Source:https://news.yahoo.co.jp/articles/96f79a60bb3f3cebe2d31042a7282f24b914af54
100年に1回の洪水が4年に1回やってくる未来なんて欲しくない…。
モンスーンによる大洪水で国土の3分の1が水没したバングラデシュ
6月初めから東アジアと南アジアに壊滅的なダメージを与えている今年のモンスーンが手を緩める気配は一向になく、地域全体ではこんな状況が8月中旬まで続くと予想されています。中でも、特に深刻な被害を受けているのがバングラデシュ。ニューヨーク・タイムズ紙によると、国の24%から37%が洪水によって水没したとのこと。政府のデータでは、避難者は全国で470万人におよび、98万4819棟の家屋が浸水し、129人が死亡したという恐ろしい事態になっています(8月4日付のアップデートでは、避難者は540万人で死者数は135人と、被害がさらに深刻化しています)。
中国やインド、ネパール、アフガニスタンでも深刻な被害が…
中国でも、少なくとも158人が死亡し、数百万人が避難を余儀なくされています。南アジアでも、豪雨による死者は約550人に達しているようです。インドでは、雨によって洪水と土砂崩れが発生しているとのこと。例えば同国のビハール州では500万人以上が避難し、13人が死亡。アッサム州では107人が亡くなっています。また、ネパールでも死者は約130人を数えています。アフガニスタンでは、洪水によって6歳未満の子ども15人を含む少なくとも16人が死亡し、破壊された家は数十軒にのぼるそうです。
新型コロナが追い打ちをかける
さらに悪いことに、地域全体で新型コロナウイルスの対応計画にも支障が出ているといわれています。特に、難民キャンプで暮らす脆弱なコミュニティの人々は、モンスーンと新型コロナ両方の危機に最も脅かされています。 バングラデシュのオックスファムで人道支援ディレクターを務めるVincent Koch氏は、7月に声明でこう述べています。 バングラデシュがすでに新型コロナとその経済への影響という複数の危機に直面している事実が、洪水被害をさらに致命的なものにしています。
長引くモンスーンシーズンが被害を深刻化
モンスーンの季節に大雨が降るのは今に始まったことではありません。毎年春の終わり頃から秋の初めにかけて南アジアと東アジアの多くの地域で続く雨期は、歴史的には、夏の容赦ない乾燥した暑さを緩め、空気を冷やし、作物や野生動物の渇きを癒す重要な役割を担ってきました。 ですが、気候危機が進む近年のモンスーンシーズンは、悪化の一途を辿っています。2019年は、10月1日までにモンスーンが終わらない初めての年になりましたが、今年の洪水の深刻さも異様です。国連は、今年の洪水シーズンが1988年以降で最も長引くかもしれないと推定しています。 バングラデシュの気候変動開発国際センターのディレクターであるSaleemul Huq氏は、英インディペンデント紙にこう語ります。 これは20年に1度しか起こらないレベルの大洪水です。なのに、今回が過去20年間で5回目になります。
気候変動対策待ったなし
炭素排出量を削減し、気候危機を抑制するために緊急の行動を起こさなければ、より厳しいモンスーンシーズンが確実にやってきます。例えば、バングラデシュのブラマプトラ川沿いでは、30日以上連続して危険なほど高い水位を保っており、この地域では直近20年以上で最長となっているのだとか。バングラデシュ工科大学の研究によると、世界平均気温が産業革命前よりも2℃上昇した場合、同河川沿いでは、現在だと100年に1回しか起こらないレベルの洪水が24回も発生することになるそうです。100年に1回の洪水が、ほぼオリンピックごとにやってくる未来なんて怖くないですか……。 日本でも今年すでに、九州で発生した集中豪雨による洪水被害で避難生活を強いられている人々がいます。また、近年は梅雨入り以降「集中豪雨」や「洪水」という言葉をよくニュースで見聞きするようになってきました。気温が上昇することで増える大気中の水蒸気は、どこかに大量の雨を降らせ、洪水の原因になってしまいます。100年に1回が100年に1回しか起こらないようにするためには、気候危機対策を急ぐしかありませんよね。
Kenji P. Miyajima
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