Source: https://www.nishinippon.co.jp/feature/new_immigration_age/article/418038/
政府が検討する外国人受け入れの拡大策は、人手不足にあえぐ業界にとっては朗報となりそうだ。中でも訪日外国人客の急増に沸くホテル業界は、既に熱い視線を送っている。留学生についても就労手続きの簡素化が盛り込まれ、留学から就労への門戸も広がる。
外国人旅行者の姿が目立つ那覇市の繁華街、国際通り。ホテルパームロイヤルNAHAで働くネパール出身のサントシュ・パウデルさん(35)は日本語と英語を使いこなし、フロント業務を担う。「給料もボーナスも日本人と同じ。働くのが楽しい」と胸を張った。
母国の大学を出て、沖縄県内の日本語学校に留学した。卒業後は語学力を生かし、正社員として採用された。ただし、ホテル側にとっては、採用時に入国管理局から理由書の追加提出を求められるなど、煩雑な就労手続きが必要だった。高倉直久総支配人は「手続きの簡素化はありがたい」と歓迎する。
沖縄県内はホテルの建設ラッシュに沸く一方、人手不足が懸念され、技能実習への「宿泊業」の追加にも期待が膨らむ。「ホテル側は人材難を解消でき、実習生も日本の高品質なサービスを身に付け、帰国後も生かせる。双方に利益がある」と高倉総支配人はみる。
ただ、サントシュさんのように恵まれた職場に巡り合えるとは限らない。受け入れ先によっては、賃金の未払いや過重労働を強いられるケースもある。
昨年11月施行の技能実習適正化法では、受け入れ先を監督する「外国人技能実習機構」が新設され、人権侵害には罰則規定も設けられた。さらに政府は今後、外国人向けの支援を強化し「日本人と外国人が共生できる社会の実現」にも力を入れるとする。
実習生の支援を続ける全統一労働組合(東京)の佐々木史朗書記長は「機構側の人員は限られ、監督態勢は整っていない」と指摘。「労働者としての権利を守り、教育、医療制度の整備など生活者としての支援も欠かせない」とセーフティーネットの整備を求めた。
=2018/05/20付 西日本新聞朝刊=
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