Source:https://www3.nhk.or.jp/news/contents/ohabiz/articles/2025_0130.html
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南アジアのネパールで、IT業界で働きたいという若者が増えています。貴重な戦力として、日本の中小企業などからの期待が高まっているようです。
IT分野に就職希望が増加 ネパールの大学
中国とインドの間にある人口3000万のネパールは、開発が遅れている途上国の一つ。主な産業は農業や観光業などで、失業率が高い状態が続いています。
しかし、いま変化が起きています。国内トップクラスの国立大学では、IT関連の分野を学び、就職を希望する学生が増えているといいます。
大学生の一人は次のように話しました。
教員の男性は、ITを学ぶ学生が増加している理由について次のように話します。
教員の男性
「理由の一つは、ITを勉強すれば国外で就職して安定した生活を送れることだ」
10年で150万人の雇用創出目指す
国もIT産業の強化に向けて動き始めています。今後10年間で150万人の雇用を生み出すことなどを目標に設定。海外で働く人たちにも戻ってきてもらい、経済の底上げにつなげたいといいます。
ネパール情報技術局 ラメッシュ・シャルマ・ポーディヤル局長
「ITで雇用の機会を増やし、他国からの投資も得ることができる。そうすれば国にとっても経済的なメリットが生まれる」
日本企業の即戦力に 期待高まる
日本でも、即戦力となるネパールのIT人材への期待が高まっています。愛媛県は全国の自治体に先駆け、ネパール人と、人材確保に悩む中小企業とのマッチングに取り組んでいます。
愛媛県産業人材課 廣井久典 課長
「愛媛県内の賃金水準でも、定着が期待される。社内で、社員に刺激を与えるようなよいモデルとなることも期待している」
この事業をきっかけに、松山市のIT企業はネパール人5人を採用しました。就労ビザで2024年2月に来日したラマ・ロヴァンさん(24)は、エンジニアとしてウェブサイトのシステム開発などを担当しています。
ラマさんの月の給与は、ネパールで働いていたころのおよそ2倍に増えました。日本で技術を高め、将来的にはネパールに戻って仕事を探したいといいます。
ラマ・ロヴァンさん
「日本はIT技術のレベルがとても高いと思ってやってきた。今後はもっと研究していろいろな新しい技術を使ってAIとかの仕事をやっていきたい」
松山市内のIT企業「アイムービック」 森本健一郎 社長
「(地方では)実務経験があるとか、スキルを持ったIT人材を採用するのは難しい。(ネパールの人材は)プロジェクトをがんばって進めようと言う気持ちが強いので、そういった意味ですごく助かっている」
インド・ベトナム人材の確保難しく? 賃金水準が上昇
ITと言えばインドの人材が期待されていますが、ネパールの人材にも期待が高まっています。背景にはインドやベトナムなどで賃金水準が上がり、日本に来てもらう人材の確保が難しくなっていることもあるようです。
ネパールは、200万人以上が海外で働き、その送金がGDPの約2割を占めるというデータもあるということで、ネパール政府としてはIT産業を育成して、“出稼ぎ頼み”の構造を変えたいという思惑もあるようです。
(国際部 勅使河原 佳野、松山局 伊藤憲哉)
【2025年1月30日放送】
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