2019年9月2日月曜日

【変わる多国籍の街・新大久保】(3)新たに増えるネパール、ベトナム人

Source:https://www.sankei.com/life/news/190823/lif1908230039-n1.html
新大久保フェスで仲間とともにネパールの歌を歌うティラク・マッラさん(右端)=4日、東京都新宿区
新大久保フェスで仲間とともにネパールの歌を歌うティラク・マッラさん(右端)=4日、東京都新宿区
その他の写真を見る(1/2枚)
 新大久保(東京)は近年、ベトナム、ネパールなどの住民や店が増え、多国籍化が進んでいる。平成15年の新宿区の外国人登録者数はベトナム55人、ネパール64人だったが、現在はいずれも3千人を超え、中国、韓国に次いで多い。
 「ネパール料理は本気の味。今は送金、洋服、旅行、不動産なんでもある」と、ネパール人向けの新聞などを発行する「GMTインターナショナル」のティラク・マッラさんは話す。
 ネパール人がほとんどいないころに来日したティラクさんは生活になじむのに苦労したという。
 「日本語が分からなくて、買い物など困ることばかりだった。頼る人がいなかったので苦しい時代だった」と振り返る。
 来日する同胞に同じ苦労をしてほしくないと、ネパール人向けの新聞「ネパリ・サマチャー」を発行し、情報発信を始めた。さらに、みんなが集う場所を作ろうと、ネパール料理店も開店した。
 平成23年3月の東日本大震災で韓国からの学生が激減。日本語学校が新たに学生を募集し、ネパールとベトナム人が増加したという。ティラクさんは「日本でコックとして働いてためたお金で独立し、自分の店を開いてから家族を呼び寄せたりする人が増えた」と説明する。
 現在の新大久保は仕事や学校、衣食住、情報が集まり、リトルネパールタウンのようになっている。ただ、ティラクさんには少し心配もある。
 「ネパール人同士だけで付き合うのではなく、せっかく日本に来たのだから、日本人と仲良くしてほしいですね」
一方、人材育成を目指す技能実習と留学が増加しているのがベトナムだ。
 来日11年目でベトナム国籍のグェン・チュン・タインさん(35)は、外国人専用の賃貸住宅の斡旋(あっせん)やモバイルサービスなどを行う会社で働く。ベトナムで日本の会社で働いていたことがきっかけで来日した。「日本は安全な国ですごく便利。ベトナムから日本に来たい人は多いので、架け橋になりたい」
 ベトナムで働いていた経験を生かし、在日ベトナム人向けのコミュニティーサイトなどを運営する韓国人の朴相範(パクサンボム)さん(46)は、情報が増えた一方で、誤った情報が広まることを懸念する。
 「在留資格のアルバイトの時間制限や学校の出席率などが、口コミだと間違っている場合もある。できるだけ正確な情報をベトナムの言葉で分かりやすく伝えていきたい」
 新大久保に外国人が多い理由の一つに、日本語学校の多さが挙げられる。昭和62年に開校し、もっとも古い歴史のある「カイ日本語スクール」には、40カ国以上の生徒約200人が通っている。
 同校は経験を学習に生かすコミュニティーベースドラーニング(CBL)を取り入れており、新大久保駅の多言語放送を作成したほか、3カ月に1度、大久保図書館で母国語と日本語の読み聞かせを行っている。
 代表の山本弘子さんは「本を選んだり、練習をしたり、子供をどうやって集めるかが体験になる。せっかく日本に来たのだから、教室を出た体験が学びになる」と話す。
 山本さんによると、学生の滞在期間は平均1年ほどで、「日本が好きで来日している学生に、できるだけ多くの経験をしてほしい」。仕事、生活、観光地であると同時に、新大久保は格好の学びの場でもあるのだ。(大渡美咲)

0 件のコメント:

コメントを投稿