2020年2月7日金曜日

兜町は戦々恐々…新型肺炎拡大で日経平均2万円割れに現実味

Source:https://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20200126-00000016-nkgendai-bus_all

1/26(日)、ヤフーニュースより

 新型コロナウイルスによる肺炎が猛威を振るっている。中国は24日から春節に突入。30日までの連休中や、その前後に延べ約30億人が移動する見込みだ。人の移動で世界中に感染が広がる恐れがある。兜町は大幅株安を招いた「SARS」(重症急性呼吸器症候群)の再来に戦々恐々だ。

 中国湖北省政府は25日、新型肺炎による死者が前日から15人増え39人、患者数は180人増え729人に上ったと発表。中国国内の死者は41人、患者数は1287人になった。日本、米国、フランス、香港、マカオ、台湾、韓国、タイ、ベトナム、シンガポール、ネパールでも感染者が確認されている。

 兜町は今のところ、様子見だ。24日は東京市場が開く前に、厚労省が国内で2例目となる感染者の確認を発表したが、日経平均株価に大きな変動はなかった。小動きに終始し、終値は前日比31円高の2万3827円だった。

「WHO(世界保健機関)は、緊急事態の認定を時期尚早としています。投資家も新型ウイルスの影響については判断しかねている。ただ、事態が長期化すれば、SARSの時のような大幅株安も予想され、ビクビクしています」(兜町関係者)

 2002年11月に発生したSARSは、中国や香港を中心に感染者8098人、死者774人の大きな被害をもたらした。03年7月にWHOが終息宣言するまで7カ月余りを要し、世界経済を減速させた。

■SARSの時は2割安

 当時の日経平均は02年11月末が9215円(終値ベース)。そこからジリジリ下がり、03年4月には約2割安の7607円(同)まで下落している。新型肺炎がSARS並みの2割安のインパクトだとすれば、2万円を優に割る計算だ。

 ここにきて、新型コロナウイルスの脅威はSARS以上だとの指摘が出ている。感染症の権威である香港大のグアン・イー教授は今月21~22日、武漢で現地調査を実施。中国メディア「財新」の取材に対し、「保守的に見積もっても今回の感染はSARSの10倍以上だろう」と分析したという。グアン教授はSARSの感染源特定に成功したことで知られている。

 金融ジャーナリストの小林佳樹氏が言う。

「SARSが大流行した02~03年と今の中国では世界経済に対する影響力が全く違います。SARS並み、あるいはそれ以上に被害が拡大すれば、世界経済への影響は計り知れません」

 例えば、中国のGDPは、03年が11兆元(約174兆円)だったが、昨年は98兆元(約1548兆円)とまさにケタ違い。いまや、中国がコケれば、世界がコケる状況なのだ。

 それに、今年のイベントをよーく眺めれば、新型肺炎以外にも、日本経済を冷え込ませる要因がズラリと並ぶ。

 年金給付額を抑制する「マクロ経済スライド」の2年連続発動が決定。19年平均の全国消費者物価指数(生鮮食品含む)は前年比0・5%上昇しているのに、4月からの支給額は0・2%しかアップされず、実質カットだ。新年度からは、サラリーマンの約7割が勤める中小企業にも残業時間上限規制が1年遅れで適用され、残業代が減る。

 6月末には消費増税対策のキャッシュレス決済のポイント還元が終了。財布の紐はいっそう固くなる。東京五輪が終われば訪日客はピークアウトし、家電購入など関連特需もオシマイ。五輪不況が本格的にやってくる。

「米中の対立緩和や米イランの全面衝突への警戒感が和らぎ、投資家心理はリスクオンが続いていた。しかし、新型肺炎が長期化すれば、リスクオフに転じ、マネーはリスクが高い株から安全な円に向かう。円高・株安の悪循環に陥ることになるでしょう」(小林佳樹氏)

 新型肺炎ショックで先が見通せない一年になりそうだ。

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