Source:https://headlines.yahoo.co.jp/article?a=20200219-00070484-gendaibiz-cn
2/19(水) 6:31配信、ヤフーニュースより
武漢「華南海鮮市場」と決めつけたが…
2019年12月に中国湖北省の武漢市で発生した新型コロナウイルス“2019-nCov”の感染によって発症する肺炎“COVID-19”(以下、便宜的に「武漢肺炎」と呼ぶ)は、一向に終息する気配を見せず、中国の国内外で感染を拡大している。
新型コロナ、武漢「美人すぎる39歳の研究所長」が握る発生の謎
本稿を執筆している2020年2月14日夜の時点では、中国政府が公表した中国国内における感染者は6万3946人、死者は1382人であり、中国国外では27の国・地域の合計で感染者506人、死者3人となっているが、中国国内で日本人と米国人各1人の死亡が確認されている。
新型コロナウイルスの発生源は武漢市江漢区漢口にある発展大道と新華路が交差する地点に所在する「華南海鮮市場」に関連すると、武漢市衛生健康委員会は2019年12月31日に公表した。この発表を受けて、華南海鮮市場は翌日の2020年1月1日に衛生環境の整備を理由に閉鎖された。
華南海鮮市場が閉鎖されるまでの経緯を遡ってみる。
12月8日、武漢市で1人の患者が地元の医院を受診した結果、医師からは原因不明の肺炎と診断された。
それから18日間が経過した12月26日の午前中に、湖北省「中西医結合医院(中国医学と西洋医学の結合医院)」(以下「結合医院」)呼吸器内科主任の張継先は診察で4人の異常な肺炎患者を発見した。事態は重大だと判断した張継先は結合医院の上層部へ報告し、結合医院は同医院が所在する江漢区の「疾病予防コントロールセンター」へ報告した。
翌28日と29日に結合医院は華南海鮮市場から来た患者3人を次々と診察したが、前後7人(最初の患者4人と後から来た患者3人)の症状と肺の状況は同一であった。張継先はこの点に注目して上層部へ報告したが、この報告を高度に重視した結合医院は速やかに江漢区疾病予防コントロールセンターへ通報したのだった。
新型コロナ、武漢「美人すぎる39歳の研究所長」が握る発生の謎
本稿を執筆している2020年2月14日夜の時点では、中国政府が公表した中国国内における感染者は6万3946人、死者は1382人であり、中国国外では27の国・地域の合計で感染者506人、死者3人となっているが、中国国内で日本人と米国人各1人の死亡が確認されている。
新型コロナウイルスの発生源は武漢市江漢区漢口にある発展大道と新華路が交差する地点に所在する「華南海鮮市場」に関連すると、武漢市衛生健康委員会は2019年12月31日に公表した。この発表を受けて、華南海鮮市場は翌日の2020年1月1日に衛生環境の整備を理由に閉鎖された。
華南海鮮市場が閉鎖されるまでの経緯を遡ってみる。
12月8日、武漢市で1人の患者が地元の医院を受診した結果、医師からは原因不明の肺炎と診断された。
それから18日間が経過した12月26日の午前中に、湖北省「中西医結合医院(中国医学と西洋医学の結合医院)」(以下「結合医院」)呼吸器内科主任の張継先は診察で4人の異常な肺炎患者を発見した。事態は重大だと判断した張継先は結合医院の上層部へ報告し、結合医院は同医院が所在する江漢区の「疾病予防コントロールセンター」へ報告した。
翌28日と29日に結合医院は華南海鮮市場から来た患者3人を次々と診察したが、前後7人(最初の患者4人と後から来た患者3人)の症状と肺の状況は同一であった。張継先はこの点に注目して上層部へ報告したが、この報告を高度に重視した結合医院は速やかに江漢区疾病予防コントロールセンターへ通報したのだった。
「患者の多数が市場と関連」という当局発表
12月30日、武漢市衛生健康委員会は市内の医療機関に対してインターネット経由で緊急通達を発信し、武漢市の一部医療機関に原因不明の肺炎患者が次々と押しかけて受診している旨の情報を伝え、その種の肺炎患者が受診したなら、その症状を速やかに報告するよう要求した。
12月31日、中央政府・「国家衛生健康委員会」派遣の専門家チームが武漢市へ到着したが、その直後に武漢市衛生健康委員会は武漢市民に対して次のような情報を公表した。
----------
(A)近頃一部の医療機関は、診察した原因不明な肺炎患者の多くが華南海鮮城と何らかの関連性を持つことを発見した。目下のところ27人の肺炎患者が判明している。このうちの7人は病状が深刻だが、残りの20人は病状が安定しており、そのうちの2人は病状が好転しているので近日中に退院が可能と思われる。
(B)患者の病状は主として発熱で、一部は呼吸困難を呈し、胸部レントゲン写真では2つの肺に湿潤性の病巣が認められた。専門家は病状、治療の転帰、疫学調査、実験室における初歩的検査などから状況を分析した結果、上述の病例はウイルス性肺炎であり、明確な人から人への感染現象や医療スタッフへの感染は未だ発見されていないと見解を述べた。
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なお、武漢市衛生健康委員会が「診察した肺炎患者の多数が華南海鮮市場と関連することを発見した」と述べたのは、上述した27人の患者が基本的に華南海鮮市場から来た、あるいは華南海鮮市場に行ったことがあったからであったが、その肺炎患者と密接な関連を持つと思われる華南海鮮市場は12月31日の時点ではまだ通常通り営業していたのだった。
この公表内容を踏まえて、翌1月1日に武漢市江漢区市場監督管理局と武漢市江漢区衛生健康局は連名で公告を発表し、華南海鮮市場に対して衛生環境整備のために消毒作業を実施するという名目で市場の休業を命じ、華南海鮮市場は早朝から閉鎖された。
12月31日、中央政府・「国家衛生健康委員会」派遣の専門家チームが武漢市へ到着したが、その直後に武漢市衛生健康委員会は武漢市民に対して次のような情報を公表した。
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(A)近頃一部の医療機関は、診察した原因不明な肺炎患者の多くが華南海鮮城と何らかの関連性を持つことを発見した。目下のところ27人の肺炎患者が判明している。このうちの7人は病状が深刻だが、残りの20人は病状が安定しており、そのうちの2人は病状が好転しているので近日中に退院が可能と思われる。
(B)患者の病状は主として発熱で、一部は呼吸困難を呈し、胸部レントゲン写真では2つの肺に湿潤性の病巣が認められた。専門家は病状、治療の転帰、疫学調査、実験室における初歩的検査などから状況を分析した結果、上述の病例はウイルス性肺炎であり、明確な人から人への感染現象や医療スタッフへの感染は未だ発見されていないと見解を述べた。
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なお、武漢市衛生健康委員会が「診察した肺炎患者の多数が華南海鮮市場と関連することを発見した」と述べたのは、上述した27人の患者が基本的に華南海鮮市場から来た、あるいは華南海鮮市場に行ったことがあったからであったが、その肺炎患者と密接な関連を持つと思われる華南海鮮市場は12月31日の時点ではまだ通常通り営業していたのだった。
この公表内容を踏まえて、翌1月1日に武漢市江漢区市場監督管理局と武漢市江漢区衛生健康局は連名で公告を発表し、華南海鮮市場に対して衛生環境整備のために消毒作業を実施するという名目で市場の休業を命じ、華南海鮮市場は早朝から閉鎖された。
発生初期には関係がなかった
華南海鮮市場とはどのような所なのか。別名を「華南海鮮城(華南海鮮タウン)」、「華南海鮮批発市場(華南海鮮卸売市場)」という華南海鮮市場は、武漢市を含めた華中地区最大の生鮮魚介類や水産物の卸売取引市場である。華南海鮮市場の総建築面積は5万平方メートルに及び、1000軒近い鮮魚を含む海産物、食肉、“野味(食材としての野鳥や野獣)”などの商店が軒を連ね、そこでは1500人以上の人々が働いているという。
華南海鮮市場は新華路を間に挟んで東区と西区に分かれるが、東区では海産物だけでなく、豚、牛、羊、鶏などの食肉が販売されているし、西区は養殖のカニやエビなどの生鮮品や冷凍海産物を扱う店が軒を並べている。それとは別に西区では奥まった場所に十数軒の“野味”商店が営業しており、東区にも“野味”を扱う店が数軒あり、彼らは鴨や蛇、野兎などを含む野生動物を販売している。彼らの店を訪れる顧客の数は少なくないという。
ところで、1月24日付で世界的医学雑誌「ランセット(The Lancet)」のオンライン版に「中国武漢で新型コロナウイルスに感染した患者の臨床的特徴(Clinical features of patients infected with 2019 novel coronavirus in Wuhan, China)」という題名の論文が掲載された。
この論文は武漢市金銀潭医院の黄朝林を含む臨床医師や多数の研究機関の構成員が共同で執筆したもので、武漢肺炎で最初に収容された41の病例に関する臨床的特徴を研究したものだった。
彼らの論文が発表したのは次のような内容であった。
(1)41の病例中で新型コロナウイルスの感染症状が最初に出現したのは12月1日であり、武漢市政府が原因不明の肺炎と診断された病例が出現したとする12月8日より1週間も早かった。しかも、12月1日に出現した病例は後に新型コロナウイルスの発生源とされた華南海鮮市場との関連性は全く無かったし、その家族には発熱も呼吸器症状も見られなかった。
(2)9日後の12月10日に3例の発病が確認されたが、そのうちの2例は華南海鮮市場と何らの関連性を持っていなかった。12月15日以降に華南海鮮市場との関連性を持つ病例が集中的に出現したが、最初の病例と12月15日以降の病例の間には疫学的な関係は見つからなかった。
(3)41の病例中の27例(全体の66%)は華南海鮮市場との関連性があったが、残りの14例は華南海鮮市場とは何らの関連性も無かった。
武漢市衛生健康委員会は1月11日の通達で、2020年1月10日までに初歩的診断で新型コロナウイルスに感染した肺炎の病例は41例だと述べていたが、その後1月15日までは新型コロナウイルスに感染した病例の増加はないと報じていた。従って、「ランセット」が掲載した論文が研究対象としていた41の病例が初期の病例であることは間違いないと判断できる。
このように、新型コロナウイルスに感染した最初の病例もその後に続いた3つの病例のうちの2例も華南海鮮市場とは何らの関連がないということは、華南海鮮市場は新型コロナウイルスの発生源ではないように思われる。
ところが、武漢市衛生健康委員会は上述の通り「診察した肺炎患者の多数が華南海鮮城と関連することを発見した」と述べて、あたかも華南海鮮市場が新型コロナウイルスの発生源であるかの如く決めつけたのであった。
1月1日早朝に華南海鮮市場が閉鎖されると、午前8時には中国政府・「中国疾病予防控制中心(中国疾病予防コントロールセンター)」(以下「疾病中心」)から派遣された研究チームが華南海鮮市場へ出向いて病例に関連すると思われる商店や関係者から集中的に515件の環境サンプルを採取した。また、疾病中心の研究チームは1月12日に華南海鮮市場を再訪し、同市場内で野生動物を販売する“野味”商店から70件の環境サンプルを採取した。
これら採取されたサンプルは実験室へ送られて検査が行われたが、合計585件の環境サンプル中の33件から新型コロナウイルスのDNAを検出したし、陽性の環境サンプルからウイルスを分離することに成功したと疾病中心は表明した。さらに、疾病中心は、「この検査結果は新型コロナウイルスが華南海鮮市場で販売されていた野生動物を発生源としていることを示している」と断定したのだった。
華南海鮮市場は新華路を間に挟んで東区と西区に分かれるが、東区では海産物だけでなく、豚、牛、羊、鶏などの食肉が販売されているし、西区は養殖のカニやエビなどの生鮮品や冷凍海産物を扱う店が軒を並べている。それとは別に西区では奥まった場所に十数軒の“野味”商店が営業しており、東区にも“野味”を扱う店が数軒あり、彼らは鴨や蛇、野兎などを含む野生動物を販売している。彼らの店を訪れる顧客の数は少なくないという。
ところで、1月24日付で世界的医学雑誌「ランセット(The Lancet)」のオンライン版に「中国武漢で新型コロナウイルスに感染した患者の臨床的特徴(Clinical features of patients infected with 2019 novel coronavirus in Wuhan, China)」という題名の論文が掲載された。
この論文は武漢市金銀潭医院の黄朝林を含む臨床医師や多数の研究機関の構成員が共同で執筆したもので、武漢肺炎で最初に収容された41の病例に関する臨床的特徴を研究したものだった。
彼らの論文が発表したのは次のような内容であった。
(1)41の病例中で新型コロナウイルスの感染症状が最初に出現したのは12月1日であり、武漢市政府が原因不明の肺炎と診断された病例が出現したとする12月8日より1週間も早かった。しかも、12月1日に出現した病例は後に新型コロナウイルスの発生源とされた華南海鮮市場との関連性は全く無かったし、その家族には発熱も呼吸器症状も見られなかった。
(2)9日後の12月10日に3例の発病が確認されたが、そのうちの2例は華南海鮮市場と何らの関連性を持っていなかった。12月15日以降に華南海鮮市場との関連性を持つ病例が集中的に出現したが、最初の病例と12月15日以降の病例の間には疫学的な関係は見つからなかった。
(3)41の病例中の27例(全体の66%)は華南海鮮市場との関連性があったが、残りの14例は華南海鮮市場とは何らの関連性も無かった。
武漢市衛生健康委員会は1月11日の通達で、2020年1月10日までに初歩的診断で新型コロナウイルスに感染した肺炎の病例は41例だと述べていたが、その後1月15日までは新型コロナウイルスに感染した病例の増加はないと報じていた。従って、「ランセット」が掲載した論文が研究対象としていた41の病例が初期の病例であることは間違いないと判断できる。
このように、新型コロナウイルスに感染した最初の病例もその後に続いた3つの病例のうちの2例も華南海鮮市場とは何らの関連がないということは、華南海鮮市場は新型コロナウイルスの発生源ではないように思われる。
ところが、武漢市衛生健康委員会は上述の通り「診察した肺炎患者の多数が華南海鮮城と関連することを発見した」と述べて、あたかも華南海鮮市場が新型コロナウイルスの発生源であるかの如く決めつけたのであった。
1月1日早朝に華南海鮮市場が閉鎖されると、午前8時には中国政府・「中国疾病予防控制中心(中国疾病予防コントロールセンター)」(以下「疾病中心」)から派遣された研究チームが華南海鮮市場へ出向いて病例に関連すると思われる商店や関係者から集中的に515件の環境サンプルを採取した。また、疾病中心の研究チームは1月12日に華南海鮮市場を再訪し、同市場内で野生動物を販売する“野味”商店から70件の環境サンプルを採取した。
これら採取されたサンプルは実験室へ送られて検査が行われたが、合計585件の環境サンプル中の33件から新型コロナウイルスのDNAを検出したし、陽性の環境サンプルからウイルスを分離することに成功したと疾病中心は表明した。さらに、疾病中心は、「この検査結果は新型コロナウイルスが華南海鮮市場で販売されていた野生動物を発生源としていることを示している」と断定したのだった。
そういえばSARSの時も
2002年11月に中国・広東省の順徳市で最初の患者が発生したとされる「重症急性呼吸器症候群(SARS: severe acute respiratory syndrome)」は、新型コロナウイルスを病原体とする感染症で、沈静化した2003年8月まで中国国内外に重症な非定型性肺炎を蔓延させ、広東省や香港を主体として世界中で8096人が感染し、774人が死亡したとされている。
なお、広東省は感染者5327人、死者349人、香港は感染者1755人、死者299人であった。
SARSが発生した際も、中国政府はその原因を広東省で盛んな“野味”と関連付け、その元凶を中国語で“果子狸”と呼ばれるハクビシンと決めつけ、ハクビシンが中間宿主として新型コロナウイルスを媒介し、“野味”でハクビシンの肉を食べた人が新型コロナウイルスに感染したと結論付けた。その結果、広東省ではわずか5日間で1万匹以上のハクビシンが殺処分されたという。
SARSの流行から14年が経過した2017年に米国雑誌「公共科学図書館:病原体(Public Library of Science Pathogens)」上で、中国科学院「武漢病毒研究所(武漢ウイルス研究所)」の研究員である石正麗(女性)が率いる研究チームが、雲南省の辺鄙な場所にある洞窟でSARSに似たコロナウイルスを保有する「中華菊頭蝠(キクガシラコウモリ)」を発見した旨の発表を行った。
当該キクガシラコウモリの体内に含まれるウイルス株の中にSARSウイルスと全てのゲノム構成が同じウイルスを見つけ出した。これらのウイルス株は頻繁に再編することで人類の中で流行するウイルスを形成する可能性があると述べた。
石正麗のチームは、キクガシラコウモリがSARSウイルスの自然宿主であり、ウイルスに関与して自然宿主から人類への伝染を媒介したハクビシンは中間宿主であると結論付けたのであった。
一方、ある研究者はハクビシンがSARSウイルスに感染して発病するという事実から、ハクビシンがSARSウイルスと共存共栄することは難しいと考えている。なお、野生と養殖のハクビシンに対する大規模な疫学的調査によれば、ほとんどの地域のハクビシンはSARSウイルスには感染しないことが判明したという。
これとは別に華南農業大学の研究者は「穿山甲(センザンコウ)」が元凶だと言う説を唱えている。全身をうろこで覆われている哺乳類で中南米のアルマジロと似ているセンザンコウは、中国では古くから肉を食用に、うろこを伝統薬の原料としてきたことから、いまでは絶滅危惧種となっているが、上述した研究者はセンザンコウをSARSだけでなく、武漢肺炎を引き起こす新型コロナウイルスの中間宿主であると考えているようだ。
なお、広東省は感染者5327人、死者349人、香港は感染者1755人、死者299人であった。
SARSが発生した際も、中国政府はその原因を広東省で盛んな“野味”と関連付け、その元凶を中国語で“果子狸”と呼ばれるハクビシンと決めつけ、ハクビシンが中間宿主として新型コロナウイルスを媒介し、“野味”でハクビシンの肉を食べた人が新型コロナウイルスに感染したと結論付けた。その結果、広東省ではわずか5日間で1万匹以上のハクビシンが殺処分されたという。
SARSの流行から14年が経過した2017年に米国雑誌「公共科学図書館:病原体(Public Library of Science Pathogens)」上で、中国科学院「武漢病毒研究所(武漢ウイルス研究所)」の研究員である石正麗(女性)が率いる研究チームが、雲南省の辺鄙な場所にある洞窟でSARSに似たコロナウイルスを保有する「中華菊頭蝠(キクガシラコウモリ)」を発見した旨の発表を行った。
当該キクガシラコウモリの体内に含まれるウイルス株の中にSARSウイルスと全てのゲノム構成が同じウイルスを見つけ出した。これらのウイルス株は頻繁に再編することで人類の中で流行するウイルスを形成する可能性があると述べた。
石正麗のチームは、キクガシラコウモリがSARSウイルスの自然宿主であり、ウイルスに関与して自然宿主から人類への伝染を媒介したハクビシンは中間宿主であると結論付けたのであった。
一方、ある研究者はハクビシンがSARSウイルスに感染して発病するという事実から、ハクビシンがSARSウイルスと共存共栄することは難しいと考えている。なお、野生と養殖のハクビシンに対する大規模な疫学的調査によれば、ほとんどの地域のハクビシンはSARSウイルスには感染しないことが判明したという。
これとは別に華南農業大学の研究者は「穿山甲(センザンコウ)」が元凶だと言う説を唱えている。全身をうろこで覆われている哺乳類で中南米のアルマジロと似ているセンザンコウは、中国では古くから肉を食用に、うろこを伝統薬の原料としてきたことから、いまでは絶滅危惧種となっているが、上述した研究者はセンザンコウをSARSだけでなく、武漢肺炎を引き起こす新型コロナウイルスの中間宿主であると考えているようだ。
無理のある説明
このように石正麗のチームは雲南省の辺鄙な場所にある洞窟に棲むキクガシラコウモリがSARSウイルスの自然宿主であり、そのキクガシラコウモリを食べてSARSウイルスの中間宿主となったハクビシンをヒトが食べたことでSARSが発症したという構図を描いたようだ。
しかし、2002年11月にSARSが発生したのは広東省佛山市であり、石正麗のチームが問題のキクガシラコウモリを探し当てた雲南省の辺境地域からは直線距離で1200キロメートル以上離れている。
キクガシラコウモリは中国南部、インド、ミヤンマー、ネパール、ベトナムに分布して生息していて、中国南部では通常見かけるコウモリの1種である。
広東省でキクガシラコウモリの調査をすれば良いはずであるにもかかわらず、石正麗のチームがわざわざ雲南省の辺鄙な場所にある洞窟まで出かけてキクガシラコウモリの調査を行わなければならなかったのはなぜなのか。
キクガシラコウモリが遠路はるばる1200キロメートルの距離を飛行して佛山市に至り、そこでハクビシンに食べられて、ハクビシンをSARSウイルスの中間宿主にしたとは到底考えられない。
また、中間宿主がセンザンコウだとする説は、センザンコウが歯を持たず、アリや昆虫を主食としている事実から考えて、キクガシラコウモリを食べて中間宿主になることはあり得ないのである。
中国政府は17~18年前に発生したSARSの時もハクビシンに新型コロナウイルス(SARSウイルス)の発生源という汚名を着せて冤罪に落とし入れたが、今回の武漢肺炎でも“野味”の食材として販売されている野生動物を新型コロナウイルス“2019-nCov”の発生源と決めつけて、再び冤罪に陥れようとしているように思える。
上述した医学雑誌「ランセット」のオンライン版に1月24日付で掲載された論文が述べているように、武漢肺炎は初期の段階では華南海鮮市場とは何ら関連なく発生したが、初期の感染者が感染に気付かぬまま華南海鮮市場へ出向いて買い物をしたり、華南海鮮市場を通り抜ける中で、華南海鮮市場の関係者の中に武漢肺炎の感染者が増大したと考えられる。
野生動物を食べる“野味”は中国で古くから続けられて来た伝統である。過去の歴史の中でSARSや武漢肺炎のような感染症が発生したことがあるのかは不明だが、少なくとも1949年10月1日の中華人民共和国成立から2002年11月のSARS発生までの52年間は大規模な感染症の発生や蔓延は、筆者の知る限りではなかったはずである。
それが21世紀に入った直後の2002年11月にSARSが発生し、翌2003年の8月にSARSが沈静化から17年後の2020年12月に武漢肺炎が発生したのである。わずか20年弱の間隔で2度も新型コロナウイルスによる疫病が発生して中国国内で蔓延し、それが国外にまで拡大するとは、一体全体これは天災なのか、それとも人災なのか。古代中国の最高神であり天地・万物を支配する「天帝」もさぞかし驚かれていることだろう。
しかし、2002年11月にSARSが発生したのは広東省佛山市であり、石正麗のチームが問題のキクガシラコウモリを探し当てた雲南省の辺境地域からは直線距離で1200キロメートル以上離れている。
キクガシラコウモリは中国南部、インド、ミヤンマー、ネパール、ベトナムに分布して生息していて、中国南部では通常見かけるコウモリの1種である。
広東省でキクガシラコウモリの調査をすれば良いはずであるにもかかわらず、石正麗のチームがわざわざ雲南省の辺鄙な場所にある洞窟まで出かけてキクガシラコウモリの調査を行わなければならなかったのはなぜなのか。
キクガシラコウモリが遠路はるばる1200キロメートルの距離を飛行して佛山市に至り、そこでハクビシンに食べられて、ハクビシンをSARSウイルスの中間宿主にしたとは到底考えられない。
また、中間宿主がセンザンコウだとする説は、センザンコウが歯を持たず、アリや昆虫を主食としている事実から考えて、キクガシラコウモリを食べて中間宿主になることはあり得ないのである。
中国政府は17~18年前に発生したSARSの時もハクビシンに新型コロナウイルス(SARSウイルス)の発生源という汚名を着せて冤罪に落とし入れたが、今回の武漢肺炎でも“野味”の食材として販売されている野生動物を新型コロナウイルス“2019-nCov”の発生源と決めつけて、再び冤罪に陥れようとしているように思える。
上述した医学雑誌「ランセット」のオンライン版に1月24日付で掲載された論文が述べているように、武漢肺炎は初期の段階では華南海鮮市場とは何ら関連なく発生したが、初期の感染者が感染に気付かぬまま華南海鮮市場へ出向いて買い物をしたり、華南海鮮市場を通り抜ける中で、華南海鮮市場の関係者の中に武漢肺炎の感染者が増大したと考えられる。
野生動物を食べる“野味”は中国で古くから続けられて来た伝統である。過去の歴史の中でSARSや武漢肺炎のような感染症が発生したことがあるのかは不明だが、少なくとも1949年10月1日の中華人民共和国成立から2002年11月のSARS発生までの52年間は大規模な感染症の発生や蔓延は、筆者の知る限りではなかったはずである。
それが21世紀に入った直後の2002年11月にSARSが発生し、翌2003年の8月にSARSが沈静化から17年後の2020年12月に武漢肺炎が発生したのである。わずか20年弱の間隔で2度も新型コロナウイルスによる疫病が発生して中国国内で蔓延し、それが国外にまで拡大するとは、一体全体これは天災なのか、それとも人災なのか。古代中国の最高神であり天地・万物を支配する「天帝」もさぞかし驚かれていることだろう。
北村 豊(中国鑑測家)
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