Source:https://news.yahoo.co.jp/articles/e0e24e02e8f0ad526f33015b809dc9191f8f1f91
【シンガポール=森浩】ヒマラヤ地域のネパールで、与党ネパール共産党の内紛が深刻化し、中国が調停に乗り出した。巨大経済圏構想「一帯一路」による資本投下を通じて影響力を拡大する中国は政情の不安定化に危機感を抱いている。伝統的にネパールと結びつきが強いインドも情勢を注視。ヒマラヤの小国の政争は、関係が冷え込む中印の新たな火種となる可能性をはらんでいる。 ネパールでは2017年の下院選で、統一共産党(UML)とネパール共産党毛沢東主義派(毛派)が「左派同盟」として共闘し政権を獲得。18年5月に両党はネパール共産党として合流した。 中国は共産党政権の誕生を歓迎し、習近平国家主席は19年10月、国家主席として23年ぶりにネパールを公式訪問し、インフラ整備支援や両国を結ぶ鉄道建設に意欲を示し、緊密さをアピールした。 だが、政権内ではUML出身のオリ首相と毛派出身のダハル元首相の主導権争いが続いた。政権内ではダハル氏に近い勢力が強いことから、オリ氏は選挙による事態打開を画策。下院は昨年12月20日に解散され、今年4~5月の総選挙実施が決まった。国内では政権の内紛や経済政策に不満が高まり、反政府デモも相次いで起きている。 中国にはヒマラヤ地域でインド軍との対(たい)峙(じ)が続く中で、両国のはざまにあるネパールで親中政権を維持したい思惑が働く。中国は12月27日、共産党中央対外連絡部の郭業洲副部長ら代表団をネパールに派遣。郭氏はオリ氏らと相次いで面会し、政界の状況などについて意見交換したもようだ。 郭氏の発言内容は伝わっていないが、ネパール共産党報道官は「中国は常にネパールの安定を望んでいる。中国共産党はネパール共産党と友好関係にあり、彼らは現在の状況を心配している」と話した。 一方、インドは政争を「内政問題」としてコメントを控えているが、インド外務省関係者は「状況を注視している」と明かす。親中のオリ政権はインドと領有権を争う地域をネパール領とする地図を作製するなど、インドを刺激するような政策を打ち出していた。インドは政争で親中路線に変化が出るか見極めているともいえそうだ。 印ネットメディア「ザ・プリント」は、「オリ政権は中国が糸を引いたと思われる数々の決定を下してきた。それはインドにとって戦略上、安全保障上の不利益をもたらすものだった」と指摘。モディ政権にネパール情勢への関与強化を求めている。
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