2018年12月11日火曜日

夜間中学校、約8割は外国籍 生徒は「私の居場所」

Source:https://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20181211-00000501-san-soci
12/11(火) 、ヤフーニュースより

 外国人労働者の受け入れ拡大に向け在留資格を創設する出入国管理法の改正により、今後、多くの外国人が日本にやってくることになりそうだが、すでに外国人が多数派となっている“場所”がある。夜間中学校だ。文部科学省の調査によると、公立夜間中学校では、生徒の約8割が外国籍。11月29、30日に東京で開かれた「全国夜間中学校研究大会」では、中国出身の女性が「学校は私の居場所」とスピーチ。日本語に不慣れな外国籍の生徒らにとって、夜間中学校が、かけがえのない学びの場となっていることを訴えた。(吉田智香)

 ■「先生は私の親」

 「大学に行くという、子供の頃からの夢をかなえたい」。大会でスピーチを行った中国出身の楊(よう)帆(ほ)さん(44)は、広島市立観音中学校の夜間学級で学ぶ女性。現在2年生だ。

 1年目はおもに日本語の勉強だったが、「先生方は日本語が早く上手になるように、いつも日本語で話しかけてくれた」。辛抱強く、理解するまで何度も何度も繰り返し指導してくれる教員に出会ったことに喜びを感じた。1年生の終わりごろ、足を骨折して登校できない時期があったが、毎日連絡をくれたといい、「早く学校へ行きたいと思いました。先生方は私の親のように感じました」。

 2年生になると、理科、英語、社会、数学の科目も勉強するように。社会の授業では地図帳の使い方を覚え、友人の国について調べることができるようになった。数学では方程式を解き、家庭科の調理実習ではおでんも作ったという。音楽では歌詞の意味を理解し「日本の歌がとても好きになった」。

 学校には日本人のほか、ネパールやフィリピン出身の生徒がいたといい、他国の文化に触れることができる環境は「毎日新鮮で、知識を豊かにする」。熱心で面倒見の良い教員がいて安心して通うことができ、多くの知識を得ることもできる-。楊さんは夜間中学校を「私の居場所」と表現した。

 ■最多は中国出身

 もともと夜間中学校は、戦争や貧困などで中学校に通えなかった人に義務教育の機会を確保しようと設置されたが、近年は外国籍の生徒の日本語学習の場としての役割も担う。

 文科省によると、公立の夜間中学校は全国8都府県に31校あり、生徒数は計1687人(平成29年7月現在)。このうち外国籍の生徒は1356人で、約8割を占める。

 外国籍の生徒の国・地域は中国が568人で最多。以下、ネパール(225人)▽韓国・朝鮮(202人)▽ベトナム(122人)▽フィリピン(108人)-と続く。

 入学した理由のトップは「日本語が話せるようになるため」(33・3%)で、「中学校を修了しておきたい」(23・3%)、「高校に入学するため」(18・1%)が上位に入った。

 近年は、日本で働く親とともに来日した10~20代の若者が入学するケースも増加。各学校では習熟度別授業を取り入れたり教材を工夫したりして、学習環境を整えている。

 今回、スピーチを行った楊さんは、「大学へ行く以外にもう一つ夢がある。日本語を学び続け、介護の仕事につき、人の役に立つこと」と述べた。

 今後、日本で働く外国人が増えることが予想される中、日本語を教えること以外に「居場所」を作ることのできる夜間中学校の取り組みには、外国人を受け入れる際のヒントがありそうだ。

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