2018年12月26日水曜日

外国人就労拡大、閣議決定 「特定技能」9カ国最大34万人

Source:https://www.nishinippon.co.jp/feature/new_immigration_age/article/475624/
 政府は25日、改正入管難民法に基づく外国人労働者の受け入れ拡大に向け、制度の運用について示した基本方針と業種ごとの分野別運用方針を閣議決定した。共生社会実現のための総合的対応策も関係閣僚会議で了承した。新たな在留資格「特定技能」は来年4月からスタートし、今後5年間で最大34万5150人の受け入れを見込む。今後、政府や地方自治体、企業は急ピッチで受け入れ準備を加速させる。
 基本方針は五つの柱で構成。技能や日常会話程度の日本語能力を求め、外国人の報酬額は日本人と同等以上と定めたほか、同じ分野での転職は認めた。悪質なブローカーを排除するための2国間協定を結ぶ。当面、ベトナム▽フィリピン▽カンボジア▽インドネシア▽タイ▽ミャンマー▽ネパール▽中国▽モンゴル-の9カ国を想定している。
 受け入れる34万人超は「上限として運用する」と明記したほか、人手不足が解消した分野は受け入れ対象から外す。改正法施行後2年をめどに見直す。
 分野別運用方針には、14業種別の受け入れ見込み数や技能試験の開始時期を記載。ただ、来年4月時点で技能試験を導入するのは、宿泊、介護、外食の3業種のみ。当面は試験を免除された技能実習生からの移行が大半となる。
 一方、家族帯同が認められ、熟練技能が必要となる2号は制度開始から2年後に建設と造船・舶用工業が導入予定で、ほかの業種は未定となっている。雇用形態は直接雇用が原則だが、農業と漁業は例外的に派遣を認める。
 総合的対応策は126項目に上り、予算は総額224億円。柱は、全国100カ所の相談窓口「多文化共生総合相談ワンストップセンター」。このほか、運転免許試験や110番、災害情報発信などさまざまな分野で多言語化を推進する。
 課題となっている外国人の都市圏集中を避けるため、地域、分野別の受け入れ数を3カ月ごとに公表することも盛り込んだ。入国管理局を格上げし管理と支援を担う「出入国在留管理庁」を4月に創設する。
 政府は法務省令を策定し、来年1月23日の衆院法務委員会の閉会中審査で説明する。
=2018/12/26付 西日本新聞朝刊=

外国人労働者不足、警備業界など直撃

Source:https://www.nna.jp/news/show/1851806
2018/12/26(水)、GOOGLEニュースより

マレーシアでは外国人労働者の不足で、警備業界や農園業界が最も大きな影響を受けている。24日付マレーシアン・リザーブが伝えた。
マレーシア警備サービス協会のムスタパ・アリ会長は「警備員の大半はネパール出身の労働者だが、ネパール政府がマレーシアでの就労を禁止したため、8カ月にわたって労働者の受け入れが止まっている」と話した。その上で、政府にネパール人労働者の導入促進を要求していると説明。バングラデシュ人労働者の導入も考慮すべきだと提言した。
外国人労働者に対しては、来年1月から月額1,100リンギ(約2万9,200円)の最低賃金が適用されるため、雇用主はコスト見直しの観点から外国人雇用を減らすとみている。また、外国人雇用に関する条件厳格化で外国人労働者の雇用コストが上昇しかねない状況だ。
マレーシア政府はまた、近く民間仲介業者による外国人労働者の仲介業務を禁止し、人的資源省傘下の民間雇用庁(APS)が外国人労働者の受け入れを統括する方針も示している。

宿泊学ぶ留学生急増 「特定技能」受け入れ、進路に不安

Source:https://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20181225-00000086-mai-soci
12/25(火) 、ヤフーニュースより

 外国人に事実上の単純労働分野の道を開く改正入管法は、受け入れ業種も25日に正式決定し、深刻な人手不足で対象となった宿泊業界から歓迎の声が上がる。草津や伊香保など全国有数の温泉地を抱える群馬県では、需要を先取りするように、旅館でのおもてなしを専門学校で学ぶ留学生が急増している。ところが、地元業界からは、彼らが新制度で置き去りにされるとの不満の声も漏れてきた。

 「旅館のお部屋に着いたら、お茶をおいれします。それは意味がある。遠くから来て上がった心拍数を抑えるために一息つくのです」。温泉宿の元おかみの説明に、留学生たちが真剣なまなざしを向ける。前橋市の「NIPPONおもてなし専門学校」は、主に外国人に旅館のサービスや接客の技術を教える。

 全国の旅館などから求人が相次ぎ、卒業生の内定率は9割以上。生徒数は開校した2013年の25人から、今年10月には514人と5年で20倍以上に増えた。母国はベトナムやネパールなどアジアの国々が目立つ。

 インドネシア人留学生のロマリオ・ステフンさん(21)は「日本のおもてなしはレベルが高くて母国とまるで違う。20年東京五輪の時にホテルや旅館で働けたらうれしい」と胸を膨らませる。

 宿泊業は、新設される在留資格「特定技能」の対象14業種の一つ。5年で最大2万2000人の受け入れを見込む。外国人に人気の宝川温泉(みなかみ町)にある旅館の岡本浩・副支配人は「門戸が広がるのはありがたい」と歓迎する。繁忙期は中国などからの外国客が7割近くを占め、中国語が話せる台湾人男性を雇う。「外国客の評判はすごくいい」

 一方、現場からは、「特定技能」の外国人が即戦力として活躍することで、留学生の進路が狭まるのではないかとの不安の声も少なくない。留学生が卒業後に就職する場合、「高度な専門人材」として働くことになり、通訳やフロントなど専門的技術や知識を必要とする業務に限られる。一方、「特定技能」は、フロントから接客、レストランサービスなど、より幅広い業務を想定する。

 「清掃などにも携わってほしいのに、仕事を頼めない」。群馬県内の別の温泉地の旅館業者は「既に通訳に1人雇い、もう1人雇う余裕はない。専門知識や日本語を身につけた専門学校の卒業生らに両方担ってもらえた方が人手不足の解消になる」と訴える。

 政府は08年に「留学生30万人計画」を掲げ、留学生は今年6月末で32万人を超えた。おもてなし専門学校の佐藤亜季枝副校長は「特定技能として新たに外国人を受け入れるより、専門学校卒業生の仕事内容を少しでも拡大するよう制度を改善するのが先ではないか」と疑問を投げかける。【杉直樹】

新在留資格、支援策の実効性課題

Source:https://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20181225-00000051-jij-pol
12/25(火)、ヤフーニュースより
 政府が25日に決定した新在留資格特定技能」制度に関する基本方針や総合的対応策には、現行の外国人技能実習制度から教訓を得た外国人支援策が盛り込まれた。

 今後の課題は、これらの実効性をどう確保するかで、官民を挙げての取り組みが問われる。

 政府の聞き取り調査では、多くの技能実習生が仲介業者に支払う多額の仲介料を借金で賄い、来日後も低賃金で働く実態が明らかになった。外務省幹部は「親日だったベトナムの若者が、日本嫌いになって帰る。同じ事がネパールやバングラデシュでも起きつつある」と指摘する。

 基本方針では「外国人の保護」を目的に、保証金徴収や違約金を求める悪質ブローカーを排除するため、相手国との取り決め文書を作成することを打ち出した。110番や相談窓口、災害情報の多言語化、日本語教育の充実も掲げた。

 こうした支援策が徹底されれば、新制度で働く外国人だけでなく技能実習生の労働環境改善にもつながり、日本の信頼向上も期待される。まずは外国人にどう周知徹底するかが最初の関門になる。

 大都市偏在や治安悪化の懸念など、外国人流入に伴う問題は多岐にわたる。基本方針は関係省庁の連携を求めているが、政府内で省庁横断的な検討が行われた形跡は乏しい。自治体や民間企業も巻き込んで共生社会の実現を目指す決意と柔軟性が試される。 

総合的対応策要旨=新在留資格

Source:https://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20181225-00000050-jij-pol
12/25(火) 、ヤフーニュースより
 外国人との共生社会の実現に向けた総合的対応策の要旨は次の通り。

 【暮らしやすい地域社会づくり】外国人が生活全般について相談できる一元的窓口「多文化共生総合相談ワンストップセンター」を全国100カ所に整備。生活や就労に関するガイドブックを作成、多言語翻訳システムの利用促進。自治体の先導的取り組みを地方創生推進交付金で支援。

 【生活サービス環境の改善】医療通訳の配置、電話通訳や多言語翻訳システムの利用促進などで外国人患者が安心して医療を受けられる体制を整備。気象庁ホームページや全国瞬時警報システム「Jアラート」など防災・気象情報を多言語で発信。運転免許学科試験や110番、119番などに多言語で対応。外国人が金融機関の口座を開設できるよう環境整備。

 【円滑なコミュニケーションの実現】日本語教室の空白地域の解消支援など、生活に必要な日本語教育を全国で展開。外国人が適切な日本語教育を受けられるよう、日本語教育の標準や日本語能力の判定基準について検討・作成する。

 【外国人児童・生徒の教育充実】日本語指導に必要な教員や支援員の配置を支援。自治体による外国人児童・生徒への支援体制を整備。

 【留学生の就職支援】大卒者らの就職を促進する在留資格の制度変更。留学から就労関係の在留資格への変更手続きに関する意見交換を実施。

 【適正な労働環境の確保】電話通訳によるハローワークでの多言語対応。在留外国人と地域の中小企業等とのマッチング強化。

 【社会保険への加入促進】法務、厚生労働両省などが情報共有し、外国人の社会保険加入を促進。医療保険の被扶養者などに国内居住要件を導入。出産育児一時金の請求のための書類の統一化を図り、審査を厳格化。医療機関が必要とする場合、保険証とともに本人確認書類の提示を求めることを可能にする。

 【悪質な仲介業者の排除】悪質な仲介業者を排除するよう、2019年3月までに9カ国(ベトナム、フィリピン、カンボジア、中国、インドネシア、タイ、ミャンマー、ネパール、モンゴル)と政府間文書を作成し、情報共有を推進。

 【海外の日本語教育基盤充実】14業種共通の日本語能力判定テストを当面9カ国で実施する。

 【在留管理基盤の強化】業種別・職種別・在留資格別・地域別に外国人の就労状況を把握する仕組みを構築し、就職状況を把握する。

最大34万人超、4月から=外国人就労、準備加速へ―新在留資格で3文書・政府

Source:https://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20181225-00000047-jij-pol
12/25(火) 、ヤフーニュースより
 政府は25日の閣議で、外国人就労の拡大を狙った新在留資格の来年4月導入に向け、制度の詳細を定めた基本方針と分野別運用方針を決めた。

 共生社会実現のための総合的対応策も関係閣僚会議で了承した。即戦力となることが要求される特定技能1号は来年4月に受け入れを開始。介護など14業種で5年間に最大34万5150人の受け入れを見込む。技能水準のより高い2号は建設など2業種で2021年度に運用を本格化させる。

 新制度は事実上、外国人労働者の受け入れを単純労働まで広げるため、歴史的な政策転換となる。詳細の決定を受け、来年4月に向けて関係業界や地方自治体、送り出し国による準備が加速する。

 安倍晋三首相は閣僚会議で「外国人が働いてみたいと思えるような社会の実現に全力を尽くしてほしい」と指示した。

 基本方針によると、1号は「特段の訓練を受けず直ちに業務を遂行できる水準」の技能を持つ外国人が対象。業種ごとの試験合格か技能実習3年修了で取得でき、通算5年間の就労が認められる。2号取得には「監督者として業務を統括し、熟練した技能で遂行できる水準」が必要。1号と異なり無制限に更新でき、家族の帯同も可能だ。

 基本方針は1号受け入れ見込み数(34万5150人)を「上限として運用する」と明記。人手不足が解消した業種は対象から外したり、在留資格認定証明書の交付を停止したりするとしている。

 分野別運用方針は技能試験のスケジュールなど業種別の細目を記載。1号は宿泊、介護、外食の3業種を手始めに来年4月から、2号は建設業と造船・舶用工業の2業種で21年度から新設の試験を始める。建設業は既存の「技能検定」試験も利用できるため、2号の受け入れが来年4月にも実現する可能性がある。外国人の雇用形態は直接雇用が原則だが、農業と漁業は例外的に派遣も認める。

 総合的対応策によれば、14業種共通の日本語能力判定テストは当面、ベトナム、フィリピン、中国、ネパール、モンゴルなど9カ国で実施。来年3月までに、悪質なブローカー排除のための2国間協定を9カ国との間で締結する。

 総合的対応策は共生社会実現に向け、全国100カ所の相談窓口「多文化共生総合相談ワンストップセンター」設置を柱とする126項目の施策を明記。外国人労働者の大都市集中を避ける方策を講じるため、地域別の外国人数を3カ月ごとに公表する方針も打ち出している。 

外国人拡大方針を正式決定 受け入れは当面9カ国

Source:https://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20181225-00000519-san-bus_all
12/25(火) 、ヤフーニュースより
 政府は25日、外国人労働者受け入れ拡大を目指す改正出入国管理法に基づき来年4月に創設される新在留資格「特定技能」に関する基本方針や分野別の運用方針、外国人全般に対する総合的対応策を閣議などで決定した。公的機関や生活インフラの多言語化など、急増する外国人を「生活者」として迎え入れる基盤の整備を国主導で進める。

 滞在期間が最長5年で単身が条件の「特定技能1号」の対象は14業種で、人数の上限は5年間で計約34万5千人と確定。受け入れは当面、9カ国(ベトナム、フィリピン、カンボジア、中国、インドネシア、タイ、ミャンマー、ネパール、モンゴル)からとし、日常会話程度の水準を求める日本語試験を実施する。

 新資格に見合った技能や知識を有しているかを測るために行う技能試験は、業種ごとではなく「溶接」「塗装」などの業務ごとに設ける。報酬は日本人と同等以上を求めており、転職は業務の範囲内に限って可能。兼業は禁止とした。

 ただ、技能試験を実施するのは来年4月時点で「介護」「宿泊」「外食」の3業種にとどまり、残り11業種は来年10月や来年度内などにずれ込む。このため当面は、実習期間を終えた外国人技能実習生からの無試験での移行が大半となる。

 上限の超過や大都市集中を防ぐため、各受け入れ企業に対し業界団体などが調査を行い、地域別の就労状況を把握。官民で作る業種別協議会も設置し、有効求人倍率といった統計も参考にして調整を図るとした。

 一方、家族帯同が可能で永住に道が開ける熟練資格の「特定技能2号」については、制度開始から2年後に「建設」「造船・舶用」の2業種で本格導入する方針だが、他業種の受け入れ時期は未定となっている。

 今後は制度の細部を定める法務省令を策定。政府は基本方針などを、来年1月23日の衆院法務委員会の閉会中審査で説明する予定。

外国人来庁者へ窓口対応 鈴鹿市「多言語通訳システム」 県内初、導入向け効果検証

Source:https://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20181224-00000201-isenp-l24
12/24(月) 、ヤフーニュースより

 外国人労働者の受け入れを拡大する国の入管難民法が改正され、来年4月から施行される。鈴鹿市は17日から、市役所の外国人来庁者への窓口対応として、県内初となるタブレット端末を使った「多言語通訳システム」二台の試験導入を開始した。本格導入に向け、三カ月間で効果を検証するという。

 市によると、先に法改正を見越した試験導入というわけではないという。

 市民対話課の實義幹夫課長は「外国人市民の定住化傾向の進行とともにベトナム、インドネシア、スリランカなどアジア圏の外国人市民が増加しており、行政窓口で多言語対応を求められる機会も増えている。一方で、対応できる言語数に限りがあるという課題に直面している」と説明する。

 市の外国人市民人口は10月末現在で8166人、総人口との比率は四・〇七%。いずれも県内三番目。国数としては56カ国にのぼるがブラジル、ペルー国籍が約半数を占める。

 新たに導入された通訳システムはポルトガル語、スペイン語をはじめ、ネパール語やヒンディー語など12言語に対応。データ通信によるテレビ電話機能を介し、来庁する外国人市民と職員の会話をコールセンターの通訳者を介し、三者で会話ができる。言語はタブレット端末の画面で選択でき、選択した言語の通訳者につながる仕組み。事業者のシステム運用会社ポリグロットリンク=東京都豊島区=は愛知県一宮市などで実績を持つ。

 通訳職員として、市ではポルトガル語二人、スペイン語一人の計三人を配置し、対応してきた。昨年度のポルトガル、スペイン語の年間通訳実績は9627件で、一日平均約40件。簡単な支払いなどは日本語の理解ができなくても、指さしなどで対応できる場合もあるが、相談内容によっては一人に数時間単位でかかりっきりになることも多く、現状は決して十分な支援体制とは言えない。

 頻繁ではないが、対応できない言語の場合、外国人来庁者が鈴鹿国際交流協会などに通訳ボランティアを紹介してもらい、再度通訳ボランティア同伴で来庁し、手続きを済ませるなど、手間と時間が非常にかかることもあるという。

 導入初日、タブレットを使って対応したのは二件。そのうちの一件は、国民保険の相談に訪れた市内在住でペルー国籍のアンドレア・ロクサナ・フローレス・カスティーヨさん(18)と、母親のイングリド・ロクサナ・カスティーヨ・イシハラさん(48)。二人はタブレットの向こう側にいるスペイン語の通訳者を介して、窓口対応の市職員とやりとりし、手続きなどを進めた。

 手が空いたのを見計らい、二人に話を聞くと「通訳者の声も聞き取りやすく、スムーズなやりとりができた」と話し、対応にはおおむね満足な様子。一家は平成17年に来日し、一時帰国や他市で暮らしたこともあったが、鈴鹿に長く住んでいるという。母親は仕事が忙しく、日本語教室に通う機会がないまま、現在もほとんど日本語が理解できない。比較的日本語を理解している娘を頼りにしている。

 対応した保険年金課の太田涼介さん(25)は「言語が多様化する中でタブレットでコミュニケーションを図れるのは有効な手段。安心感もある」と評価する一方、「離れた場所の通訳者に専門用語の説明などが上手く伝わっているかなど、見極めていく必要がある」と話す。

 實義課長は「定住化も進んでおり、DVや児童虐待など込み入った相談も増加傾向にある。通訳者を介してどこまで踏み込めるかは分からない」と慎重な姿勢を示し、「今回は市役所内だけの試験導入になるが、来年度は学校や保健センターなど、もう少し対象を拡大して試験運用の中で需要を調査できれば」と話した。
伊勢新聞

日本語教師の育成へ 能力テスト受験を指導 

Source:https://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20181223-00000039-mai-pol
12/23(日) 、ヤフーニュースより
 外務省は来年4月からの外国人労働者の受け入れ拡大に伴い、新設される日本語能力判定テスト(仮称)の受験指導を行う日本語教師の育成に着手する。来年度からベトナムや中国など9カ国に日本人講師を派遣し、現地の日本語教師らを対象に講座を開く。年間約450人の受講を想定している。

 判定テストへの合格は外国人労働者の受け入れ条件の一つ。日常生活や労働現場で使われる会話に重点を置き、独立行政法人・国際交流基金が今年度中に問題を作成する見通しだ。

 判定テストは現地で英語試験事業を担う業者に運営を委託する。これに併せて外務省は9カ国に講師約40人を派遣し、現地の日本語教師の能力向上を支援する。教師らが指導しやすいように、判定テストの受験用教材も用意する。

 労働者を円滑に受け入れるため、判定テストは年6回実施予定。フィリピンとベトナムで来年度前半に先行実施し、年度内に中国、タイ、インドネシア、ミャンマー、ネパール、モンゴル、カンボジアに拡大する。

 外務省は判定テストと日本語教師育成の関連事業に2018年度補正予算案と19年度当初予算案で計約34億円を計上している。【秋山信一】

宮城県警、サイバーパトロールに民間通訳人委嘱 全国初

Source:https://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20181221-00000036-san-l04
12/21(金) 、ヤフーニュースより
 県内の外国人による犯罪の増加や、外国語による有害な情報の流通を防ごうと、県警は20日、全国で初めて民間通訳人をサイバーパトロール・モニターに委嘱した。SNSや外国人のコミュニティーサイトなどを監視し、違法な情報を発見したら通報してもらい、捜査の端緒としていく狙いだ。

 生活安全部サイバーセキュリティ統括官の三浦英幸警視は、同日開かれた委嘱式で「国内外問わずサイバー犯罪や攻撃が多発している」と指摘。「外国語の知識を生かして違法な情報の発見に努めてほしい」と述べた。

 県警は11月末現在、141件で60人の外国人を検挙。ベトナム人組織の銀行法違反事件では、SNSを使って来日中の留学生に地下銀行へ送金を呼びかけるなど、ネットを利用した手口も目立つ。

 県警には現在、案件ごとに依頼している民間通訳人が、29言語に対応する91人いる。モニター協力を呼びかけたところ、ベトナム語やロシア語などの6言語8人が協力を申し出た。仙台市青葉区に住むネパール国籍の通訳業男性(39)は「来日した11年前に比べて仙台にネパール人が増えている。犯罪を防ぐことができたらいい」と話した。

批判殺到の「入管法改正」 法案の是非論で「中身」が置き去りにされている

Source:https://headlines.yahoo.co.jp/article?a=20181219-00010062-bunshun-soci
12/19(水)、ヤフーニュースより

 改正出入国管理法が12月8日未明に参議院本会議で可決、成立した。この法案は外国人に対する在留資格にさらに2つの資格を新設するものである。具体的には特定技能1号という、「一定の知識、経験を要する業務に就く人材」に対して日本語試験と簡単な技能試験を施すことによって認める資格で、最長5年の在留が認められる。また特定技能2号として、「熟練した技能が必要な業務に就く人材」に対しては在留期間更新を認め、家族の帯同も許可するというものだ。

 この資格の新設はこれまでの外国人技能実習制度を、形を変えて大幅に規制を緩和するものだということで野党からの厳しい追及が行われてメディアを賑わした。また与党の準備した資料が正確さを欠くばかりでなく、来年4月からの実施を優先して、極端に審議時間を少なくしたことから大変評判の悪い顛末となった。

 こうした事態に対して、野党もメディアもややエキセントリックな批判が相次いでいるが、一歩引いて現在日本に在留する外国人はどの程度いるのかに目を向けてみよう。
いまや農業に従事する人よりも多い在留外国人
 法務省在留外国人統計」によれば2017年の在留外国人数は256万人を数える。国内の農業就業人口は同年で182万人、つまり今や農業に従事する人よりも在留外国人のほうが、人口が多いというのが実態である。

 さて、この256万人の在留外国人はどんな人たちなのだろうか。

 まず国籍別にみると中国が73万人でトップ、続いて韓国45万人、ベトナムとフィリピンがそれぞれ26万人、ブラジル19万人の順になる。

 在留外国人の数は近年急増しているという感覚になりやすいが、実はそうでもない。2000年から2010年までは45万人の増加であるのに対して、2010年からの昨年までの7年間の増加数はわずか42万7000人程度であるから、増加率では傾向はあまり変わってはいない。

 特に韓国はこの5年間で在留者が約4万人減少している。韓国との関係は近年微妙な状況にあるが、実際に在留者も減少しているのだ。そして近年大幅に勢力を伸ばしているのがベトナム人で、同時期の増加数は22万人にも及び、ネパールやフィリピンなども大幅増になっている。
在留資格は34種類ある
 さて改正入国管理法で百家争鳴状態になっている外国人問題だが、この256万人の在留外国人には実に34もの在留資格があることは意外と知られていないのではないだろうか。

 在留資格のうち最も割合の大きいのが一般永住者と呼ばれる、日本国政府が許可した日本に永住している外国人だ。その数はすでに75万人に及んでいる。このうちの約33%が中国人、17%がフィリピン人である。

 次に多いのが特別永住者だ。これは戦前から居住している韓国や朝鮮の人びとに付与された在留資格で1991年11月施行の「日本国との平和条約に基づき日本の国籍を離脱した者等の出入国管理に関する特例法」という恐ろしく長い名前の法律に照らして永住が認められている人をさす。その数は33万人。

 留学生も31万人に及んでいて、中国が約40%、ベトナムが23%、ネパールが9%を占めている。いまや多くの私立大学で留学生を招かなければ経営が成り立たないという大学が増えているのも背景だ。
技能実習生の担い手は中国からベトナム、フィリピンへ
 この3つの在留資格だけで約140万人もの外国人が日本に在留していることになる。実は今回議論の対象になっている技能実習生は2017年6月で25万人程度にすぎない。つまり在留外国人の約1 割相当の数にしかならない対象への新たな資格新設が議論になっているということだ。

 ただ、この技能実習制度に基づき在留資格を得ている人は近年急増している。2012年には技能実習生の数は約15万人であったからこの5年間で66%も増加していることになる。つまり外国人技能実習制度が国内の単純労働の受け皿として非常に重要な位置を占めるにしたがって、この制度の拡充が不可欠になってきたことが、人手不足に悩む国内産業界の切実な声となっていったのである。

 また技能実習生の内訳をみるとベトナム人が41.6%の10万4800人、中国人が31.7%の7万9959人だが、これを5年前の2012年と比較すると、中国人は28%も減少したのに対してベトナムは6.3倍、フィリピンが2.9倍、インドネシアが2.2倍になっている。

 特にベトナムやインドネシアは在留者の約40%が技能実習制度の資格を利用した在留になっているのだ。
やがてアジア諸国で単純労働の担い手は奪い合いになる
 こうした国内における単純労働の担い手の変遷は、アジア経済の発展の裏返しともいえる。つまりGDPが日本を抜いて世界第2位になり、もはやその額は日本の倍にも達して経済成長を続ける中国には、もはや日本で単純労働に従事するというニーズがなくなってきている。もともと経済成長を続けてきた韓国ではすでに人手不足で日本に来る人材がいない。そのいっぽうで、経済成長はし始めたものの人口が急増し、人材が余るベトナム、インドネシア、フィリピンなどが人材の供給源になっているというのが実態だ。

 日本は少子高齢化による労働力不足はむしろこれからが本番と言われている。働き手を高齢者と女性に頼ってきた日本は、高齢者の中で大きな塊を占める団塊世代が2025年以降は後期高齢者となり戦線を離脱し始める。女性の就業率も70%にまで高まり、今後大きな供給源として過度な期待をするには限界がある。

 技能実習制度で日本にやってくる外国人を奴隷のように扱ったり、その数を制限して国内の単純労働を司る労働者を保護しようとする政策は、やがては多くのアジア諸国から働く場所としての日本が敬遠されるようになるかもしれない。中国や韓国もやがて日本と同様に少子高齢化がやってくる。アジア諸国の単純労働の担い手は奪い合いになるからだ。
「日本で働くっていいね!」と思われる制度内容を
 むしろ改正入国管理法の施行で日本に今後5年間でやってくると予想される34万5150人の外国人をもう少しポジティブに受け入れられないものだろうか。

 外国人を「もの」のように扱う論調も目につくが、外国人労働者がやってくることは、たとえば不動産業界にとっては決して悪いことではない。彼らは日本にやってくれば必ず家に住む。全員が家を借りるわけではないが、仮に1名月額5万円のアパートやマンションに住むとして、その経済効果は年間2070億円にもなる。

 各人が10万円程度の家具や家電製品を買えば、340億円もの新たな消費が生まれる。外食もするだろうし、服も買う。特に地方では若者の人口が増えずに消費が停滞している中、外国人が増えることは必ずしもマイナスポイントばかりではないはずだ。

 人口の減少と高齢化に悩む自治体も多いが、外国人であれ、新たな人たちが街に転入することは、地域の消費を活性化させる。街の新陳代謝をよくすることは、街の消費活動を活発にし、街を再生させることにつながるはずだ。

 外国人に家を貸したくないなどという地主も相変わらず多いが、政府も国策として外国人をお招きするのであれば、外国人を嫌わずに居住させる賃貸住宅オーナーにはこの際、補助金を支給してもよいのではないか。すでに住宅セーフティネット制度で高齢者や障碍者、子育て世代などを住宅確保要配慮者と定め、入居を拒まないオーナーには補助を行っている。ここに特定技能を認定された外国人を加えてもよいのではないだろうか。

 また一口で外国人といっても宗教や生活習慣、価値観が異なるもの。国別や宗教別に外国人向けの賃貸サービスのメニューを整え、生活そのものから支援をする方法を考えてもよいかもしれない。

 いろいろ評判の悪い改正入国管理法だが、法案の内容はこれから詰めるのだという。ぜひ外国人に「日本で働くっていいね!」と呟いてもらえるような制度内容にしてほしいものだ。
牧野 知弘

永住者、失踪者、労働者──日本で生きる「移民」たちの実像

Source:https://headlines.yahoo.co.jp/article?a=20181219-00010001-newsweek-int
12/19(水) 、ヤフーニュースより

<国会で外国人労働者受け入れ拡大をめぐって議論が紛糾するなか、日本の移民問題に詳しいライターの望月優大氏が本誌12月11日号に10ページのルポを寄稿。その第1章を公開する>
この国で「移民」という言葉がかつてこれほど取り沙汰されたことがあっただろうか──。

日本で暮らす外国人が年々増加し、在留外国人数は今年6月時点で263万7251人と過去最高を更新。政府はこの勢いをさらに加速させようと臨時国会に入管法改定案を提出し、来年4月に「特定技能」という在留資格を新設しようとしている。

だがそんな提案をしながらも、政府は「移民」という言葉を意図的に避けている。自分たちは日本で定住する外国人を増やしたいわけではなく、一時的な人手不足に対応するために「いつか帰る外国人労働者」を受け入れているだけ──その言い分を維持することで、日本が「日本人」だけの国であり続けてほしい人々をなだめすかしたいかのようだ。しかし、そう思いどおりにいくものだろうか。

現実を見れば、日系人のビザ取得を大幅に緩和し、後の技能実習制度につながる研修生の在留資格を創設した89年の入管法改正(90年施行)以降、日本で10年、20年と暮らす外国人はどんどん増えてきた。政府が意図しようがしまいが、今では永住権を持つ外国人が100万人を突破している。それこそが、終わりに近づく平成という時代の偽りようもない結果だ。

日本で働く外国人は大きく4種類に分けられる。(1)在日コリアンや日系人など「身分」に基づく在留資格(「永住者」含む)を持つ人々、(2)留学生アルバイトなど、本来は就労以外の目的で来日し「資格外活動」として一定の制限内で働いている人々、(3)途上国への国際貢献や技能移転を建前とする「技能実習生」、(4)就労そのものを目的とする「専門的・技術的分野」の在留資格を持つ人々、この4種類である。

だが、何十万、何百万と数値化された人間の塊ではなく、一人一人の外国人は何を考え、どんなことに悩み、どんな選択をしてきたのか。数字の裏側にある息遣いを知るために、神奈川県横須賀市、福島県郡山市、大阪府豊中市と、日本のいろいろな土地を訪ねて、そこで暮らす外国人に直接話を聞いて回ることにした。

日本で30年近く暮らしてきた日系ペルー人夫婦、実習先からの失踪を決断した技能実習生、週1日だけ許された休みに仲間たちとサッカーに興じるベトナム人労働者たち。永住者、失踪者、労働者──今ここに確かに存在する、「移民」たちのリアルを追った。
第1章:永住者たちのリアル
臨時国会で入管法についての議論が始まった11月半ばのある日、私は新宿駅のホームで日系ペルー人3世のカブレホス・セサル(39)と待ち合わせた。11歳で親に連れられて来日し、今では自らのルーツを生かして医療通訳として活躍するカブレホス。彼には、以前「移民」をテーマにしたウェブマガジン「ニッポン複雑紀行」で取材をしたことがあった。

この日は私からのお願いで、横須賀市の追浜で30年近く暮らす彼の叔母夫婦に話を聞くことになっていた。外国人労働者の受け入れ拡大が議論される今だからこそ、かつて外国人労働者として呼び寄せられ、既に「移民」としてこの日本社会に定着している日系人たちの声を聞きたい、私はそう考えていた。

新宿から追浜までは、湘南新宿ラインと京急本線を乗り継いで1時間ほど。オッパマと読むその町は、日産の巨大な工場を擁し、バブル景気絶頂の約30年前から多数の日系人を労働者として吸収してきた。

駅前の焼鳥屋で落ち合った日系3世のナカシマ・ドゥラン(57)と2世のナカハタ・パトリシア(57)夫婦もそんな日系ペルー人。日本での暮らしは既に28年を数え、現在は永住権を持っている。日本生まれで日本育ちの2人の娘もあっという間に20代になった。

日本に来た当初は1年間の「出稼ぎ」のつもりだったそうだ。当時のペルーはテロとインフレに悩まされており、日系人だけが日本に行けることを「当時働いていたクリニックの同僚が羨ましがっていた」と、ナカハタは言う。ナカシマのペルー時代の月給は、わずか200米ドルだった(89年当時のレートで2万5000円ほど)。

2人はそれぞれイノウエという派遣会社に片道渡航費分の30万円を借金して来日。まずは栃木県真岡市にある寮に連れていかれたという。寮の運営はナルセという別の派遣会社で、そこには42人のペルー人がいたことをナカシマは覚えている。ナカハタは日本といえば東京の近代的なイメージしか持っておらず、真岡の風景に驚いた。12月のペルーから来たばかりでとても寒く、一緒に来た姉と「もう帰りたい」と泣いた。

その寮は派遣先が決まるまでの待機場所。1カ月ほどたって、2人とも追浜にある日産の下請け企業へと派遣された。

ナカシマに割り当てられたのは車の座席の頭の部分に手で布をかぶせる仕事。ラインの流れ作業の一部で、朝6時から夜10時までの16時間、毎日同じ作業を繰り返し、最初の1週間であっという間に腕が動かなくなった。来日する前に「月給3000ドル稼げる」と聞いていたが、当時は実際にそれぐらいの収入があったという(90年当時のレートで40万円以上)。

ナカハタは車のドアの内側にドリルで取っ手を留める仕事を担当した。来日前は事務所を掃除する内容の動画を見せられていて、自動車部品という話は全く聞いていなかった。最初は1年間の契約だったので、前の夫との間の息子はペルーに置いてきていた。1年間の出稼ぎの後にはペルーに戻るつもりだったのだ。

しかし、現実は彼女の想定どおりには進まなかった。同じ職場で出会ったナカシマとナカハタは91年に結婚。2人の娘が生まれ、時給制で働く夫婦にはさらなるプレッシャーがかかった。家族の生活を支えるための週6日に及ぶ長時間労働の日々。光の速さで時間は流れた。

2008年にはリーマン・ショックで職場の外国人が全員解雇され、コミュニティー全体がパニックに陥る。年越し派遣村の開設など日本全体が失業の波にのまれるなかで、政府は日系人の失業者対策として1人当たり30 万円の帰国支援金の支給を決定。職を失い、それまで死に物狂いで蓄えてきた貯金を使い果たすことを恐れた家族や仲間たちが、わずかな「手切れ金」をもらって航空券を買い、帰国していったという。

最初は出稼ぎ目的でやって来たナカシマとナカハタは、それでも帰らなかった。「娘がいたから」とナカシマ。ナカハタは「たぶん娘が生まれたとき」に、これから先もこの国で生きていくことを決めた。彼女は2カ月前、病気の父に会いに91年の結婚以来初めてペルーに帰国したが、27年ぶりに帰った母国は「とても違う国に見えた」という。

一方、ナカシマは老後はペルーに帰りたいと思っている。15年ほど前にはペルーに家も建てた。帰るのか、帰らないのか。今も、夫婦の間で意見は一致していない。

2人は出稼ぎのつもりでやって来た。政府も短期の労働需要に応えるかのように日系人への門戸を開いた。しかし、結果として起きたのは永住権の取得と30年近くにも及ぶ日本での定住だった。追浜で目の当たりにした現実は、今なお政府が外国人労働者の受け入れ拡大を「移民政策ではない」と言い続けていることの非現実性を改めて浮き彫りにしていた。誰がどう見ても、2人はこの国で暮らす「移民」であるように思えた。

自分のことを「移民」だと思いますか? そう聞くとナカシマはすぐさま「そう思う」と答えた。ナカハタのほうは少し思案して、論理的にはそうだけれど「言い方の問題」だと言った。そして、「おまえは外人だ」と攻撃的な言い方で言われたら傷つく、それと一緒だと言い添えた。

2人は論理的には「移民」である。だが、多数者がその言葉を外国人を社会の一員として迎え入れるために使うのか、それとも排除するために使うのか。少数者として生きてきたナカハタはその差異に敏感に反応していると思えたし、多数者としての私がその言葉をどんなふうに使っていくのか、改めて問い掛けられているのだと思った。

ナカハタはこんな経験もしている。中学生時代の長女を怒鳴りつけた教師に抗議した際、彼女はその教師から「日本の文化に慣れてください」と言われた。だが、彼女はペルーで生徒を怒鳴る教師など見たことがない。同化を迫る社会の中で、ナカハタは自分が信じる筋を通すために戦う必要があった。「日本の文化や日本人を尊重しますけど、私は日本人ではありません」──彼女はそう言い返した。

それでも、2人は日本で長く暮らしたことを全く後悔していないという。ナカハタは、人生の半分にまで至った日本での28年間を「絶対的にポジティブな思い出」であったと言い、そして「私たちはとても親切な日本人に出会ったので」と付け加えた。最初の会社で上司だった男性は2人のことをいつも気に掛けてくれ、永住権申請の際には保証人にまでなってくれたのだと。

ただ1つだけ、ナカシマは日本語を覚えられなかったことを「ちょっと後悔している」と話した。工場にはペルー人やブラジル人が多く、生活もペルー人のコミュニティー内で完結していたので、日本人との接触が少なかった。「日本にいるにもかかわらず、やはり私の世界というのはペルー人コミュニティーですね」。来日当時は「おはよう」すら知らなかった。その後は少しだけ日本語が上達したものの、28年がたったこの日の取材でも、カブレホスによる通訳がなければ込み入った話を聞くことは難しかった。現在、2人が日常的に交流のある日本人の友人は1人もいないという。

日本語ができたら「おそらく今の私の状況は全く違っていただろう」とナカシマは言った。「もしかしたら今頃お金持ちになっていたかもしれない」と笑うナカハタに、「冗談冗談」とナカシマも笑いながら応じた。ただし、これから来る外国人は、ある程度日本語を勉強してから来たほうがいいと彼は思っている。そして、それは「自分自身の経験から」だと。

今もナカシマは日産関係の工場で働いている。時給は1400円。ナカハタは果物の選別工場で働いている。時給は980円。昔と違って、周りにはフィリピン人やベトナム人の女性たちがいる。ナカシマのすぐそばで働くネパール人の若い女性たちは、本当は日本人からの指示が理解できていないのに、日本語が理由で解雇されるのを恐れて聞き返すことすらできない状態にあるのだという。時代は変わった。そして、何も変わっていない──。

電車での帰り道。通訳を仕事にするカブレホスに言葉とコミュニティーについて聞いてみた。「コミュニティーにいると楽。でも向上心がどこかで失われてしまうと思うんです。そんな親の姿を見ている子供たちも同じ。工場の仕事に残ってしまう。みんなにもっと可能性あるぞと呼び掛けていきたいんです」

静岡県富士市で暮らしていた彼は、20代前半で自ら日系人のコミュニティーを離れ、上京を決めた。東京で働き始めると、ペルーでは「すごい企業の営業マン」だった父がなぜ工場の労働者にとどまっているのかと疑問に思うようになった。なぜ日本語を勉強してもっといい企業に行かなかったのか。父にそう聞くと、父の答えはナカシマやナカハタの答えと同じだったという。つまり、週6日仕事をして、子供ができて、周りに安心できるコミュニティーがあった。そして、時間だけが過ぎていった。

カブレホスは今、東京近郊で4人の子供を育てている。現在高校1年生の長女が小学生のころ、「警察官になりたい」と言われてぎくりとした。この国では、永住権だけでは警察官(※)にはなれない。そのとき初めて帰化のことを真剣に考えたという。「もしそれが夢だったら、パパとママ頑張って帰化するよ」

※事実関係に誤りがあったため、「公務員」を「警察官」に訂正しました(2018年12月18日11:30)。

日本で30年近く暮らし、今では永住権を持って生活している人々。最初は「出稼ぎ」のつもりでも、いつの間にかこの国に定住する「移民」になっていた。不況を理由に政府が帰国を促しても、日本で生まれ育った娘たちのために帰らなかった。2018年、いま日本に「出稼ぎ」のつもりで来ている外国人たちの暮らしはこれからどうなっていくのだろう。これからさらに30年後、彼らとこの国との関係は一体どんなふうになっているのだろうか。
望月優大(ライター、「ニッポン複雑紀行」編集長)

2018年12月18日火曜日

外国出身児童、学びサポート 大阪市教委が相談ルーム

Source:https://www.yomiuri.co.jp/local/osaka/news/20181217-OYTNT50383.html
 ◇授業法や支援団体紹介 事例集め現場に助言
 外国出身の児童生徒が小中学校で急増していることを受け、大阪市教育委員会は、学校や保護者向けの相談対応を始めた。拠点となるのは、中央区の市立南小に設けられた「多文化共生教育相談ルーム準備室」。相談員を務める山田文乃さん(45)は「縁あって大阪で学ぶ子どもと親をサポートし、手探りで受け入れている学校現場も支えたい」と話している。(斎藤七月)
 「ベトナム語のお便り(保護者向け文書)はありますか」
 準備室に9月、ベトナム出身の児童が転入した小学校から問い合わせのメールが届いた。山田さんは、文章例を多くの言語で紹介するインターネットサイトが参考になると説明した上で、児童の4割が外国にルーツを持つ南小では、「休校など緊急の連絡は黄色」「行事の出欠など回答がほしい連絡は緑色」などと文書の色を分けて保護者に注意を促していると伝えた。
 市教委によると、日本語の指導が必要な小中学生は市内で763人に上り、この10年で500人増えた。母語はタイ語やネパール語など20か国語以上に多様化し、通学先も市内全域に広がっている。山田さんは「日本語が話せない子どもを受け入れている学校は試行錯誤を続けている」と話す。
 外国から来た小中学生は原則、日本語が話せなくても、普通学級で受け入れる。市教委は、小学校低学年には日本語指導者を各校に派遣して日本語を教えているほか、4年生以上は拠点10校で日本語の集中授業を行っている。
 それでも、日本語がうまく理解できない子どもは多い。遠足で弁当を持参したり、水着に名前を書いたりするなど、母国にはない文化に戸惑う保護者も少なくないという。このため、市教委は9月から、子どもの学校生活をきめ細かくサポートしようと週2回の相談対応に乗り出した。
 相談員の山田さんは休職中の小学校教諭。数年前に勤務していた西成区の学校で、インドネシア出身の女児のため、日本語教材を探したり、生活に窮した女児家族を支援団体に橋渡ししたりした。「国や文化が違う人たちが共に学べる方法を考えたい」と休職。大学で多文化共生教育を研究中に市教委から相談員就任を打診され、ボランティアで引き受けた。
 準備室では、平易な言葉を使う「やさしい日本語」で書かれた保護者向けの文書や、受け入れ実績のある学校が作った教材を集め、イラストを多用した授業のノウハウなどを学校に伝えていく。また、学習支援に取り組む民間団体や、貧しい家庭の子どもたちに温かい食事を提供する「子ども食堂」の活用なども紹介する。
 山田さんは「学校に慣れたら、次は学力を身に付けることが大切。市内外の参考事例を集約し、提供していきたい」と意気込む。改正入管難民法の成立で、国内では将来的に外国人労働者の帯同家族が増えることが想定されており、市教委は「準備室を、外国出身の子どもの学習や生活をサポートできる拠点にしていきたい」としている。
2018年12月18日 Copyright © The Yomiuri Shimbun

アイデミア、ネパール国民に初の国民IDスマートカードを提供

Source:https://www.jiji.com/jc/article?k=20181212005305&g=bw
Dec. 12, 2018、GOOGLEニュースより

仏クールブヴォア--(BUSINESS WIRE)-- (ビジネスワイヤ) -- ネパールでは、初めての電子IDカードがアイデミアによって提供されました。新しい電子IDカードは、行政サービスと社会保障給付の利用改善に貢献していきます。カードは16歳超のすべての国民に配布されことになっており、およそ5年かかる見込みのプロセスが進行中です。
本プレスリリースではマルチメディアを使用しています。リリースの全文はこちらをご覧ください。: https://www.businesswire.com/news/home/20181212005305/ja/
拡張された本人確認技術の世界的リーダー企業であるアイデミアは、2016年から国民ID・市民登録局(DoNIDCR)を通じて、国民IDカードの提供でネパール連邦民主共和国政府に協力してきました。新しい電子IDカードは、こうした長年にわたる関係が続いている中で提供するものです。新しい電子IDカードは、身元情報管理サービスの向上と、行政サービスおよび社会保障給付の提供を支援するという目的でデザインされています。このカードは、電子サービス、越境セキュリティー文書、医療サービスおよび福祉サービスの提供時の電子認証に使用することができます。
11月19日、スマートカード初運用の記念式典には、ネパールの内務大臣のほかアイデミア幹部が列席しました。式典の特別ゲストは新しい電子IDカードの1人目の受領者である101歳のBhagawati Devi Bhandari氏です。同氏はパンチタル郡に市民登録している最年長者です。この式典の前には、11月初めにDoNIDCRパーソナライゼーションセンターで、内務大臣のほかDoNIDCR局長とアイデミアの社長が列席してカード印刷システムの落成式を行いました。
アイデミアが選ばれたのは、スマートカードの製造とパーソナライゼーションに加えて、市民のデータの登録と生体認証の重複排除の機能を備えたエンドツーエンドのシステムを提供して、各個人に一意のIDを発行するためでした。
この国民IDカードは、機械読み取りが可能な多目的の生体認証スマートカードで、ポリカーボネートにレーザー刻印が施され、世界有数のセキュリティー機能を幾つか搭載しています。カードには、カード所有者の写真、指紋、署名が入ったチップが搭載されています。
アイデミアのアジア太平洋地域担当プレジデントであるティム・フェリスは今回の提供について、次のように述べています。「アイデミアは、世界中の人々、特にネパールなどの地方に住む人々にとって、身元情報の重要性を認識しています。アイデミアは近年、ネパール政府と多くの重要なIDプロジェクトで協力しており、ネパールの人々に電子IDカードが無事に提供されることを望んでいます。」
DoNIDCRのディパック・カフレ局長は、次のように述べています。「カトマンズの繁華街からヒマラヤの村までを対象に、国民生活の改善を約束すべく、信頼できる身元情報のエコシステムを作り上げる上で、大きな前進となります。アイデミアが尽力し調整を進め、国民IDカードを配布(発行)できるところまでプロジェクトをレベルアップしてくれたことを評価して、心より感謝の意を表したいと思います。」
アイデミアについて
拡張された本人確認技術の世界的リーダー企業であるアイデミアは、市民や消費者が日常の重要行為(支払い、つながり、旅行、投票など)を物理的な世界でもデジタル空間でも行えるよう、信頼のおける環境を提供するという大きな目標を持っています。
私たちが暮らす現代の社会において、アイデンティティの保護は、今や欠くことのできない重要な事柄となっています。拡張された本人確認を支持する立場に立ちながら、当社は個人が対象かモノが対象かを問わず、セキュリティーが重要となる場合は時間と場所に関係なく、この資産を思考、生産、使用、保護する方法のあり方を塗り替えます。アイデミアでは、全世界の金融、通信、アイデンティティ、セキュリティー、IoT分野の顧客のために、プライバシーと信頼を確保すると同時に、認証済みの、安全で検証可能な取引を保証します。
売上高が30億ユーロ近くに上り、世界で1万4000人の従業員を擁するアイデミアは、180カ国の顧客にサービスを提供しています。
詳細については、www.idemia.comをご覧ください/ツイッターで@IdemiaGroupをフォローしてください
本記者発表文の公式バージョンはオリジナル言語版です。翻訳言語版は、読者の便宜を図る目的で提供されたものであり、法的効力を持ちません。翻訳言語版を資料としてご利用になる際には、法的効力を有する唯一のバージョンであるオリジナル言語版と照らし合わせて頂くようお願い致します。

外国人受け入れ “共生策”まとまる 相談窓口や多言語化

Source:https://headlines.yahoo.co.jp/videonews/fnn?a=20181218-00407949-fnn-soci
12/18(火) 、ヤフーニュースより

外国人労働者の受け入れ拡大をする政府の新制度について、生活面などの支援策の概要が明らかになった。

新制度では、日本で生活する外国人を支援する一元的な相談窓口を設けるほか、医療・福祉・防災・賃貸契約など、幅広い分野で多言語化での対応が実施される。

さらに、生活に必要な日本語のカリキュラムや教材を作るなど、充実した日本語教育の取り組みが盛り込まれた。

また、新たな在留資格を得るために必要な日本語試験は、7カ国で行われることが決まっているが、法務省は、さらにネパールとモンゴルでの実施を検討しているという。

「幸せの国」ブータンから追われた不幸な少数民族ローツァンパ

Source:https://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20181217-00000038-jij_afp-int
12/17(月) 、ヤフーニュースより
【AFP=時事】「幸福」が富と等しく重視されているブータンで10月、国民議会(下院)選挙が実施された。だが、1990年代に無情にも国を追われたローツァンパ(Lhotshampa)の人々は、蚊帳の外に追いやられたままだった。(※この記事は、2018年10月23日に配信されました)
 1985年に当時の国王が「一国一民族(One Nation, One People)」政策を掲げると、ネパール語を話すローツァンパは市民権を剥奪され、「移民」というレッテルを貼られた。この政策は、仏教徒が大部分を占めるブータンの習慣に沿って決められたものだった。伝統衣装を身に着けるよう強要され、ネパール語を話すことも禁じられた。
 国際人権団体アムネスティ・インターナショナル(Amnesty International)によると、抵抗する人は「反国家主義者」のレッテルを貼られ、逮捕されたりレイプや拷問などの残忍な仕打ちを受けたりしたという。
 治安当局は、被拘束者らに対し、自発的にブータンを離れると書かれた宣誓書に署名すれば釈放すると持ちかけた。その結果、全人口の6分の1にあたる約10万人がブータンを後にし、ネパール東部の難民キャンプに避難した。
 当時、王室の医師だったブンパ・ライ(Bhumpa Rai)さん(68)も、ネパールに逃れた一人だ。
「彼らは私たちを侮辱した。ローツァンパはブータン人ではないと言ってわれわれを追い出したのだ」と、ライさんはAFPの取材に語った。
 この厳格な法律は、「国の調和」を守るためとの名目で導入された。国王は、ライさんを保護するために例外とすることを提案したが、ライさんはこれを断り、他のローツァンパに合流してブータンを離れ、ネパールで難民となった。
「彼らは、ネパールをルーツとする人々を敵のように扱っている。医師としてかつては彼らの傷の手当てをしたが、もはや敬意を抱くことはできない」とライさんは語る。
ブータンを離れたローツァンパの大部分は、国連(UN)の支援で、米国やオーストラリア、ノルウェーなど第三国に再定住した。今でもネパールの難民キャンプに留まっているのは、ライさんを含め7000人程度だ。国連のプログラムは2016年に終了し、再定住を拒んだ難民たちはキャンプに取り残された。彼らは、ブータン当局がローツァンパにしたことを国連が免罪したと非難し、再定住を拒んだのだ。
■「幸福な国」の不幸な民族
 ブータンは、中国とインドというアジアの大国に挟まれた小国で、長年、外国からの影響を拒んできた。テレビが許可されたのは、1999年のことだった。欧米化への抵抗と、1990年代後半に打ち出された経済的利益よりも国民の幸福を重視する「国民総幸福量(GNH)」は、ブータンの神秘性を高めた。絶対王政から立憲君主制へ移行したのも2008年になってからで、10月18日に実施された下院選は、3度目の選挙だった。
 米に本部を置くシンクタンク「フリーダム・ハウス(Freedom House)」によると、ブータンは現在もローツァンパを移民と位置付けており、国家主義的な法律を、文化的アイデンティティーや政治的安定の礎だとして正当化している。
 ネパールにいる難民らは、今回の選挙に期待はしていなかった。
「選挙結果は、王室が望むものとなる。私たちの気に入る結果にはならない」と、ドゥルガ・プラサード・シャルマ(Durga Prasad Sharma)さん(80)は話す。このような歯に衣着せぬ意見は、王室をあがめ、自粛がはびこるブータンで聞かれることはない。
 シャルマさんはブータン国内で、ローツァンパの人権を訴える政党に所属していたが、指名手配され、懸賞金もかけられたことから、1994年に国を離れた。ブータンは憲法で、すべての政党は国家の統一を促進し、民族性や宗教を使って有権者を引き付けてはならないと定めており、シャルマさんが所属していたような政党は禁止されている。各党はまた、47の選挙区すべてに候補者を立てることが求められている。
このような規制から、少数派の権利が確保される余地はほぼ残されておらず、ブータンに残るローツァンパから効率的に選挙権を奪っている。
 米国務省によると、ブータン政府は国家の統一性が損なわれるとして、ネパール語を話す民族が設立した人権団体を政治団体とみなし、その活動を禁じているという。
 ブータンにローツァンパが何人いるかは分かっていない。2017年に人口調査が実施されたが、質問に民族、言語、宗教に関する項目は含まれていなかった。このため、ネパール語を話し、大部分がヒンズー教を信仰するローツァンパの人数は把握できない。
 AFPの取材に応じたローツァンパのラジマン・グルンさん(54)は、「私たちもブータン人だが、幸せではない」と述べ、「ローツァンパは不幸だ。祖国に戻り、平等な地位を得られたら、幸せになれる」と訴えた。【翻訳編集】 AFPBB News

日本語学校の教育の質の担保を

Source:https://headlines.yahoo.co.jp/article?a=20181215-00010000-wedge-soci
12/15(土)、ヤフーニュースより
 外国人留学生が日本で高等教育を受け、将来企業で活躍するためには、日本語能力の習得が欠かせない。留学生雇用に関する企業調査でも、日本語能力が留学生に求める資質の上位に挙げられることが多い。彼らの日本語能力の基礎を養成する役割を担っているのは日本語学校である。しかし、非漢字圏からの留学生の急増にもかかわらず、日本語学校の教育の質をチェックする仕組みが不十分であるため、様々な問題が生じている。

 日本学生支援機構によれば、2017年に日本語学校で学ぶ留学生は7万8000人に上り、留学生全体の3割を占める。12年から17年にかけて、留学生数が1・6倍に伸びる中、日本語学校で学ぶ留学生は3・3倍に増加した。その背景にあるのが非漢字圏からの留学生の急増で、日本語学校では6割を占める。ベトナム人留学生は15・1倍、ネパール人留学生は5・8倍に増加している。
 非漢字圏からの留学生は、中国、韓国などの漢字圏出身者に比べ、高等教育を受けるのに必要な日本語能力の習得に時間がかかることも、日本語学校での在籍率の高さにつながっている(能力や学習頻度にもよるが、漢字圏出身者は約1年、非漢字圏出身者は約2年といわれる。なお、日本語学校の在籍上限は2年間)。
 このような非漢字圏出身学生の急増は、日本語教育の現場に混乱をもたらしている。日本語教育学会元副会長の嶋田和子氏は、現場の日本語教師から「日本語の習得が遅く、初級を繰り返し学習する学生が増加した。初級が終わっても会話ができない学生が多い」「漢字に対して苦手意識を持つ学生が多い」といった非漢字圏出身者特有の学習課題に加え、「学習意欲が低い上、受け身の姿勢の学生が多い。そもそも目的意識の低い学生が多く、進路相談で苦労する」「出席率のためだけに通学している学習者や、脱力感の漂う学習者もいる」といった、学生の動機や学習態度に関する問題を指摘する声があると述べている。

 この背景には、アジアの中でも所得水準が低いベトナム、ネパールなどからの留学生の多くが、留学費用を借金して渡日し、その返済や生活費捻出のため、日本語学校で学ぶ間も、アルバイトに追われているという現状がある。
日本語話せぬ日本語学校卒業生
 このような状況は、日本語学校を「卒業」しても、日本語が十分話せない学生の出現につながっている。筆者が面談したあるベトナム人留学生は、ベトナムと日本の日本語学校で1年ずつ日本語を学び、専門学校に1年以上在籍しているにもかかわらず、日本語がたどたどしく、友人の助けなしには意思疎通が行えなかった。

 日本学生支援機構の私費留学生生活実態調査に基づき、日本語で授業を理解するのに必要とされる日本語能力(日本語能力試験N2以上/BJTビジネス日本語能力テストJ2以上)を有する学生の割合を調べると、非漢字圏出身者では、大学(学部)で学ぶ者の68%、専門学校で学ぶ者の43%にすぎないことが判明した。

 ある日本語学校教員は、「某専門学校の進学説明会では、日本語は一切使わず、外国語での説明のみ。アルバイトがしやすい環境であるというアピールが中心で、学習についての言及はほぼない」と話す。無試験で入学できる専門学校が多く存在し、一部の大学でも同様であるという。留学生はSNSなどで、一部進学先に日本語が必要ないことを先輩から聞いており、勉強しなくても問題ないと考え、学習意欲が低い者も少なくない。このような現状から、「日本語学校は日本語を教えるところではなく、ビザを売るところだ」と自嘲する日本語教師もいる。

 留学生の増加に伴い、日本語教師が不足する事態にもなっている。文化庁の調査では、法務省告示校(入学者に留学ビザが申請できる学校)における日本語教師の67%は非常勤である。彼らの報酬は45分授業について2000円前後にすぎず、優秀な人ほどすぐに辞め、他の業界に移ってしまう状況にあるという。

 10年に449校だった日本語学校(法務省告示校)は、18年8月時点で711校に増加した。うち298校が加盟する日本語教育振興協会では、加盟校の58%が株式会社・有限会社で、学校法人・準学校法人は28%にすぎない。株式会社が運営する日本語学校の中には、人材派遣業(学生をアルバイト先に派遣して紹介料)、不動産業(学生を保有アパートに住まわせ家賃収入)との兼業により、二重三重の利益を得ているケースもある。

 日本語学校に学校法人が少ないのは、学校教育法に専門学校について「我が国に居住する外国人を専ら対象とするものを除く」という規定があることも一因だ。学校法人として認められない状態では、安定性、永続性、公共性という教育に必要な要件が十分に担保されない、と指摘する日本語学校関係者もいる。
上の図は、海外から日本に留学するルートと、日本語教育に関わる省庁を示している。日本学生支援機構の私費留学生生活実態調査に基づく推計では、日本語学校(法務省告示校)を経由して高等教育機関(専門学校含む)に進学する留学生の割合は6割に上り、日本の留学生受け入れ政策の重要な部分を担っている。

 国内の日本語学校(告示校、専門学校の日本語コースを含む)の所管は、法務省入国管理局であり、設立時に文部科学省の協力を得て告示校としての適格性を審査するが、その後は、学生の中途離脱率、不法残留率のチェックが中心で、教育の質を十分にモニターしていない。卒業時の日本語能力の確認も義務付けられていないため、無試験で進学できる先があれば、日本語能力を身につけないまま卒業するケースも出ている。また、N2以上の日本語能力を求める選別性の高い大学には、希望しても入学できない、という事態が生じている。

 日本語教育にかかる行政は、海外では外務省所管の国際交流基金が日本語教育の普及や日本語教師の養成を担当し、国内では、法務省が告示校を一義的に所管する他、日本語教育の促進や日本語教師養成を文化庁が、大学の留学生別科(大学入学前の日本語教育を実施、届出制)を文部科学省が担当し、所管省庁が細切れに分かれてしまっている。
教育の質を担保する制度設計を
 このような状態を改善するためには、日本語学校の教育機関としての位置付けを明確にし、大学のように、国が認証する評価機関によって、教育の質や実施体制を定期的に評価・点検する制度の導入が必要である。また、学生の卒業時の日本語能力など、教育成果の公表を義務付け、良い学校が評価され、悪い学校が淘汰(とうた)される仕組み作りを検討すべきである。教育の成果を競うようになれば、能力の高い日本語教師を、よりよい待遇で確保しようとする動きも加速するだろう。

 2年間の学習で日本語能力がN2レベルに達しない非漢字圏出身者が少なくない現状に鑑み、その原因が、本人の学習態度、言語習得能力、学校の教育体制のいずれにあるのかを解明するとともに、海外と国内の日本語学校が連携した形で、来日前からの日本語学習や適格者の選抜を促進する必要がある。

 先日、「改正出入国管理法」が成立し、来年4月から「特定技能」の在留資格での労働者の受け入れが始まる。新制度の下での2国間協定に基づく送り出し国として、ベトナムやミャンマーなどの名が挙がり、留学生同様、非漢字圏出身者が多数を占めると予測される。特に介護、宿泊など、高い日本語能力が求められる職種では、来日後も日本語学習の継続が必要となると見込まれ、日本語学校の役割はますます重要となる。教育の質を担保する制度設計は喫緊の課題である。
佐藤由利子 (東京工業大学環境・社会理工学院融合理工学系准教授)

ロボットウエーターが「召し上がれ」 ネパールに初登場

Source:https://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20181214-00010009-afpbbnewsv-int
12/14(金) 、ヤフーニュースより
【12月14日 AFP】「どうぞお召し上がりください」。ネパール初のロボットウエーター「ジンジャー」が、おなかを空かせた客たちのテーブルに蒸し餃子の皿を運んでそう言った。

 ネパール料理でよく使われるショウガにちなんでジンジャーと名付けられたこのバイリンガルヒューマノイドロボットは、身長150センチ。地元のスタートアップ企業パアイラ・テクノロジー(Paaila Technology)が一から製作し、英語とネパール語を理解できるようプログラミングした。

 米アップル(Apple)の「Siri(シリ)」や米アマゾン・ドットコム(Amazon.com)の「アレクサAlexa)」のように冗談を言うこともできる。

 首都カトマンズにあるレストラン「ナウロ(Naulo)」では、3体のジンジャーが働いている。ナウロはオープンしてまだ4か月だが、ロボットウエーターが大きな話題となり、一目見ようと好奇心旺盛なあらゆる年齢の客たちが来店する。

 動きや障害物を感知できるジンジャーは、混雑した店内でも、器用に進路を変えながら料理を載せたトレイを運ぶことができる。客は、テーブルに備え付けられたタッチパネルのメニューを見ながら注文する。料理が出来上がると、ジンジャーが厨房に取りに行く。

 現在のところ、人間のウエーター数人がジンジャーを補助しているが、この店を完全にロボットのみで運営するのが次の目標だという。

 映像は、10月25日と9月19日に撮影。(c)AFPBB News

鈴鹿市 多言語通訳システム導入 三重県内で初、外国人来庁者に対応 17日から

Source:https://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20181214-00000402-isenp-l24
12/14(金) 、ヤフーニュースより
 【鈴鹿】三重県鈴鹿市は17日から、外国人来庁者への窓口対応で県内自治体初のタブレット端末を使った多言語通訳システムの試験導入を始める。期間は平成31年3月15日まで。

 無線通信システム内蔵式タブレット端末2台を導入。画面に映し出された通訳者が、外国人市民と窓口担当職員の会話を通訳する。ネパール語やヒンディー語など12言語に対応する。

 システム運用管理会社ポリグロットリンク(東京都豊島区)が運営。通訳サービス料やレンタル端末利用料を含めた事業費は119万円。適切な通訳など実用性を検証する。

 10月末現在で外国人市民は8166人で県内3番目。ブラジル、ペルーの南米日系人が全体の約54%を占める。市役所ではポルトガル語とスペイン語の通訳職員を計3人配置しているが、近年はベトナム、スリランカなどアジア圏の人口が増加。多言語対応が求められ、同システムの試験導入を決めた。
伊勢新聞

共生ヒント?日本で暮らす外国人の取り組み

Source:https://headlines.yahoo.co.jp/videonews/nnn?a=20181214-00000010-nnn-int
12/14(金)、ヤフーニュースより
先週、外国人の在留資格を拡大する改正出入国管理法が成立した。今後、日本に住む外国人が増えると予想されている。さまざまな課題がある中、外国人自らが、直面した問題に取り組んでいる姿を取材した。

◆5年で約3倍増加のネパール人、きっかけは東日本大震災

東京・杉並区にある学校。朝礼では、ネパールの国歌が流れてきた。ネパール語の授業が行われ、生徒はネパール語で発表をしていた。

先週、成立したばかりの改正出入国管理法。労働者不足を解消するため、新たな在留資格を設けて外国人労働者を受け入れようというものだ。

日本で働く外国人は約128万人(厚労省・去年)。中でもネパール人は、ここ5年で約3倍に増加した(法務省・統計)。就職率が低いネパールで、東日本大震災後、人手不足の日本企業が現地でリクルート活動を行ったことで、日本で働くネパール人が増えたとみられる。

この学校『エベレストインターナショナルスクール』は、5年前にできた。

シュレスタ・ブパール・マン理事長「設立の時は13名、生徒がいたが、今は約220名だから、けっこう増えてます」

ネパール人の親が日本で長く働き続けるためには、意思疎通がしやすい学校が必要で、地方から東京へ引っ越して子供を入学させる家族もいるという。

◆ベトナム人も増加、留学生同士で助け合いも

一方、2013年以降、ベトナム人も増えている。留学生のダンさんは、4年前にベトナムから来日し、居酒屋で働いている。

ダンさん「初めての時は漢字まだ読めなくて、電車も大変でした。ごはん、あんまり合わなくて。ベトナムはみんな生の魚とか肉とか食べられない。牛丼とか、たぶん一番食べやすいです」

レストランなどでメニューが読めない時は、ベトナムからの留学生の先輩が助けてくれたという。

◆日本で暮らすベトナム人向け「新聞」…設立は!?

都内には、こんなビジネスも。ある事務所を訪ねると、作業をしているのはベトナム人。作っているのは、日本で暮らすベトナム人向けのフリーペーパー『ベトナム新聞』だ。紙面にはベトナム語で書かれた都内の物件情報を掲載。ベトナムの食材を置く店やベトナム料理店などを紹介する地図もある。

実は、この新聞を立ち上げたのは、ベトナム人でもなく日本人でもない、韓国出身のパク・サンボムさんだ。日本に住む外国人が増えていることに着目して、この新聞を立ち上げた。

パク・サンボム代表「私自身も留学生を経験していて、そういった(生活に関する)情報を載せて、(在日ベトナム人の)役に立てればいいなと思って発行しています」

現在、月に1万部をベトナム料理店や日本語学校などで配布している。

今後、増える外国人労働者を支える法的な環境整備や公的な支援計画が不十分との声もあがる中、今、日本で暮らす外国人が始めた取り組みの中に、彼らを受け入れ、共に暮らしていくためのさまざまなヒントが隠れている。

外国人に災害情報を伝えるためには? 愛知の防災ネットワークがSNS利用調査を実施

Source:https://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20181213-00010000-wordleaf-soci
12/13(木) 、ヤフーニュースより

 災害時、外国人に情報を伝えるため最も効果的なSNSは?

 こんな調査を、愛知県内に住む外国人や日本人の支援者らでつくる防災ネットワークがまとめ、12月8日に名古屋市内で報告会を開きました。その結果、全体的にはfacebookを使っている外国人が多いものの、中国人はWeChatが圧倒、LINEも各言語圏に浸透しているなどの実態が浮かび上がりました。ますます重要性が高まる多言語での防災、災害情報の発信に役立てられることが期待されます。
熊本地震きっかけに発足したネットワーク
 調査をしたのは「多文化防災ネットワーク愛知・名古屋」、通称「TABO(タボ)ネット」。2016年4月の熊本地震をきっかけに、災害や防災・減災について情報交換した外国人たちが自主的に立ち上げたネットワークです。

 災害時の外国人対応の問題は、1995年の阪神・淡路大震災でも顕在化した問題ですが、近年は訪日外国人や技能実習生などの増加によって災害直後の混乱も大きくなっています。熊本地震でも熊本市内に4500人いた外国人が「自国で地震を経験したことがなく、今後のことがまったく予想できなかった」「テレビや避難所での災害情報がほとんど日本語だった」「避難所に入ったが、まわりが日本人だけで孤立感を感じた」などの不安を訴えました(熊本市国際交流振興事業団報告書)。

 一方で長年、日本に定住している外国人が増え、SNSなどで情報交換も活発になっているため、同じ国や地域出身の被災者のために「何かしたい」と支援する側に回る可能性も大きくなっています。

 TABOネットは中国やブラジル、ペルー、フィリピンなどの外国籍者やその支援団体、そして防災関係団体の36人が発起人となり、16年12月に約100人が参加して正式に発足した団体です。1年目は「BOSAI EXPO」などのイベントを積極的に開き、2年目は調査事業を活動の柱の一つとしました。

 この1年間にも大阪の地震や台風、北海道の地震などが相次いで起こり、外国語の情報発信が課題として指摘されています。「外国人への情報提供にはSNS」と認識されているように思えますが、「その根拠は何か」と言われるとはっきりしないため、きちんとアンケートを取ろうと決めたそうです。
7言語圏の外国籍者1000人を対象に調査を実施
 調査は愛知県内在住・在勤で10歳以上の外国籍者1000人を対象に、17年6月から18年4月にかけて実施。イベントや講座、飲食店などで外国人と直接会い、SNSのロゴマークが描かれたボードを見せて「最もよく利用するSNS」に赤いシールを、「それ以外に利用するSNS」に青いシールを貼ってもらいました。

 愛知県には157の国・地域からの約23万人が暮らしており(2017年6月末現在)、結果が偏らないように1000人のうちポルトガル語、中国語、フィリピン語、韓国語、ベトナム語、スペイン語、英語の7言語圏の100人ずつから聞き取ることを目標に始めたそうです。実際には韓国語圏が24人と少なく、代わりに中国語圏が169人と多めになりましたが、その他はおおむね100人近く、インドネシア語やネパール語、タイ語などを含めて22の言語圏から回答を得られました。年代は調整せず、20代が42%、30代が22%、40代が15%と若い世代の回答が中心となりました。
全体ではfacebookがトップも、中国語圏ではWeChatが圧倒的
 「最もよく利用するSNS」は、全体でfacebookが62%、WeChatが14%、LINEが13%、WhatsAppが4%、Viberが3%、Kakao Talkが1%、twitterが1%、その他が2%という結果に。facebookの傘下であるinstagramも選択肢に加えましたが、1%にも満たなかったため「その他」に含まれているそうです。

 言語圏別に見ると、ポルトガル語圏はfacebookが72%、次いでWhatsAppが12%、LINEが9%。

 facebookはベトナム語圏で97%、ネパール語圏で95%だったのをはじめ、フィリピン語圏で84%、スペイン語圏で80%など幅広く使われていました。

 一方、中国語圏はWeChatが83%と圧倒し、LINEが8%、facebookも6%程度でした。英語圏ではfacebookが54%、LINEが32%、Viberが6%、twitterが3%。特徴的なところではミャンマー語圏の人はfacebookの6割に次いでViberを3割が使っていました。
twitterによる災害情報発信は外国人にはほとんど伝わっていない
 調査責任者を務めたNPO法人多文化共生リソースセンター東海代表理事の土井佳彦さんは「SNSといっても国や言語によってこれだけ違うことがよく分かる。一方で母国の家族とはfacebook、日本の知人とはLINEなどと相手による使い分けや、facebookはメッセージ、Viberは電話などと用途による違いもありそうだ」と分析。その上で「日本の自治体の災害情報発信はtwitterが中心だが、外国人にはほとんど伝わっていないだろう。民間や個人が間に入って適切に届ける仕組みが必要だ」と指摘しました。この結果を受け、外国人コミュニティーのキーパーソンをリストアップする作業を進めているそうです。

 TABOネット代表で中国出身の葛冬梅さんは、自身も主に使うのはWeChatだとして「LINEのようなグループコミュニケーションや電話、さらに電子マネーなどもぜんぶ合わさっていて、これなしでは生活ができないようなツール。誰でも登録できるので一度使ってみて」と呼び掛けていました。

 名古屋国際センターで開かれた報告会では、他にも災害時に急に使われる「タキダシ」や「オウキュウショチ」などの日本語に戸惑う外国人の様子をユーモラスに表現する劇や、Youtube動画による情報発信などの活動が紹介され、多文化防災について理解が深められました。

(関口威人/Newdra)