Source:https://news.yahoo.co.jp/articles/c71cc7e88d92f7ee08708ccda29cde88b2835f29
【列島エイリアンズ】出会い系外国人編(4) お見合いサイトで出会った自称〝外国育ちの日本人女〟の資金で、FX(外国為替証拠金取引)を初体験した四国在住の農家、60代の独身男性。女の指南に従うと面白いように勝ち続けたという。さらに女からは残高の半分を提供するとの申し出まで…。 そしてこの時、男性は完全に恋に落ちていた。 「今思えば、FXのドキドキ感による吊り橋効果ってやつだったんじゃないでしょうか。私の方から彼女に『結婚を前提に付き合ってほしい』と伝え、彼女も受け入れてくれました。私は彼女に『会いたい』と伝えましたが、『今はシンガポールにいて、コロナだから日本に帰国できない』とのことでした」 一方で女はある提案をしてきた。 「『FXの共同口座を開設して、結婚資金にしよう』と言ってきたんです。税金面でもその方が有利になると。私には断る理由はありませんでした。彼女の指示に従い、海外FX業者の日本語担当スタッフに連絡を取り、共同口座開設の意思を伝えました」 担当スタッフとのやり取りはLINEのチャットだったという。そこで、パスポートや銀行口座をスキャンした画像を提出すると、即日、共同口座が開設された。 「その後、彼女は『まず同額を入金しましょう。いくら用意できる?』と聞いてきました。私はそこで見えを張り、用意できる精いっぱいの額である『1000万円』と伝えました。彼女はこれに即同意し、翌日には共同口座の残高が9万ドル(約1000万円、昨年7月時点の1ドル=約111円で計算)になっていました。若い彼女がそんな大金をいきなり用意できることに驚きましたが、私も負けじとありったけの貯金をかき集め、さらに母親に200万円を借りるなどして1000万円を用意し、FX業者が指定する口座に2回に分けて振り込みました」 その際の「利用控」が今も残っている。振込先の金融機関は日本のメガバンクで、受取人名はベトナム風の個人名となっている。FX業者の入金口座が、共同ではなく個人口座であることが不自然だが、その後、男性の入金は反映され、共同口座の残高は約18万ドル(約2000万円)となった。ところがその4日後、女性とは連絡が取れなくなってしまう。そして同時に、共同口座の残高もゼロになった。 FX業者に問い合わせても「共同口座の名義人同士のトラブルについてはこちらでは責任を負えない」の一点張りだったという。男性は地元の警察に被害届を提出したが、担当刑事からは「お金は返ってこないと思っておくように」と忠告された。 これが、3回にわたって紹介した60代男性の結婚詐欺被害の顚末(てんまつ)だが、実はこれ、全国で被害者が続出している国際ロマンス詐欺の典型的手口の1つである。次回、複数の組織によって分業化された犯行の裏側を暴く。 ■1都3県に住む外国人は120万人とも言われ、東京は文字通りの多民族都市だ。ところが、多文化共生が進むロンドンやニューヨークと比べると、東京在住外国人たちはそれぞれ出身地別のコミュニティーのなかで生活していることが多い。中韓はもとより、ベトナム、ネパール、クルド系など無数の「異邦」が形成されているイメージだ。その境界をまたぎ歩き、東京に散在する異邦を垣間見ていく。境界の向こうでは、われわれもまたエイリアン(異邦人)という意味を込めて。 ■奥窪優木(おくくぼ・ゆうき) 1980年、愛媛県出身。上智大学経済学部卒。ニューヨーク市立大学中退後、中国で現地取材。2008年に帰国後、「国家の政策や国際的事象が、末端の生活者やアングラ社会に与える影響」をテーマに取材活動。16年「週刊SPA!」で問題提起した「外国人による公的医療保険の悪用問題」は国会でも議論され、健康保険法等の改正につながった。著書に「ルポ 新型コロナ詐欺」(扶桑社)など。
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