2020/8/3 10:30、GOOGLEニュースより
【マニラ=遠藤淳】アジア開発銀行(ADB)は3日、新型コロナウイルスの世界的な感染拡大で、2020年のアジアへの国際送金額が最大で2割減少するとの予測をまとめた。金額では550億ドル前後(約5兆8千億円)に上る。出稼ぎ労働者の失職などで母国への送金が減る。
各国で新型コロナの感染が拡大してから収束するまで1年かかるとの前提で試算した。20年の出稼ぎ労働者からのアジアへの送金額は、コロナ禍がなかった場合の見込みから19.8%減るとした。これまでアジアへの送金額はほぼ右肩上がりの伸びを続け、19年は3150億ドルに達したが、一転して落ち込む。
地域別で影響が大きいのは南アジアで、24.7%減る見通し。主要な出稼ぎ先である中東からの送金が落ち込む。最大の受け取り国であるインドは23.5%減少。送金が実質国内総生産(GDP)の3割弱を占めるネパールは28.7%減となり、最も大きい落ち込み幅となる。
東南アジアは、米国などからの送金が落ち込み、18.6%減少する。人口の1割にあたる1千万人が海外で働く「出稼ぎ大国」のフィリピンは20.2%減。インドネシアやベトナムなども20%前後の影響を受ける。中国は12.6%減にとどまる。
19年時点で世界の出稼ぎ労働者のうち、アジア出身者は全体の3割強にあたる9100万人いるという。新型コロナの感染拡大防止のため、各国が経済活動を抑制。出稼ぎ労働者の多い小売業や外食業、製造業などで人員整理や賃金削減の動きが広がり、送金を減らさざるを得ない状況に追い込まれている。
ADBは新型コロナによって、出稼ぎ労働者が雇用面で弱い立場に置かれていることが浮き彫りになったとしたうえで、「送金の流れを停滞させないよう、関係国は対策を講じるべきだ」と指摘。出稼ぎ労働者に医療・生活面の支援を提供したり、送金にかかる規制を緩和したりすることなどを提言している。
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