Source:https://news.yahoo.co.jp/articles/11207a5d069b52fe3250e8ce18882b10c2156722
【列島エイリアンズ】 タイから日本に語学留学した女子学生Fさんは昨年8月、就職支援団体A(都内)の「7万円で1カ月採用面接受け放題」なるサービスを契約。ところが支払い後、1カ月で受けられた面接はたったの3件で、すべて不採用だった。Fさんは面接回数3件という極端に少ないサービスが契約不履行にあたるとして返金を求めたが、団体Aはこれを突っぱねたという。 パンデミックにより雇用状況が悪化するなか、特に弱い立場にある外国人を狙った詐欺だとすれば、かなり悪質だ。 筆者は、この団体Aについてリサーチを開始した。すると、Fさんと同様の被害を訴える在日外国人が複数いることが分かった。 「絶対ここには行かない方がいい。私は1カ月契約で6万円以上を支払った。(中略)結果はゼロだった。契約前は誠実すぎるぐらいの態度だったが、契約後は私や仕事のあっせんに全く興味がないようだった」 「ここに予約している人はキャンセルしてください。さもなければお金と時間を無駄にすることになる」 「Aは詐欺人材会社だ」 これらは、団体Aの被害者を名乗る外国人らが〝グーグルレビュー〟に英語で残した投稿である。 これとは対照的に、日本語で書き込まれたレビューは、星5つの満点評価にしているものがほとんどだ。 ただ、高評価する投稿にはある共通点がある。文章構成がすべて「私は〇〇人です」から始まり、日本に来るまでの経緯を説明した後、「内定のこともビザのことも安心して依頼しました。〇月〇日にビザがおりました。感謝しています」と綴られており、同じひな型のもとに作成されたような文章なのだ。ネガティブなレビューをかき消すためのサクラ投稿の可能性が高い。 YouTubeには、外国人男性が返金を求めて団体Aの事務所を訪れた際に撮影した動画が投稿されている。そこには、あろうことか団体Aの女性スタッフが、この男性に「触られた」といって叫び声を上げるシーンが映し出されていた。 返金要求をしてきた男性に対し、痴漢行為をでっちあげるつもりだったのだろうか。なぜか「泥棒」とまで叫んでいる。 何より不自然なのが、他のスタッフの様子だ。通常、同僚の女性が痴漢被害を訴えれば、助けの手を差し伸べるなり事情を聴くなりするはずだ。しかし、スタッフの多くは金切り声を上げる女性にほとんど興味を示さず、それぞれの業務を続けている。 筆者は直感した。これは尋常な団体ではない、と。 ■1都3県に住む外国人は120万人とも言われ、東京は文字通りの多民族都市だ。ところが、多文化共生が進むロンドンやニューヨークと比べると、東京在住外国人たちはそれぞれ出身地別のコミュニティーのなかで生活していることが多い。中韓はもとより、ベトナム、ネパール、クルド系など無数の「異邦」が形成されているイメージだ。その境界をまたぎ歩き、東京に散在する異邦を垣間見ていく。境界の向こうでは、われわれもまたエイリアン(異邦人)という意味を込めて。 ■奥窪優木(おくくぼ・ゆうき) 1980年、愛媛県出身。上智大学経済学部卒。ニューヨーク市立大学中退後、中国で現地取材。2008年に帰国後、「国家の政策や国際的事象が、末端の生活者やアングラ社会に与える影響」をテーマに取材活動。16年「週刊SPA!」で問題提起した「外国人による公的医療保険の悪用問題」は国会でも議論され、健康保険法等の改正につながった。著書に「ルポ 新型コロナ詐欺」(扶桑社)など。
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