Source: http://www.okinawatimes.co.jp/articles/-/78845
2017年1月7日 、GOOGLEニュースより
2017年1月7日 、GOOGLEニュースより
9秒でまるわかり!
- 日本語学校の留学生で、法律の制限時間を超える不法労働が常態化
- 勤務先を分散し、勤務時間を法定内に収めるなど実態が見えにくい
- 人手不足を背景に、違法と知りつつ労働させている事業所もある
入管難民法に定められた制限(週28時間以内)を超えて長時間働く「不法就労」が、日本語教育機関(日本語学校)に通う留学生の間で常態化している。不法就労しなければ日本滞在に必要な学費や生活費を支払えず困窮する学生が大半で、中には出稼ぎを目的に来日した留学生もいる。一方、こうした留学生の労働力が深刻化する沖縄社会の人手不足を補っている実態もあり、単なる規制強化だけでは問題の解決につながらない側面もある。(社会部・知花徳和、篠原知恵)
長時間働いている留学生はアルバイト先を複数に分散し、一つの事業所ごとでみれば週28時間以内の勤務に収まるようにするなどして、不法就労の実態を見えにくくしている。本紙の取材では、最大で三つのアルバイトを掛け持ちして1日に15時間半、週当たりでは最長で93時間(週6日勤務)働く学生も確認された。給与は複数の預金口座に分けて入金したり、宅配便で本国に現金を送ったりしている。
人手不足を背景に、違法だと知りつつ留学生を長時間労働させている県内事業所も複数あり、中には留学生だけ給与を手渡しにし、書類上で週28時間以上の勤務が確認できないよう給与明細を改ざんしている人材派遣会社もあった。日本語学校が学費の分割払いが滞りがちの学生にアルバイト先を複数紹介して事実上、不法就労を助長している事例も一部で確認された。
県内日本語学校の留学生の大半はネパール、ベトナムなどの発展途上国の出身。
留学生の就労 入管難民法は、法務省入国管理局の許可を得た留学生に週28時間以内のアルバイトを認めている。通学先の長期休業期間中は1日8時間以内。週28時間の制限を超えて働く不法就労が発覚すれば学生本人は退去強制、雇用した事業者側も不法就労助長罪で3年以下の懲役か300万円以下の罰金が科されることがある。
留学生頼みの事業者 「経営成り立たず」
「有効求人倍率」が本土復帰後初めて1倍の大台に乗り、かつてない労働市場の活況に沸く沖縄。一方でコンビニや居酒屋の深夜勤務、ベットメーキング、弁当・総菜工場などを中心に人手不足は深刻化しており、そのひずみを解消させるために外国人留学生の存在が重宝されている実態がある。今や留学生の「不法就労」なくして、経営が立ちゆかない事業所も出ている。
「求人誌に夜勤募集を出して、日本人が来たのは過去2年で2人だけ」。那覇市内の24時間営業コンビニの店長は嘆息する。店の張り紙を見たり、友人の紹介で応募してきた外国人留学生4人を雇用するが、まだ足りない。店長は「夜勤があと3人ほしい。言葉の壁がない日本人も採用したいが、現状は日本語能力が十分でない留学生にも頼るしかない」とこぼす。
雇っている留学生の大半が他のコンビニ店との「掛け持ち」をしており、他店の勤務時間を避けてシフトを組んでいる。入管難民法に定める「週28時間以内」を大幅に超えて働いている実態に気付いているが、店長は「彼らなしで経営は成り立たない」と語る。
市内にある深夜営業の居酒屋店長も人手不足に10年余り悩み、ようやくたどり着いた解決策が留学生の存在。今やアルバイト9人のうち、5人が留学生だ。
日本語の読み書きができない留学生に伝票処理を教える手間を考えれば、留学生は通常のアルバイト1人の指導量の倍を費やす。だが「コストはかかっても仕方ない。日本語が上手でないスタッフもいるが、調理に回ってもらうなどして工夫している」と明かす。
大手ホテルのベッドメーキングでも、留学生が長時間勤務に就く。人手不足にあえぐ雇用者側も、留学生だけ給与を手渡しにして実態を見えなくしていることもあるという。同ホテルの関係者は「日本人従業員より留学生がはるかに多い。複数のアルバイトを掛け持ちしたり、母国に子どもを残して仕送りしたりしている留学生もいる」と語った。
沖縄労働局によると、留学生が多く働く業種は軒並み有効求人倍率が高い。昨年11月時点でホテル従業員などの倍率は4・16倍、弁当・総菜製造工は4・38倍、飲食業の接客などは2・49倍、コンビニなどの商品販売業は1・57倍で、人手不足が表面化している。全職種の有効求人倍率は1・02倍。
単純労働が抜け道に ジャーナリスト・出井康博さん
出稼ぎ目的の「偽装留学生」が急増している。日本は単純労働を目的にした外国人の入国を認めていないが、単純労働を中心に人手不足は深刻化しつつある。そこで「留学生」を“抜け道”にし、なし崩し的に出稼ぎ目的の単純労働者が入国している実態がある。
日本語学校を入り口にして入国した留学生は、日本人の嫌がる低賃金・重労働に耐え、2、3の職場を掛け持ちし、寝る間を惜しんで働いている。24時間営業のコンビニ、希望時間通りの宅配便配送、早朝の新聞配達…。もはや、私たち日本人の便利な生活は、彼らの存在や「不法就労」なしに成り立たなくなっている。このことを、どれほど多くの日本人が自覚しているのだろうか。
「留学生」を偽って出稼ぎにきた彼らは、確かに自主的に来日してはいるが、まぎれもない「犠牲者」だ。彼らは「日本なら月30万円稼げる」などとブローカー(仲介業者)にだまされ、母国で100~200万円の借金を背負わされて来日している。10年にわたり彼らを取材する中で、借金を背負ったまま働きすぎで過労死したベトナム出身の学生もいた。
人手不足で単純労働者が必要というなら、真正面から正々堂々、移民受け入れについて議論すればよい。それもせず「留学」と称して発展途上国の若者を受け入れ、日本人がしたがらない労働をさせ、ビザと引き換えに母国の年収の数倍にもなる「学費」を納め続けさせている。今や「偽装留学生」の急増をビジネスチャンスと捉え、少子化にあえぐ専門学校や大学までも彼らの獲得に乗り出しているほどだ。
これが、安倍政権の進める「留学生30万人計画」の下で起きている現実だ。これでは日本が国ぐるみで「ブラック企業」をやっているも同然ではないか。今すぐ「30万人計画」の旗を降ろすべきだ。(談)
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