2018年12月26日水曜日

宿泊学ぶ留学生急増 「特定技能」受け入れ、進路に不安

Source:https://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20181225-00000086-mai-soci
12/25(火) 、ヤフーニュースより

 外国人に事実上の単純労働分野の道を開く改正入管法は、受け入れ業種も25日に正式決定し、深刻な人手不足で対象となった宿泊業界から歓迎の声が上がる。草津や伊香保など全国有数の温泉地を抱える群馬県では、需要を先取りするように、旅館でのおもてなしを専門学校で学ぶ留学生が急増している。ところが、地元業界からは、彼らが新制度で置き去りにされるとの不満の声も漏れてきた。

 「旅館のお部屋に着いたら、お茶をおいれします。それは意味がある。遠くから来て上がった心拍数を抑えるために一息つくのです」。温泉宿の元おかみの説明に、留学生たちが真剣なまなざしを向ける。前橋市の「NIPPONおもてなし専門学校」は、主に外国人に旅館のサービスや接客の技術を教える。

 全国の旅館などから求人が相次ぎ、卒業生の内定率は9割以上。生徒数は開校した2013年の25人から、今年10月には514人と5年で20倍以上に増えた。母国はベトナムやネパールなどアジアの国々が目立つ。

 インドネシア人留学生のロマリオ・ステフンさん(21)は「日本のおもてなしはレベルが高くて母国とまるで違う。20年東京五輪の時にホテルや旅館で働けたらうれしい」と胸を膨らませる。

 宿泊業は、新設される在留資格「特定技能」の対象14業種の一つ。5年で最大2万2000人の受け入れを見込む。外国人に人気の宝川温泉(みなかみ町)にある旅館の岡本浩・副支配人は「門戸が広がるのはありがたい」と歓迎する。繁忙期は中国などからの外国客が7割近くを占め、中国語が話せる台湾人男性を雇う。「外国客の評判はすごくいい」

 一方、現場からは、「特定技能」の外国人が即戦力として活躍することで、留学生の進路が狭まるのではないかとの不安の声も少なくない。留学生が卒業後に就職する場合、「高度な専門人材」として働くことになり、通訳やフロントなど専門的技術や知識を必要とする業務に限られる。一方、「特定技能」は、フロントから接客、レストランサービスなど、より幅広い業務を想定する。

 「清掃などにも携わってほしいのに、仕事を頼めない」。群馬県内の別の温泉地の旅館業者は「既に通訳に1人雇い、もう1人雇う余裕はない。専門知識や日本語を身につけた専門学校の卒業生らに両方担ってもらえた方が人手不足の解消になる」と訴える。

 政府は08年に「留学生30万人計画」を掲げ、留学生は今年6月末で32万人を超えた。おもてなし専門学校の佐藤亜季枝副校長は「特定技能として新たに外国人を受け入れるより、専門学校卒業生の仕事内容を少しでも拡大するよう制度を改善するのが先ではないか」と疑問を投げかける。【杉直樹】

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