Source:https://www.christiantoday.co.jp/articles/30326/20211210/nepalese-pastor-sentenced-two-years-prison-praying-covid19.htm
ネパール北西部カルナリ州のドルパ郡地裁は11月30日、同国の改宗禁止法に基づき、新型コロナウイルス感染症のために祈ったケシャブ・ラジ・アチャリア牧師に対し、禁錮2年と罰金2万ルピー(約1万9千円)を言い渡した。米迫害監視団体「国際キリスト教コンサーン」(ICC、英語)が同日、明らかにした。
アチャリア牧師は昨年3月、新型コロナウイルスに関する虚偽の情報を広めたとして、ガンダキ州ポカラの自宅で逮捕された。約2週間後には釈放されたものの、その直後に「宗教的感情を害する行為」と「改宗行為」を行ったとして再逮捕され、3カ月以上勾留された後、昨年7月に保釈金30万ルピー(約28万円)を支払って保釈されていた。
インターネット上で公開され、拡散した動画では、アチャリア牧師が信者の前で祈りをささげ、次のように述べている。
「コロナよ、去れ、そして消えよ。主イエスの御力によって、お前のすべての行いが破壊されますように。主イエス・キリストの御名において、コロナよ、お前を叱責する。この被造物を支配するお方の御力によって、叱責する。主イエス・キリストの御名の力によって、コロナよ、去れ、そして消えよ」
ICCの南アジア地域担当マネージャーであるウィリアム・スターク氏は、次のように述べている。
「1年以上にわたり、ドルパ郡当局はアチャリア牧師を何らかの罪で有罪にし、キリスト教の牧師であるというだけの理由で罰しようとしていたように見えます。2015年に新憲法が制定されて以来、ネパールのキリスト教徒は、信教の自由を規定する憲法第26条とその関連法が、彼らのコミュニティーを標的にする目的で使われることを懸念してきました。信教の自由が真に国民のための権利であるならば、ネパールの広範な改宗禁止法は廃止されなければなりません」
アチャリア牧師は昨年7月に保釈された後、迫害情報サイト「モーニング・スター・ニュース」(英語)の取材に対し、勾留中は「非常に困難な」期間だったと振り返り、次のように語っていた。
「留置所では、幼い子どもたちと妻のことを考え、主に叫び祈りました。もし私がこのような目に遭うことが主の計らいならば、きっと主は私をここから救い出してくださるだろうという希望を持って、主を見上げていました」
アチャリア牧師はまた、政府関係者と警察が協力して自身に不利な状況をつくったと考えているとし、「彼らは、私がより長く留置所にいるよう、綿密な計画を立てていたのです」とも語っていた。
アチャリア牧師の弁護を担当したゴビンダ・バンディ首席弁護士は当時、英国を拠点とする信教の自由擁護団体「世界キリスト教連帯」(CSW、英語)に対し、牧師の度重なる逮捕は「この国の信教の自由の行く末を示す、極めて憂慮すべき兆候」だと語っている。
「警察は明らかに憲法の範囲外で、刑事手続きのルールを無視して行動してきました。牧師を標的に刑法の厳格な規定を適用し、それによって、より広範な少数派コミュニティーを、宗教や信仰の実践に対する刑罰で脅そうとしているように見えます。さらに言えば、牧師に対するすべての申し立ては、根拠のない偏見に満ちたものです。これは間違いなく標的型の迫害であり、わが国の司法制度が演じる茶番だといえます」
ネパールのキリスト教徒は、2015年9月に新憲法が公布される前から攻撃を受けてきた。
ネパール東部では、2つの教会で同時期に小規模な爆破事件が発生。それぞれの教会でヒンズー民族主義を呼び掛けるパンフレットが発見され、ヒンズー民族主義団体「ヒンズー・モルチャ・ネパール」は、キリスト教指導者の国外退去とキリスト教改宗者のヒンズー教への復帰を求める声明を発表するなどした。
ネパールの新憲法は同国を世俗的国家と定めているが、誰も他の宗教を信じる人々を自身の宗教に改宗させようとしてはならないとしており、宣教活動を事実上禁止している。また、多数派の宗教であるヒンズー教の保護をも求めている。
憲法第26条第3項には、次のように書かれている。
「何人も、公法と公序を乱し、またはある宗教の人を他の宗教に改宗させ、または他の人々の宗教を乱す目的で、振る舞い、行動し、他人を行動させてはならない。このような行為は、法律によって罰せられる」
ネパール政府は2018年、議論を呼んだ新憲法のこの箇所に基づく内容を刑法に加え、たとえ改宗を奨励しただけでも、有罪とされた個人は、5万ルピー(約4万7千円)以下の罰金と5年以下の禁錮刑に処されると定めた。
ネパールのヒンズー民族主義者らは、人々がキリスト教に改宗することで、ヒンズー教が脅威にさらされていると主張している。彼らは、2006年までヒンズー君主制だったネパール憲章から、「世俗主義」という言葉(南アジアの文脈では、国がすべての宗教を平等に扱うことを意味する)を排除するよう求めてきた。
迫害監視団体「オープンドアーズ」は、迫害がひどい50カ国をまとめたリストで、ネパールを世界で34番目に迫害がひどい国としている。
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