2018年5月3日木曜日

<中印首脳>関係強化で一致 武漢で会談「一帯一路」の要所

Source: https://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20180428-00000097-mai-int
4/28(土)、ヤフーニュースより
 中国の習近平国家主席は27、28両日、湖北省武漢市でインドのモディ首相と非公式に会談し、関係強化で一致した。武漢は中国が進める現代版シルクロード経済圏構想「一帯一路」の要所の一つ。「一帯一路」建設でインドに協力を働きかけることで、対中国を念頭にインドとの連携強化に動く日米をけん制するねらいがあるとみられる。【上海・工藤哲、ニューデリー松井聡】

 中国メディアによると、両首脳は一連の会談で、経済・貿易や投資分野などでの協力推進で合意した。習氏は「協力を強め、地域経済の一体化を進めるべきだ。世界経済の開放を進め、多国間貿易体制を支持する」などと発言。モディ氏は「中国と手を携えて発展途上国の利益拡大を促進したい」と述べた。

 両首脳は28日、市内の湖畔を散歩するなどし、2日間で6度の会談を重ねた。習氏は会談の場所を武漢とし、そこでモディ氏を直接出迎えることで「一帯一路」にインドを抱き込もうとする意図を印象づけた。

 背景にあるのが、日米が中国の海洋進出をにらんで提唱する「自由で開かれたインド太平洋戦略」への警戒感だ。中国は日米がインドを取り込んで中国包囲網を形成することを警戒しており、国際情報紙・環球時報は28日付の社説で、米国などを念頭に「中印対立の概念を作り出し、アジア太平洋戦略をインド洋に拡大している」と懸念を示した。

 一方、会談に臨んだモディ氏も、首脳会談の継続的な開催を提案してみせた。

 モディ氏は昨年9月、新興5カ国(BRICS)首脳会議で福建省を訪問し、今年6月には上海協力機構(SCO)首脳会議で山東省青島を訪れる。インド側には、昨年北東部周辺で中印両軍の緊張が高まったことを踏まえ、軍事的な緊張が再び高まることを避けるとともに、中国の経済協力を受けたいという思惑がある。

 ただ、中印両国の対立は依然存在する。最も大きな火種はパキスタンを巡る問題だ。中国はインドと対立するパキスタンを一貫して支援してきた。中国が「一帯一路」の主要事業と位置づける「中パ経済回廊」(CPEC)が、インドが領有権を主張しパキスタンが実効支配するカシミール地方を通過することから、インドは猛反発している。

 インドが目指す「原子力供給国グループ」(NSG)加盟も中国が反対して実現していない。インドが従来「勢力圏」と考えてきたスリランカやネパール、モルディブで中国が影響力を拡大していることも対中警戒の一因だ。

 印シンクタンクORFのラジェシュワリ・ラジャゴパラン氏は「中印は本質的な問題で対立しており、協力できる分野は限定的だ。本格的な関係強化は時間がかかるだろう」と指摘する。

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