2018年5月31日木曜日

危急種インドサイの赤ちゃん誕生、3週間で一気に成長

Source:https://headlines.yahoo.co.jp/article?a=20180525-00010001-nknatiogeo-int

5/25(金) 、ヤフーニュースより


好奇心が強く、冒険好きで、手に負えない
 英国のチェスター動物園で、インドサイの赤ちゃんが生まれた。飼育係によれば、すでに性格のようなものが形成されつつあるという。

 哺乳類の飼育責任者ティム・ローランズ氏は「彼は生まれてすぐ、自信に満ちた若者になりそうな雰囲気を醸し出していました。とても好奇心が強く、冒険好きで、“手に負えない”という表現がぴったりです」と話す。

 名前はまだ決まっておらず、今後、性格を考慮して命名される予定だ。
20世紀には絶滅寸前に
 このサイは5月3日、アシャという母親から生まれた。誕生時の体重は約60キロもあり、おとなになったら2トンを超える可能性が高い。インドサイは角が1本しかなく、ユニコーンにちなんで「ライノセロス・ウニコルニス(Rhinoceros unicornis)」という学名が付いている。よろいのような分厚い皮膚も特徴のひとつだ。

 生まれたての赤ん坊が立ち上がり、よろめきながら歩く様子がカメラに収められているが、1カ月足らずで急激に成長し、動画では、母親のすぐ後ろを弾むように走り回っている。アシャはこれから1年半にわたって子育てし、その後、単独行動に戻る。

 飼育係たちはインドサイの個体数増加に貢献できるかもしれないと喜んでいる。インドサイは国際自然保護連合(IUCN)のレッドリストで、絶滅の恐れがある「危急種(VU)」に指定されている。野生のインドサイを脅かしているのは、角を売って大きな利益を得ようともくろむ密猟者たちだ。インド北西部では、本来の生息地も失われつつある。

「今回生まれた子供が野生に戻される可能性は低いですが、絶滅危惧種の繁殖プログラムで重要な役割を担ってほしいと思っています」とローランズ氏は話す。チェスター動物園は「ヨーロッパ絶滅危惧種プログラム(EEP)」に参加している。動物園や水族館が絶滅の危機にある種を繁殖目的で貸与や交換、譲渡するためのシステムだ。今回生まれた子供も9歳になって成熟したら、ヨーロッパの別の動物園に移動する可能性が高い。

「野生の個体を脅かしている問題に対策が施され、安全な生息環境を確保できるようになれば、未来の世代が(野生に)戻る可能性はもちろんあります」

 インドサイは今も絶滅の危機にあるが、ここに至るまでの復活劇は動物保護におけるサクセスストーリーと考えられている。20世紀末、インドサイは200頭以下に減少し、絶滅寸前まで追い込まれた。世界自然保護基金(WWF)によれば、現在、3500余りの個体が確認されているという。インドとネパールの政府が保護活動に力を入れ始めたことが大きい。
インドサイだけではない
 密猟や生息地の破壊という差し迫った脅威にさらされているサイはインドサイだけではない。3月には、キタシロサイが最後の雄を失ってしまった。現在、2頭の雌しか残されておらず、保護活動家たちは100万ドル(約1億円)をかけて人工授精技術を開発し、新しい個体を誕生させようと必死に努力している。

 5月に入り、米サンディエゴ動物園の科学者チームがミナミシロサイの人工授精を成功させた。まだ道のりは長いが、チャレンジしてみる価値はありそうだ。
文=Sarah Gibbens/訳=米井香織

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