2020年11月18日水曜日

インド最北の秘境、チベット民族の住むラダックを訪ねて

Source:https://news.yahoo.co.jp/articles/8bd969ab7ea8edbaaee5ede47f1d5009e415685d 

配信、ヤフーニュースより

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連載第24回 インド

インド最北のラダックは、北インドに位置するインドの秘境とも呼ばれる地域です。チベット、中国、インドが入り混じった、摩訶不思議な文化圏は息をするのもやっとの標高の高さ!素朴な発見の多い旅でした。 【写真】ラダックで見た人々の暮らし

●念願叶ってインドの秘境へ

今回は、インド最北部、ラダックでの話をしたいと思います。ラダックは山岳地帯にあり、インド国内に存在するチベット文化の色濃い地域です。冬は寒くて夏は暑い。杏とヒマラヤ杉の街でもあります。私が訪れたのは、2013年の8月のことでした。 以前、チベットのラサを訪れた際、ネパールへにつながるハイウェイを通って北インドへ抜けたことがありました。その時、今度はいつか、インド国内の「チベット」であるラダックを旅してみたいと思いました。それが念願かない、現地の民家にお世話になることにもなったのです。

●息がすぐに切れる、標高3500メートルの街へ

飛行機で首都デリーに降り立った私は、再び飛行機に乗って北に1時間ほど飛び、中心都市のレーに到着しました。標高は3500メートルもあり、空気が薄くて息がすぐに荒くなります。身体の動きも鈍くなって、早く歩けないほど。でも、お世話になる予定の民家はさらに標高が高いところにあるので、まずは体を慣らす必要があります。 そこで、レーの市街地にあるホテルに向かい、一泊して体を慣らしました。翌日から、シェルパの方々と一緒にジープに乗り、さらに標高の高い「ダー」という村へ向かいました。4軒の民家に1泊ずつお世話になったのですが、一軒移動するごとにさらに標高が高くなってゆくのでした(笑)。 レーは、外国の人が多いラダック観光の拠点です。そのため、ホテルで出てくる料理は、この後に民家でいただいたものとは異なり、洋風、中国風、北インド料理が入り混じったようなミックス料理でした。標高の高さからくる空の青さと、白い建物が印象的なレーの街に暮らすのは、チベット民族だけでなく、インド人や学生たち。さらに標高の高い地域から出稼ぎにきている人々も多くいました。

●ラダックの料理はインド料理とは少し違う

ラダックの料理はチベット、ネパール、ブータン、いろいろな文化が混ざっていますが、もちろんインド料理の1つです。以前訪れた、チベットのラサと比較してみると興味深く感じます。ラサは中国のチベット自治区にあり、ラダックはインドのチベット文化圏。同じチベット文化の場所でも、チベットでは中国料理が主流で、クミンなどのスパイスはひかえめ。一方、ラダックに来ると、うっすらカレー風味のインド料理なのです。ラダックは最北部でスパイスも育たないですし、高地で物流も活発ではありません。そのため、北インド同様、粉末状のミックススパイスが使われてはいましたが、使う量は少なく、料理は刺激の少ないものでした。それでも、「このような最北部でも、やはりインドなのだなあ」と、なんとも言えない気持ちが込み上げてくるのでした。

●4軒のお宅にお世話になる

お世話になったお宅は、ほとんどが自給自足の農業と牧畜の暮らしでした。私が訪れたのはちょうど8月で、麦の収穫時期でした。北インドは、地域全体としては米も食べますが、ラダックの主食は小麦です。チベット餃子「モモ」のような粉物も日常食でした。主食は、炒ったはったい粉、昔の麦こがしのようなものを、バター茶で練って食べる「ツァンパ」というものです。

●キッチンの調理台があっても、今なお床で調理

1軒目に訪れたお宅はとてもおしゃれで、色彩のセンスが垢抜けていて驚きました。家の中もとてもきれいで居心地が良い。でもおそらく、この街からは出たこともないような方達です。 今風のキッチンもあるのに使うことはなく、床で粉物を練るのはやはりインドの習慣なのでしょう。チャパティやモモを作ってくれました。彼女の作るチャパティはふわっとやわらかく美味しかった。「チュダギ」という、パスタのような生地をちょうちょのように成形してシチューに入れていました。まるですいとんのようでした。 それから、お茶はバター茶です。中国やインドの細かいダストティーや団茶を削り、少々入れて煮出してバターを加え混ぜる、栄養補給のために飲んでいます。塩を加えて飲むのは飲み難いですが、砂糖を入れたのは馴染みがあるので美味しく感じました。

●真鍮の食器類はステイタスシンボル

2軒目、3軒目のお宅で驚いたのは、たくさんの真鍮製の器がキッチンの棚一面に飾ってあったことです。かつては、農作業のお礼という意味で、作業を行なった仲間をねぎらい、料理を振る舞いあったそうですが、現在はもっぱら装飾品となっていました。 1人分の食器のセットだけでも、何段にも重なった立派なもので、そこに一体何を入れるのか、どう盛り付けるのか、とても不思議でした。何しろ、もてなしと言っても食べ物のレパートリーはあまりないんですよね。でも、これがあるのがステイタスであり、彼らの文化であるようでした。すごくピカピカなの。オーブンもきれいにしているし、いつも磨いているのかも知れません。

荻野恭子、吉田佳代

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