Source:https://news.yahoo.co.jp/articles/3212f99af29b6167d90b1bc3234d8586934bb6da
配信、ヤフーニュースより
【相次ぐ摘発 在日ベトナム人の真実】#8 東京都内の日本語学校に在籍するシン君(32歳)は11月初め、警察に職務質問をされた。アルバイト先の定食チェーン店での仕事を終えた夜10時半すぎ、同僚のベトナム人と2人で駅に向かい歩いていた際のことだ。 「日本に来て1年半になりますが、警察に呼び止められたのは初めてです。僕の周囲でも、職質されるベトナム人が相次いでいる。やっぱり、あの事件のせいですね」 「あの事件」とは、家畜や果物の盗難に絡み、ベトナム人グループの別件逮捕が相次いだ事件である。シン君が職質を受ける直前の10月末に起きていた。以降、ベトナム人犯罪の摘発が目立っている。逮捕容疑も、違法薬物の密輸、風俗店での違法就労、違法賭博など幅広い。 子豚の盗難がベトナム人の犯行とは立証されていない。しかし、新聞やテレビで大きく報じられたことで、警察が在日ベトナム人への監視を強めている可能性がある。 その背景にはコロナ禍による雇用環境の変化も影響しているのかもしれない。 近年、在日ベトナム人が急増したのは、人手不足が深刻化したからだ。その問題が急速に“改善”しつつある。有効求人倍率は10月時点で1・04倍と、1年前の1・59倍から大きく低下している。完全失業者数も215万人に達し、前年同月比で50万人以上も増加した。 介護や農業などでは、依然として人手不足が著しく、外国人労働者の受け入れを望む声も強い。だが、製造業などでは職を失う実習生も相次いでいる。また、アルバイトが見つからず、生活に困窮する留学生も出始めた。いずれもコロナで、人手不足が解消した影響だ。警察や法務省入管当局にとっては、犯罪や違法就労への取り締まりを強化しやすい状況といえる。 そんな現状を象徴する出来事が11月、沖縄県であった。ある日本語学校に在籍する80人近いネパール人留学生に対し、入管がビザ更新を拒んだのだ。 ネパールはベトナムに次いで、出稼ぎ目的の留学生を多く送り出してきた。そのネパール出身の留学生たちに、「週28時間以内」を超える違法就労が発覚した。ビザが更新されなければ、留学生たちは日本に居られない。 とはいえ、留学生の違法就労は数年前から全国で横行していた。それをなぜ、今になって入管は問題視するのか。 沖縄県の有効求人倍率は0・66倍と全国で最も低く、仕事が足りない状況だ。そうした沖縄の事情も影響して、黙認してきた留学生の違法就労に対し、入管が厳しい方針を採り始めたようにも映る。つまり、留学生の労働力が不要になったのだ。 ベトナム人犯罪の相次ぐ摘発も、人手不足の緩和によって起きている可能性がある。沖縄のネパール人留学生と同様、ベトナム人たちも日本に都合よく使い捨てられようとしている。 (出井康博/ジャーナリスト)
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