Source: https://tocana.jp/2019/09/post_115171_entry.html
2019.09.28、GOOGLEニュースより
2019.09.28、GOOGLEニュースより
ヒマラヤの奥地に眠る正体不明の人骨――。「骨の湖」と名付けられたループクンド湖の謎を、海外メディアが取り上げている。
■日本兵の遺体と誤認 氷河湖に眠る人骨の謎
インド北部、中国およびネパールとの国境に接するウッタラーカンド州、標高5000メートル。切り立った山々が連なるヒマラヤ山脈の一角に、「骨の湖」と呼ばれる氷河湖がある。
ループクンド湖――人里から離れ、夏季を除いては雪と氷に覆い尽くされる、小さく浅い、瓦礫に囲まれた水たまり。多くの者が足を運ぶ理由が思いつかないその場所から、突如として数百体もの人骨が発見されたことが、俗称の由来となっている。
事の起こりは第二次大戦の只中である1942年、未踏地の探査にあたっていたハリ・キシャン・マドワル(Hari Kishan Madhwal)が、これらの人骨を発見したことに始まる。
インドを支配下におく大英帝国は報告を受け、その正体を越境攻撃を企てた日本兵の遺体ではないかと推測したが、劣化具合はより古い年代の骨であることを如実に物語っていた。
そして時代はめぐり、21世紀。現地における簡易的な調査のほかは、ほぼ顧みられることもなかった人骨の謎に、ようやく科学のメスが入ることとなる。「Daily Mail」の記事より
■悪天候による大量死か?
2004年に『ナショナルジオグラフィック』誌が遠征隊を組織し、副葬品とともに30体分の人骨を回収したことを皮切りに、本格的な研究は始まった。
湖に散乱する人骨には共通点があり、頭蓋骨や肩甲骨に著しい損傷が確認されていた。また地元には、王族が巡礼中に暴風雨に巻き込まれて遭難死したとの伝説も存在していた。
これらの事実から、突然の嵐によってクリケットボール大のひょうが降り注ぎ、湖の付近を通過していた旅人の大量死を引き起こしたとの仮説が立てられた。湖は身を隠す木々すら生えない標高にあり、満足に避難ができなかったというこの説には説得力があったので、研究者の間では有力なものとして語られるようになった。
だが、そのような事故による影響を否定する新発見が、直近の研究によってもたらされた。
■日本兵の遺体と誤認 氷河湖に眠る人骨の謎
インド北部、中国およびネパールとの国境に接するウッタラーカンド州、標高5000メートル。切り立った山々が連なるヒマラヤ山脈の一角に、「骨の湖」と呼ばれる氷河湖がある。
ループクンド湖――人里から離れ、夏季を除いては雪と氷に覆い尽くされる、小さく浅い、瓦礫に囲まれた水たまり。多くの者が足を運ぶ理由が思いつかないその場所から、突如として数百体もの人骨が発見されたことが、俗称の由来となっている。
事の起こりは第二次大戦の只中である1942年、未踏地の探査にあたっていたハリ・キシャン・マドワル(Hari Kishan Madhwal)が、これらの人骨を発見したことに始まる。
インドを支配下におく大英帝国は報告を受け、その正体を越境攻撃を企てた日本兵の遺体ではないかと推測したが、劣化具合はより古い年代の骨であることを如実に物語っていた。
そして時代はめぐり、21世紀。現地における簡易的な調査のほかは、ほぼ顧みられることもなかった人骨の謎に、ようやく科学のメスが入ることとなる。「Daily Mail」の記事より
■悪天候による大量死か?
2004年に『ナショナルジオグラフィック』誌が遠征隊を組織し、副葬品とともに30体分の人骨を回収したことを皮切りに、本格的な研究は始まった。
湖に散乱する人骨には共通点があり、頭蓋骨や肩甲骨に著しい損傷が確認されていた。また地元には、王族が巡礼中に暴風雨に巻き込まれて遭難死したとの伝説も存在していた。
これらの事実から、突然の嵐によってクリケットボール大のひょうが降り注ぎ、湖の付近を通過していた旅人の大量死を引き起こしたとの仮説が立てられた。湖は身を隠す木々すら生えない標高にあり、満足に避難ができなかったというこの説には説得力があったので、研究者の間では有力なものとして語られるようになった。
だが、そのような事故による影響を否定する新発見が、直近の研究によってもたらされた。
■混在する遺伝子グループ 世代に差異も
発見の内容は昨年8月、オープンアクセスの学術雑誌『ネイチャーコミュニケーションズ』上で公開された。改めて38体分の人骨を対象としたDNA分析の結果、人骨は少なくとも3つの遺伝子グループに属していることが明らかになったのだ。
最も多い23組の人骨が含まれるグループは、現代のインド人の祖先と目される集団で、これはカーストなどに基づいて細分化することもできる。
生前の食生活から居住地を推定できる安定同位体による食性分析も、この判別を裏付けている。ハーバード大学に所属する研究論文の筆頭著者、エーディン・ ハーニー(EadaoinHarney)氏は、分析結果に驚きを感じたという。
「一般に東地中海に関連する祖先の存在が確認されたことから、ループクンド湖が単に地元民だけが関心をよせる場所ではなく、世界中から環境客が訪れるような場所だったことを示しています」
さらに驚くべきことに、放射性炭素年代測定により、主要な遺伝子グループ2つの人骨について、最も離れたもので約1000年もの歳月の開きがあることが突き止められた。具体的には、7世紀から10世紀ごろにインド人の祖先たちが命を落としている。
続いて17世紀から20世紀という比較的新しい時代に、地中海と東南アジアからの旅行者がこの湖を訪れていたことがわかった。
■謎は振り出しへ……
これによって、偶発的な事象だけで問題を説明することが難しくなり、人骨の起源を悪天候とする仮説は覆されてしまった。ともすれば湖自体が聖地であったり、埋葬地であったり、自殺の名所であったり、我々が知り得ない特別な意味をもつ場所であったのかもしれない。
厳しい旅程に負けじとハイカーたちが列をなし、土産物として骨を持ち帰るため、「骨の湖」の存続を危ぶむ声もあるほどだ。 謎の解明にはまだ時間が必要だが、現代の旅行者の倫理や常識を逸脱した振る舞いも、見方によっては人骨の主たちと重なる部分があるようだ。
参考:「Daily Mail」ほか
文=Forest
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