2020年8月11日火曜日

ちょっと冒険ひとり旅 自然や世界遺産をゆっくり堪能、お値段は? ネパールひとり旅#4

Source:https://www.asahi.com/and_travel/20200806/271366/
文: 山田静2020.08.06、GOOGLEニュースより



いろんなことに疲れたな、という時、決まって行きたくなるのがネパールだという旅行ライターの山田静さん。2018年までに10回以上訪れているという旅のなかから、前回は現地でのトレッキングについて紹介しました。ネパールの旅最終回は、カトマンズ近郊の町と旅の必要経費です。

(トップ写真はパタン)

■何回目かのひとり旅、ちょっとだけ冒険してみたい。そんな旅人のヒントになりそうな旅先や旅のスタイルを紹介している連載「ちょっと冒険ひとり旅」。京都で旅館の運営をしながら、旅行ライターとしても活躍する山田静さんが、飛行機やバスを乗り継いで比較的簡単に行ける、旅しがいのあるスポットをご紹介していきます。バックナンバーはこちら
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カトマンズから郊外へ

山あり谷ありの地形で、インドやチベットに隣接するネパールは古くから多くの民族が行き交い、やがて定住し、共存してきた。世に言う「ネパール人」とは「ネパールに暮らしている人」全般を指す。たとえば山岳ガイドとして名高い “シェルパ”もひとつの民族集団。ネパールは多民族国家なのだ。

カトマンズ盆地の先住民族は「ネワール族」。13世紀以降栄えたマッラ王朝を頂点に、チベット仏教やヒンドゥー教を取り込んだ華やかな王朝文化を築いた民族で、特に彫刻や絵画、木工などの技能に秀で、その技術を現代にも伝えている。

かつてネワール族の王国が栄えた古都がカトマンズ近郊にはいくつかあり、なかでも観光スポットとして人気なのが世界遺産のカトマンズ盆地にあるパタンとバドガオン(バクタプル)だ。どちらもカトマンズからタクシーで30分程度で、日帰り旅にちょうどいい。都会のカトマンズを避け、あえてこれらの古都に宿をとる旅人も多い。


パタンの広場にて。夕方近くなるとこうやって男たちが集まって雑談をするのは、古くからの習慣だとか
工芸の都パタン



別名「美の都(ラリトプル)」とも呼ばれたパタン。小さなエリアに木造の王宮やヒンドゥー教、仏教の寺院が密集し、内部の彫刻や石像もみごと。いまも職人たちが多く暮らし、制作にいそしんでいる。


  


 


パタンのダルバール広場周辺にはいくつもの寺院が集まり、境内や門扉にはいまにも動き出しそうな彫刻や精緻(せいち)な細工が


仏具や神具を扱うお店も多い。凝りに凝ったこんな仏像は、海外に暮らすチベット仏教徒からの発注が多いのだという


2015年のネパール地震でパタンも被害を受けた。写真はぺしゃんこになったハリ・シャンカール寺院。いまは修復が進んでいる
落ち着いた古都バドガオン

かつてマッラ王朝の都市でもあったバドガオンは赤いれんがの建物が連なる落ち着いた雰囲気の街。高さ30メートルのニャタポラ寺院を中心に、寺院や工芸店などが連なる。この街は2015年4月に発生した大地震の被害が大きく、2018年3月に訪れた時点ではまだあちこちが修理中だった。だが、修復途中の石像など、貴重なものも多く見ることができた。


広場を中心に古い街並みが広がるバドガオン


お寺に入ると、お経を読むおじいさんが。これで字が読めるのかと思ったが、暗記しているから大丈夫だとか


寺院の境内に集められていたのはシヴァ神の象徴、シヴァ・リンガム。地震で倒壊した寺院のものをとりあえず置いてあるそう


バドガオンにも多くの工芸品が残るが、特に窓の細工の美しさには目を奪われる


「孔雀(くじゃく)の窓」。ネワール工芸の最高傑作ともいわれる。地震で建物が崩れこの窓も外れてしまったそうだが、無事に元の場所に戻された


ちょっぴり怪しくも美しい扉の彫刻


2018年3月の訪問当時は、随所で修復が続いていた。この人は神像を直す石刻職人。破損したところは同じ材質の石で修復する必要があるので、材料探しから時間をかけて行うのだという


街の中心から一歩裏道に入ると、地震で家がなくなった人々が暮らす仮設住宅が並んでいた


バドガオンのお土産ストリート。よく見ると壁や屋根が壊れたままなのだが、着実に復興に向かっていた
ネパール旅の経費

今回は1度の旅ではないので、合計額ではなく、個別の経費について簡単にご紹介しよう。
■食費

何度か登場したネパール定食、ダルバートはカトマンズで300ネパール・ルピー(およそ250円)くらい。ネパールギョーザ・モモはひと皿150ネパール・ルピー(130円)くらい。本格イタリアンレストランのパスタだと800ネパール・ルピー(700円)くらい、カフェのケーキセットで250ネパール・ルピー(220円)くらい。観光客向けや高級なレストランだと全体的にもっと高い。


チベット料理店にて。モモ(ギョーザ)や焼きそばなど、日本人にも親しみやすいメニューが多い。何度も言うが、ネパールは食事が安くてウマいのが旅人的にポイントが高い
■ホテル代

高級ホテルからゲストハウスまで宿の種類は多い。ホットシャワー、エアコンつき、眺めもまあまあいい部屋が20〜30ドルくらいで十分探せる。


ポカラの宿。ひとり旅にはちょっともったいない広さ
■交通費

カトマンズからポカラは、旅行者向けツーリストバスで25〜30ドル(ランチつき)。飛行機は片道120ドル。ガイド付きタクシーを半日雇って50ドル程度から(行き先によって値段の差が出てくる)。
■旅にかかる費用

お寺の入場料は200ネパール・ルピー(175円)程度から。高いのはトレッキングの費用で、アンナプルナ周辺だと許可証と入域料であわせて2000ネパール・ルピー(1750円)。トレッキングガイドを現地で1日雇うと、エリアにもよるが20〜30ドルくらいだ。

筆者の場合、カトマンズとポカラに5泊6日滞在したとして、すべて陸路移動で本格的なトレッキングをしなければ、現地費用300ドルくらいで十分足りる。ネパールは、アジアの物価がだんだんと高くなっている現在、貴重な「安く長居できる旅先」なのだ。

ネパール語で「ゆっくり」は「ビスタリ」と言う。登山で息をきらせていると「ビスタリ、ビスタリ(ゆっくりね)」なんて声をかけられる、よく聞く言葉だ。自分のペースを見失いそうなとき、忙しいとき、決まってこの「ビスタリ」が懐かしくなる。とにかく日常から抜け出してのんびりしたい、という大人のひとり旅におすすめの旅行先だ。

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BOOK



京都で町家旅館はじめました(双葉社)

京都に開業した町家旅館のマネジャーをつとめることになった著者が、開業準備から実際の運営に至るまでのドタバタとドキドキ、そして京都のお気に入りスポットなどを綴(つづ)ったエッセーガイド。1540円(税込み)。





旅の賢人たちがつくった
女子ひとり海外旅行最強ナビ(辰巳出版)


連載「ちょっと冒険ひとり旅」著者の山田静さんが、海外ひとり旅に行きたいすべての人にお届けする、旅のノウハウをぎゅっと詰め込んだ1冊。行き先の選びかた、航空券やホテルをお得に効率よく予約する方法、荷物選びと荷造りのコツ、現地での歩きかたのツボ、モデルルート、遭遇しがちなトラブルとその回避法など、準備から帰国までまるっとカバーしました。旅の達人によるコラム記事やアンケートも満載で、ひとり旅の準備はまずこの1冊から。1650円(税込み)。




PROFILE


山田静



女子旅を元気にしたいと1999年に結成した「ひとり旅活性化委員会」主宰。旅の編集者・ライターとして、『旅の賢人たちがつくったヨーロッパ旅行最強ナビ』(辰巳出版)、『決定版女ひとり旅読本』『女子バンコク』(双葉社)など企画編集多数。最新刊『旅の賢人たちがつくった 女子ひとり海外旅行最強ナビ』(辰巳出版)。2016年6月中旬、京都に開業した小さな旅館「京町家 楽遊」の運営も担当。

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