宿は72軒あり、約5000人の女性が監禁されているとみられる。うち6割はネパール人で、大半が人身売買の被害者だという。
 色白のネパール人女性はインド人男性に人気があるといい、シャクティ・サムハのサントス・セダイさんは「多くの女性は人身売買組織にだまされて連れられて来た。家族に売られることもある」と表情を曇らせた。
 インドの犯罪組織が売春を強要しているとみられ、シャクティ・サムハは16年7月からの3年間で、GBロードなどの売春宿からネパール人女性約100人を保護。中には13歳の少女もいた。被害者が増加したきっかけはネパール大地震だ。
 インド政府によると、国境で救い出された人身売買被害者のネパール人女性は、地震前の14年は33人だった。地震が起きた15年は336人に急増し、17年は607人に達した。警察当局者は「被災で生活が困窮した農村部から、多くの女性が連れられて来た」と話す。
 保護された後、家族に受け入れを拒否される女性も少なくない。加えて、インドの警察当局は売春宿の摘発に消極的とされる。別のNGO関係者は「政府が本気で取り組まなければ、被害者は増える一方だ」と語気を強めた。(ニューデリー 共同)

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