2018年12月4日火曜日

「安倍政権の外国人受け入れ策、どう思う?」日本在住の外国人に聞いてみた

Source: https://headlines.yahoo.co.jp/article?a=20181202-00000003-courrier-pol
12/2(日) 、ヤフーニュースより
外国人労働者の受け入れを拡大しようとする出入国管理法改正案が、11月27日、衆議院を通過した。新しい在留資格を巡っては反対意見も多いが、与党は今国会で成立させる姿勢を崩していない。英紙は日本在住の外国人の声を拾いつつ、この状況を報じている。

安倍晋三首相が新たな在留資格の創設を立案したのは、慢性的な人手不足から外国人人材を雇用したいとする日本企業の切実な要求に応えてのことだった。だが、その出入国管理法改正案には含みがあり、日本が長いあいだ避けてきた論争に火をつけた。

急速に高齢化が進み、民族的にほとんど単一とされる日本は、人口と経済の安定のために移民を受け入れるべきなのだろうか。

争点は、日本でタブーとされてきた二つの問題にある。ひとつは、外国人労働者に(長く困難な道ではあるが)永住への道を開くのではないかという点。もうひとつは、外国人労働者に家族帯同を許すのかという点だ。

10月末の国会での答弁で、安倍首相は“いわゆる移民政策”をとることは考えていないことを強調した。日本で永住権を得るには高いハードルがあり、そのハードルを下げるつもりはない、というわけだ。

ここ数年、日本の外国人労働者数は急増している。2017年は前年比18%増で約128万人だったが、その大半は留学生や技能実習生で、在留期間には上限があった。それが今回の改正案では、労働力不足が見込まれる建設業などの業種には就労ビザを発給し、厳しい日本語能力試験に合格した人には永住も認めるとしている。

「これまでは外国人材の受け入れを高度専門職に限ってきたが、これを改正して単純労働者の受け皿となる新たな在留資格を創設する」と、山下貴司法務大臣は語っている。

改正案に対しては野党が反発しているが、ある野党は賛成を表明した。国民民主党の玉木雄一郎代表は、欧米的な移民政策に前向きの姿勢を示したのである。これは日本の政党では初めてのことだ。

世論調査では、安倍首相の外国人就労拡大案を国民の54%が支持し、34%が反対している。若者が肯定的なのは、意識のゆるやかな変化の現れだ。外国人観光客や外国人労働者の数が急激に増えたことで、日本に外国人がいることがだんだんと特別なことではなくなったのだ。
日本で働く外国人の意見は
構造工学の学位のあるベトナム人のニョ・バン・トュン(25)は、安倍首相が日本に求めているタイプの人材だ。ある上場建設会社がベトナムに出向いてトュンを面接し、高度な専門技術をもつ人材に与えられる在留期間5年のビザを手配した。トュンは無期契約社員となり、日本人の学部卒業生と同等の賃金が支払われている。いまは東京の建設現場の監督だ。

全体的にみて、まずまずの生活だとトュンは感じている。週末はサッカーをし、仕事で日本各地を転々とする。「ベトナムは環境も交通も未発達だから、日本はすごいと思う」と、トュンは言う。だが、この国の長時間労働の文化はショックだった。「日本人はとても仕事熱心で、本当によく働く」と、なかば観念したように言い添えた。

トュンはこの夏に結婚し、妻を日本に呼び寄せたいと思っている。その願いは、安倍政権の改正案で叶いやすくなった。それでも将来については決めかねている──会社がベトナムに事務所を開設するかもしれないし、あと10年以上は日本にいるかもしれない。だが、自分が日本人になれるとは思っていないのだ。

在留外国人数で大きなボリュームを占める留学生には、週28時間以内の労働が認められている。クリザリン・ジュドラーナはフィリピンの大学を卒業し、新聞販売店の独特な奨学金に頼って生活している。会社は家賃と日本語学校の授業料を支払ってくれる。その見返りに、午前0時30分に起床して4時半まで新聞配達をしなくてはならない。

奨学金制度は2年で終わる。だが、ジュドラーナは日本での時間を楽しんでいて、このまま滞在したいと思っている。

「チャンスが来たら、つかみたい。懸命に勉強して、懸命に働きたい」

国籍別では、ベトナム人とネパール人の在留者が急増している。バハドゥール(43)は、ネパールの首都カトマンズ近郊の村出身の料理人で、安倍政権の改革案により、日本で働きやすくなったと感じている一人だ。特定技能ビザを持っているが、取得できたのは、特殊な外国料理の熟練コックとして10年以上の実務経験があったからだ。

バハドゥールは、ネパールに妻と10代の子供が2人いる。だが、日本に呼び寄せるのは金銭的な負担が大きいため、家族帯同ビザが得られても、在留期限が来たら帰国しようと思っている。

「日本語は難しくて、なかなかうまくならない。ここは好きだけど、あれこれ決まり事が多い」

安倍首相の改正案が2019年の春の国会を通過しても、日本は“欧米の失敗”から学び、永住者にはすべからくよく働き、流暢に日本語を話してもらわなくてはならない。いずれにせよ、安倍首相は論争に火をつけ、意識の変化があらわになった。

日本は長らく閉じていた扉を、ようやく開こうとしている。
Robin Harding

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