Source:https://news.yahoo.co.jp/articles/bd4a6463bc18ae9faeea098f10d65ef28c7a06d3
日本学術会議の地域研究委員会多文化共生分科会(委員長=竹沢泰子・京都大教授)は11日、外国籍の子どもたちが高校で学ぶ権利を保障することを求める提言を公表した。外国籍の子どもを巡っては改正入管法施行により増加が見込まれるものの、教育施策は地域間格差が著しいと分析。義務教育段階に比べて対策の遅れが目立っている高校教育について、国が明確な指針を示すことを要請した。 提言は冒頭で、文部科学省が2019年に初めて実施した調査で、義務教育年齢にある外国籍の子ども約2万人が、学校に行っているかどうか分からない「就学不明」になっている実態が判明したことに言及。これに対して高校生については、進学状況などを知る公的なデータがないことを課題に挙げた。 その上で提言は、外国籍の子どもと両親のどちらかが外国籍の子どもを「外国人生徒」と定義して日本人と比較すると、高校進学率や中退率などに大きな格差が生じていることが推測されると指摘。日本人の高校進学率は約99%に達している一方で、学校基本調査で判明した外国人中学生と高校生の人数を照合すると、外国人の高校進学率は近年は50~60%にとどまると推計した。さらに、文科省調査では16年度の公立高校生の中退率は全体で1・27%だったのに対し、外国人生徒を含む日本語教育が必要な生徒は7倍以上の9・61%だった。高校卒業後、進学も就職もしない生徒は18・18%に上る。 外国人生徒の進学率が低く、中退者が多い背景には「日常会話はできても学習言語が理解できない」「高校での学習支援が学校や自治体に任せきりになっている」などを列挙した。 この他、提言では外国人生徒の高校入学に関し、外国人のための「特別枠」の設置や、問題に振り仮名を付けるなどの「特別措置」を実施する自治体もあるものの、全国的な公平性が担保されていないことを問題視。「文科省が指針を作成し、都道府県に働きかけることが望ましい」とした。 竹沢委員長は「外国人生徒の学習の動機付けには、学外の外国人の協力を得て部活動の現場などさまざまな場面で多様性を確保したり、管理職に多文化共生研修を義務づけたりするなど、環境づくりが求められる。生徒に寄り添う支援が全国の高校現場で広がるように、文科省は支援をすべきだ」と話している。【成田有佳】 ◇分科会が示した提言の内容 ①外国人生徒が多い地域や高校における「多文化共生コーディネーター」「多文化共生担当教員」(仮称)の創設 ②外国につながりをもつ人たちの学校内での配置(部活動の学外コーチ・顧問の委嘱も含む) ③教員免許取得のための必修教職科目に、多文化共生を主題とする科目追加 ④高校の管理職対象の多文化共生研修の義務化 ⑤大学での外国人生徒対象の推薦入試、特別枠の実施 ⑥外国人児童生徒の実態把握のため、国籍、母語、都道府県の項目を含めた調査、データ公表 ⑦全国的な公平性確保のため、全都道府県で外国人生徒のための高校入学試験における特別枠・特別措置の設置 ⑧外国語を母語とする生徒が多い学校における母語授業の開設 ⑨模範となる先輩外国人との交流や社会見学の機会の提供 ⑩大学生対象の奨学金における「国内高等学校等出身外国人学生」(仮)特別枠の設置
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