Source:https://www.yomiuri.co.jp/local/osaka/news/20181217-OYTNT50383.html
◇授業法や支援団体紹介 事例集め現場に助言
外国出身の児童生徒が小中学校で急増していることを受け、大阪市教育委員会は、学校や保護者向けの相談対応を始めた。拠点となるのは、中央区の市立南小に設けられた「多文化共生教育相談ルーム準備室」。相談員を務める山田文乃さん(45)は「縁あって大阪で学ぶ子どもと親をサポートし、手探りで受け入れている学校現場も支えたい」と話している。(斎藤七月)
「ベトナム語のお便り(保護者向け文書)はありますか」
準備室に9月、ベトナム出身の児童が転入した小学校から問い合わせのメールが届いた。山田さんは、文章例を多くの言語で紹介するインターネットサイトが参考になると説明した上で、児童の4割が外国にルーツを持つ南小では、「休校など緊急の連絡は黄色」「行事の出欠など回答がほしい連絡は緑色」などと文書の色を分けて保護者に注意を促していると伝えた。
市教委によると、日本語の指導が必要な小中学生は市内で763人に上り、この10年で500人増えた。母語はタイ語やネパール語など20か国語以上に多様化し、通学先も市内全域に広がっている。山田さんは「日本語が話せない子どもを受け入れている学校は試行錯誤を続けている」と話す。
外国から来た小中学生は原則、日本語が話せなくても、普通学級で受け入れる。市教委は、小学校低学年には日本語指導者を各校に派遣して日本語を教えているほか、4年生以上は拠点10校で日本語の集中授業を行っている。
それでも、日本語がうまく理解できない子どもは多い。遠足で弁当を持参したり、水着に名前を書いたりするなど、母国にはない文化に戸惑う保護者も少なくないという。このため、市教委は9月から、子どもの学校生活をきめ細かくサポートしようと週2回の相談対応に乗り出した。
相談員の山田さんは休職中の小学校教諭。数年前に勤務していた西成区の学校で、インドネシア出身の女児のため、日本語教材を探したり、生活に窮した女児家族を支援団体に橋渡ししたりした。「国や文化が違う人たちが共に学べる方法を考えたい」と休職。大学で多文化共生教育を研究中に市教委から相談員就任を打診され、ボランティアで引き受けた。
準備室では、平易な言葉を使う「やさしい日本語」で書かれた保護者向けの文書や、受け入れ実績のある学校が作った教材を集め、イラストを多用した授業のノウハウなどを学校に伝えていく。また、学習支援に取り組む民間団体や、貧しい家庭の子どもたちに温かい食事を提供する「子ども食堂」の活用なども紹介する。
山田さんは「学校に慣れたら、次は学力を身に付けることが大切。市内外の参考事例を集約し、提供していきたい」と意気込む。改正入管難民法の成立で、国内では将来的に外国人労働者の帯同家族が増えることが想定されており、市教委は「準備室を、外国出身の子どもの学習や生活をサポートできる拠点にしていきたい」としている。
2018年12月18日 Copyright © The Yomiuri Shimbun
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