2020年10月26日月曜日

一人でも多くの医療者に知ってほしい…そんな思いで作られたYouTube動画がある。「全国に広まってほしい」やさしい日本語って?

 Source:https://news.yahoo.co.jp/articles/514936574e612a6c5fdf2fe5c4787f0bb99ddfa2

配信、ヤフーニュースより

BuzzFeed Japan

「医療者に広く知って頂きたい、全国に広まってほしいと願って、無料でどなたでもご覧いただけるようにしました」ーー。そんな思いを込めて、10本の動画が今秋、YouTube上で公開されました。医療現場で役立つ「やさしい日本語」についての動画です。やさしい日本語とは、日本語に不慣れな外国人、または高齢者、障害者に話す時に使われる、専門用語や難しい言葉を使わない、シンプルで分かりやすい日本語のことです。動画を制作した、専門家の思いを取材しました。【 BuzzFeed Japan / 冨田すみれ子 】

医療現場でニーズが高まる「やさしい日本語」

まず、「医療で用いる『やさしい日本語』」と題された動画2本では、やさしい日本語とは何かという説明や、言い換えのコツについて、専門家が例を交えて説明しています。 他に、総合受付、医療相談、検査、病棟、外来、会計など、病院の様々なシーンでの会話について、それぞれ動画が作られました。 動画では、場面ごとの会話のやさしい日本語への言い換えや、外国人患者とのやり取りがまとめられています。 動画は、順天堂大学、帝京大学、聖心女子大学が協力し、東京の政策課題に連携して取り組む「東京都と大学との共同事業」の一環として作られました。日本に住む外国人の生活を支援するNPO「CINGA」も共に制作しました。

言い換えのポイントは、簡単な言葉で、一文を短く

病院では、日本人でも理解することが難しいような医療の専門用語などが使われることもあります。どうすれば、日本語に不慣れな外国人などに分かりやすく伝えられるか、ということが動画で示されています。 例えば、動画の中では、このような言い換えが説明されています。 「喫煙・飲酒はなさいますか?」→「たばこは吸いますか?ビールや酒は飲みますか?」 「問診票の記入をお願いします。記入できたらこちらにお出しください」→(紙を手渡しながら)「これを書いてください。終わったら、ここに出してください」 「ベットから動く時はナースコールをしてください。付き添いをさせて頂きます。一人では動かないでください」→「一人では動かないでください。ベットから出るときは呼んでください。(ボタンを指差しながら)ここを押します。私が一緒にいきます」

「ゆっくり簡単な言葉で話してくれた時、うれしかった」

今回、公開された動画の一つには、実際に日本に住み、出産のために入院した経験がある外国人女性2人の経験談や意見をまとめた動画もあります。 2人とも、出産した当時はまだ日本語が流暢ではなかったのですが、看護師らに日本語で自分の思いを伝えようとしたり、やさしい日本語でコミュニケーションを取ってほしいとお願いしたといいます。 しかし、知っている日本語で懸命に話しかけても「ごめんね、外国語わからない」「英語話せない」と、一種の「拒否反応」を見せる病院関係者もいたと話しました。

一方で、ゆっくり話を聞き、簡単な言葉を使って話したりする関係者もいたといいます。 動画で経験談を話した2人は、医師や看護師がやさしい日本語でゆっくり話してくれた時には「うれしかった」「すごく安心した」と話しました。 2人は、医療関係者に対してのお願いとして、「専門用語を使わずに、ゆっくり、分かりやすい言葉で話してほしい」とし、そして、外国人患者から話を聞くときにも「発音を理解しようとしてほしい」「広い心で忍耐強く聞いてほしい」と話しました。

医療現場でのやさしい日本語を巡っては、国立国際医療研究センター病院が医療関係者を対象に、やさしい日本語(医療)サポーター養成講座を開いています。 海外出身の患者と病院で日々接する医療者が、実際にやさしい日本語を病院で使えるように、日本語教師から言い換えなどを学びます。 同センターでは、やさしい日本語に関して三つの養成講座を開いていて、上級レベルの講座を終了すると、病院など自身が働く現場でやさしい日本語セミナーを開催運営することができるまでのレベルになります。 講座を修了した人が、また各地で、やさしい日本語を広めていくことができる仕組みです。

コロナ禍でも動画で「やさしい日本語」伝える。地方の関係者にも

武田教授は、このようなやさしい日本語に関する動画10本をYouTubeに掲載したことで、どのような場所にいても学べるようになったことが良かったと話します。 新型コロナウイルスの感染が拡大する前に、医療現場でのやさしい日本語についての研修会を開こうと企画していたものが、コロナ禍で開催できなくなりました。 そのような状況でも動画を無料で掲載することで、医療関係者それぞれが自宅などから動画で、好きな時間に学ぶことができます。 今回掲載した動画には、北海道や九州など地方にいる医療関係者からも、良い反応があったといいます。 実際、外国人技能実習生を多く受け入れる自治体や、外国人労働者が多く働く工場や農場などは地方にあるケースも多く、やさしい日本語のニーズが高まってきています。 武田教授は、医療関係者に向けてこう語ります。 「(やさしい日本語の言い換えに)難しいスキルは不要です。正解があるわけでもありません。相手が分かる言葉を探してみてください」


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