Source: http://www.nishinippon.co.jp/nnp/opinion_view/article/304170
2017年01月27日、GOOGLEニュースより
=2017/01/27付 西日本新聞朝刊=
2017年01月27日、GOOGLEニュースより
◆「新移民時代」取材班から
厚生労働省が27日に発表する国内の外国人労働者数は、初めて100万人規模に達する見通しだ。「移民政策」を否定する政府の建前と、少子高齢化が進み外国人が不可欠な労働力となっている現実。そのひずみを見つめ、共生の道を探るキャンペーン報道「新 移民時代」を昨年12月から始めた。
日本語学校などで学ぶ留学生の実像を描いた第1部「出稼ぎ留学生」。九州への留学生が激増するネパールで留学仲介業の過熱ぶりを追った第2部「留学ビジネス ネパールからの報告」。二つの連載を終えて課題が見えてきた。
夢を抱いて途上国から来た私費留学生の多くは、アルバイトなしでは学費や生活費が賄えない。入管難民法の就労制限(週28時間以内)を守れば困窮し、破れば摘発対象となるリスクを負っている。
政府の「留学生30万人計画」に乗じた業者の「日本に行けば楽に稼げる」という甘言に誘われ、本来は留学生の要件を満たさない若者も出稼ぎ目的でたくさん来ている。チェック機能を果たすべき入国管理局は、訪日旅行客の急増で人手不足に陥っている。
一方で、規制を強化すれば済む話でもない。日本の若者が敬遠しがちな深夜のコンビニや食品工場、宅配便の仕分けといった職場で、ときに不法就労で働く彼らの恩恵を私たちは受けている。
政治家はもちろん、市民も移民政策を真正面から論じる時が来ている。その議論は、合わせ鏡のように人口減時代の日本社会のあり方を考えることにつながる。
定住外国人との共生には、日本語教育の充実も欠かせない。連載では留学生を数多く受け入れる日本語学校や専門学校の玉石混交ぶりも描いた。学校側は営利、学生側は留学ビザをつなぐのが目的の「名ばかり学校」もある。学生も教員もやる気を失い、学級崩壊が常態化しているが、許認可権を持つ行政当局は実態を把握できていない。
取材で出会った日本語教師はこう告発した。「アジアの若者たちの夢を食い物にするような現状を改めなければ、いずれ日本は見放される。東京五輪がある2020年がタイムリミットだ」。2月に予定するキャンペーン第3部は、外国人技能実習制度の実態や課題を取り上げる。
=2017/01/27付 西日本新聞朝刊=
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