2019年9月2日月曜日

変わる多言語教育…第二外国語、必修の高校も

Source:https://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20190828-00010000-yom-soci
8/28(水)、ヤフーニュースより

 全国の高校のうち、授業で英語以外の外国語を教えている学校は1割強に上っている。グローバル化が進み、東京五輪パラリンピックが1年後に迫る中、多言語教育は変わりつつある。その現状と課題を伝える。
「東京五輪・パラリンピックで交流盛んに」
 英語以外の外国語を必修化する高校が出ている。東京都立王子総合高校(北区)はその一つだ。

 今年4月から2年生約240人全員が英語のほかに、中国語、韓国語、フランス語、ドイツ語、スペイン語の5か国語の中から一つを選択し、週2コマ(1コマ=50分)の必修科目とした。

 半数の約120人が選択した中国語の授業。

 「今天几月几号星期几?」(今日は何月何日何曜日ですか)。角屋章教諭(59)が問いかけると、生徒が一人ずつ、「六月二十号星期四」(6月20日木曜日です)と答えた。発音に問題があれば、正しくできるまで指導を受ける。

 女子生徒の一人は「東京五輪・パラリンピックを機に様々な国との交流が盛んになる。中でも中国人との会話の機会が増えると思った」と選択理由を語った。道を聞かれてもスムーズに答えられるよう、日常会話の練習を続けるという。

 「様々な言語に触れることで地球的規模での活躍を考えるきっかけになる。外国人との実用的なコミュニケーションツールとして身につけさせたい」と山田智美副校長は話す。

 生徒が希望すれば3年次も選択科目として学ぶことが可能だという。
将来のステップアップに
 東京都教育庁は昨年2月、小中高校生らを対象にした「東京グローバル人材育成計画’20」を策定。「多言語科目の授業設置の推進」を目標の一つに掲げた。

 都立高校のうち、3割弱にあたる55校が英語以外の外国語の授業を行い、講座数は15年の155から18年は188にまで増加した。

 私立高校でも必修化の動きはある。

 自由ヶ丘学園高校(東京都目黒区)のグローバルコース(27人)では今年4月から、「第二外国語」が1、2年次の必修科目となった。中国語、フランス語からいずれか一つを選び、週1コマの授業を受ける。

 7月に行われた1年のフランス語の授業では、生徒7人が滝口秀人教諭(44)とともに校外に出かけた。フランス語で書かれた看板を探して写真撮影し、今後、学校近辺の「フランス語地図」を作成する。

 滝口教諭は「生徒が高校での学習をもとに自身で学び続け、将来のステップアップにつなげることを期待している」と言う。
6言語学ぶ高校も
 観光都市・奈良市に来春開校する奈良県立国際高校は、国内では珍しい語学教育を予定している。

 「国際社会の平和と発展に貢献する人材」を育成することが狙いで、入学者200人は1年次に英語のほかに、独自科目の「世界の言語」を必修とするのが特徴だ。

 授業で扱うのは、中国語、韓国語、フランス語、ドイツ語、スペイン語の5言語。それぞれに年8コマの授業を充て、基礎的な会話や表現を学ぶ。

 「入学時にどの言語が自分に向いているか生徒にはわからない」。開校準備を進める奈良県教育委員会の担当者は説明する。

 2年に進むと、各生徒が5言語から一つを選び、必修科目の「第二外国語」として週2コマの授業を受ける。卒業時には「自分の高校生活について言葉で表現できるレベル」に達するよう、県教委はカリキュラムを調整していくという。

 多言語教育に詳しい臼山利信・筑波大学教授(言語政策)は「英語に加え、もう1言語を学ぶことができれば、日本も含め、三つの国の視座から文化や価値観の違いを見つめるきっかけになる。豊かな感性を持つ人格形成を促すことにもなる」と指摘する。
全国の高校14%実施
 文部科学省の調査では、全国の高校の授業で教えられている英語以外の外国語は18言語を数える。

 2016年5月1日時点で、国公私立の13.6%にあたる677校で実施し、履修した生徒は1.3%の延べ4万4539人。言語別では、中国語が1万7210人、韓国・朝鮮語1万1137人、フランス語7912人、ドイツ語3542人などの順となっている。

 多言語教育では、明治期から欧米との関係強化のため、英語、フランス語、ドイツ語の教育が重視されてきた。交易などでロシアと歴史的なつながりのある北海道や北陸ではロシア語を教える高校が目立つなど、地域性も強い。
高校で教えられている英語以外の18言語
(2016年5月時点、文部科学省調査)

 中国語、韓国・朝鮮語、フランス語、ドイツ語、スペイン語、ロシア語、イタリア語、ポルトガル語、インドネシア語、アラビア語、タイ語、ベトナム語、マレー語、フィリピノ語(タガログ語)、ポーランド語、古典ラテン語、ネパール語、トルコ語

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