Source:https://news.yahoo.co.jp/articles/e569241b4e50edccb5e80fdafe80bbf6b48c8480
世界最高峰のエベレストの標高について、ネパールと中国が共同で計測した結果、中国がこれまで主張してきた標高より4.43mも高かったことが判明し、中国の計測技術に疑問が持たれている。
中国は2005年、中国独自の地球を周回する衛星を使った全地球測位システム(GPS)などで計測したとして「エベレストの標高は8844.43m」と発表、「ネパール側が主張する8848mは間違っている」と指摘した。ネパール政府に「間違えを認めるべきだ」などと圧力をかけていたが、ふたを開けてみれば、中国側の計測の間違いが際立つ結果となった。 中国国営新華社電は「エベレストは地殻変動で毎年数センチずつ隆起するなど、成長し続けている」などとの専門家の談話を伝えるなど、自らの誤りを棚に上げて、“釈明”に追われている。 ネパールがこれまで主張していた「標高8848m」は1954年のインド当局による測定結果だった。 一方、中国はGPS計測などの結果から、山頂の氷雪部分を除いた8844.86mを中国の公式の標高と認定。ネパール側は「山頂の氷雪部分も標高に含めるべき」などと両国間で論争が起きていた。 ネパールは今回初めて独自に測量を行ったが、そのきっかけは2015年に死者約9000人を出したマグニチュード7.8のネパール地震だった。カトマンズの北に位置し震源地に近いランタン・ヒマールなど、ヒマラヤ山脈の他の高山が地震後、1メートル近く標高が下がったことが、専門家らによって報告されたためだ。 ネパールの地上測量員4人が2年間の訓練を経て、昨年、エベレスト山頂に登頂するなど計測作業を開始した。その後、中国の習近平国家主席がカトマンズを訪れた際、ネパールのバンダリ大統領との間で、世界最高峰の標高を新たに共同発表することで合意。
中国側も人民解放軍の登山専門家ら含めた中国測量隊が今年5月に登頂。新型コロナウイルス対策で登頂が禁止となった今年、山頂に立った唯一の登山隊となった。 両国とも三角法による正確な算出のため、12の山の標高を利用するとともに、GPSも併用して、測定精度を高めた。その結果が8848.86mで、ネパール側が従来から主張していた「8848m」よりも、86cmしか誤差はなかったことになる。 この結果について、習主席はバンダリ大統領に書簡を送り、「両国関係を発展させるべき」などとして中国側が妥協した形となった。この背景には中国はネパールと国境を接するインドと国境紛争がある。中印両軍は現在、ネパール国境に近い山岳部で対峙している。中国にとって、ネパールの協力を得る必要があることから、両国間の「エベレスト標高論争」は中国側の政治的な思惑含みで解決をみたといえるかもしれない。
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