Source:https://news.yahoo.co.jp/articles/6171e2abc126cdf90cd6a899df468e34a3450a0f
【列島エイリアンズ】 高速道路を走行中、右から急な車線変更をしてきたドイツ車を避けようと、とっさにハンドルを切ったAさんは、左車線を走行中の普通自動車に接触する事故を起こしてしまった。 事故の処理に当たった警察は、「ドイツ車の誘因事故の可能性もある」として、運転者を割り出して事情を聴くことをAさんに約束した。Aさんは事故による損害の半分以上は、ドイツ車の運転者から賠償されるものと信じ、警察からの連絡を待っていた。 ところが後日、警察の電話連絡で告げられたことは「運転者を割り出すことができなかった」というものだった。「ドイツ車は第三者から貸し出されたもので、運転者が日本に居住していない中国籍で、中国の連絡先も分からない」というのが理由だった。 レンタカーであれば、借り主は運転免許証の提示を求められる。借り主が外国人なら、レンタカー業者が国際運転免許証のコピーを取っているはずで、国外の住所も確認できるはずだが…。 Aさんが明かす。 「警察によると、ドイツ車の持ち主は正規のレンタカー業者などではなく、SNSで自分の車を個人間レンタカーで貸し出している在日中国人だったようです。警察に対して、運転者にSNSを通して貸し出したことを認めたそうです。受け渡しの際に『国際運転免許証を目視した』といっていますが、名前や住所を控えたり、コピーを取ったりといったことはしておらず、そもそもどこの国で発行された国際運転免許証なのかについても『記憶にない』と話しているそうです。車の返却まで業者が連絡を取っていた運転者のSNSアカウントは、今は抹消されているそうです」 筆者が、中国のSNS「小紅書」でざっと検索しただけでも、「日本で車を貸します」という書き込みがいくつもヒットした。しかし、SNSの運営会社に情報提供を依頼することはできないのだろうか。 「外国のSNSということで、それも難しいそうです。それに、『非接触事故ということで当て逃げなどと違って現時点では刑事事件でもないので、警察としても動きようがない』とのことでした」 ちなみに、この事故が人身事故であれば、ドイツ車を貸し出した在日中国人男性に使用者責任を問うことができたという。しかし、Aさんも普通自動車の運転手も、軽いむち打ち程度で、事故当時には症状もなかったため、医師の診察を受けていなかった。これがアダとなり、Aさんは自分の軽自動車の損害、32万円は自腹となってしまったというのだ。 訪日観光客の復活に沸き立つ前に、こうした観光公害についても再考する必要がありそうだ。 =おわり ■1都3県に住む外国人は120万人とも言われ、東京は文字通りの多民族都市だ。ところが、多文化共生が進むロンドンやニューヨークと比べると、東京在住外国人たちはそれぞれ出身地別のコミュニティーのなかで生活していることが多い。中韓はもとより、ベトナム、ネパール、クルド系など無数の「異邦」が形成されているイメージだ。その境界をまたぎ歩き、東京に散在する異邦を垣間見ていく。境界の向こうでは、われわれもまたエイリアン(異邦人)という意味を込めて。 ■奥窪優木(おくくぼ・ゆうき) 1980年、愛媛県出身。上智大学経済学部卒。ニューヨーク市立大学中退後、中国で現地取材。2008年に帰国後、「国家の政策や国際的事象が、末端の生活者やアングラ社会に与える影響」をテーマに取材活動。16年「週刊SPA!」で問題提起した「外国人による公的医療保険の悪用問題」は国会でも議論され、健康保険法等の改正につながった。著書に「ルポ 新型コロナ詐欺」(扶桑社)など。
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