2019年7月25日木曜日

アーユルヴェーダを食で取り入れる。ネパールの「ダルバート」とは?

Source:https://headlines.yahoo.co.jp/article?a=20190721-00018426-mimollet-ent
7/21(日)、ヤフーニュースより
日本への留学生や労働者が急増し、年々その存在感を増している国・ネパール。身近にありながらも、その文化については未だ知られていない部分が多くあります。世界のライフスタイルを“旅”のフィルターで読み解くトラベルカルチャーマガジンTRANSITでは、そんなネパールの文化を取り上げました。ここではその誌面の一部を紹介。ネパールの食の基本であるアーユルヴェーダの考え方と、そのエッセンスが満載の定番料理・ダルバートのひみつをお届けします。
ネパールの健康食、ダルバートとは?
ダルは「豆(のスープ)」、バートは「ごはん」の意味で、日本の味噌汁と白米のような位置付け。これを基本とし、タルカリ(カレーや野菜炒め)、サーグ(青菜の炒め物)、アチャール(ピクルス)、チャツネ(ソース)、パパド(薄焼きせんべいのようなもの)などのおかずがワンプレートにのっている定食のようなもの。おかずの数や種類は家庭や食べる時間帯によって変わる。豆や野菜、ハーブやスパイスを多用しているので栄養バランスがよい。
ポイント(1) ヘルシーなオイル
 ギーかマスタードオイルを使うのが一般的。ギーは昔から使われており、煙点(煙が出始める温度)が高く焦げ付きにくいため、身体に有害な活性酸素が作られにくい。消化力を高め、身体の炎症を抑えたり毒素を排出する働きもする優秀なオイルだ。


ポイント(2) 手食”で味わう
 アーユルヴェーダでは指先に「土」「水」「火」「風」「空」の五元素があり、5本の指を使って食べるとそのバランスが整うといわれる。また、指は“第二の舌”とも呼ばれるほどで、温度や質感を確かめながら食事に集中することで実際に消化力もアップする。
ポイント(3) “六味”のバランスを意識して
ダルバートは基本的に甘、酸、塩、辛、苦、渋の六味を一度に食べられるよう構成され、六味が揃うと栄養バランスも整うと考えられている。各味覚の性質はこの後解説する「トリ・ドーシャ」との相性があるので、とくに不調時はこれを参考に味覚を選び取り入れて。ただ、本来トマトやリンゴは渋味に分類されるのにもかかわらず、現在日本の農産物の多くは甘めに作られ本来の味覚と実際の味が異なるものも多いので、味の強い食材を選ぶこと。
【3つの体質、トリ・ドーシャとは?】
アーユルヴェーダでは、私たちの心と身体をつくり動かしているエネルギーを、ヴァータ(空・風)、ピッタ(火・水)、カファ(水・土)の3つの性質に分類している。それぞれ次の診断項目で大まかに判断できるので、自分がどの体質か診断してみよう。
アーユルヴェーダ体質診断
1.【空・風】ヴァータタイプ
・身長は低いか、細くてノッポ
・太りにくく、瘦せている
・顔は卵型。顎は小さい
・目は小さく細い。奥目
・唇は引き締まり、乾燥気味
・髪の毛は薄く黒い
・皮膚は薄く乾燥気味で冷たい
・汗をかかず体臭が少ない
・活発な性格で熱中しやすい
・熟睡しづらい
・話すときは言葉豊富で、早口
・記憶は速いがすぐに忘れる
・不安になりやすく、緊張する
・お金を浪費し困ることが多い

ヴァータ体質の乱れ(不調)を整える味覚:甘味、酸味、塩味
食事の時間を不規則にせず、ゆっくり食べることがヴァータを増やさない秘訣。温かい食事で、味付けは甘味、酸味、塩味がおすすめ。


2.【火・水】ピッタタイプ
・平均的な身長
・平均的な体重だが増減がある
・顎が尖り、ひし形の輪郭
・目は平均的な大きさ。輝く瞳
・唇は柔らかく赤い
・髪の毛は柔らかく細い
・黄味の肌で、日焼けしやすい
・暑さに弱く、汗っかき
・情熱的で知的。機転がきく
・睡眠障害になりやすい
・明瞭で鋭い話し方
・物覚えがよい
・性格は批判的で攻撃的
・派手なものを好む

ピッタ体質の乱れ(不調)を整える味覚:甘味、苦味、渋味
体温をあげる物は不向き。酒や発酵食品はピッタを増やすので注意。内蔵や皮膚の炎症を起こしやすいので、苦味・渋味で調整を。


3.【水・土】カファタイプ
・骨格が大きく頑丈
・肥満になりやすく、重い
・丸顔で大きく、顎も大きい
・大きな目で、まつげは長い
・唇はしっとりして大きい
・艶のある黒髪で白髪が少ない
・色白。肌は冷たく湿っている
花粉症になりやすい
・慈愛深く献身的。動作は遅い
・熟睡しやすく、眠るのが好き
・ゆっくり落ち着いた話し方
・物覚えは遅いが忘れない
・物事にこだわり、執着する
・倹約家で貯金が上手

カファ体質の乱れ(不調)を整える味覚:苦味、渋味、辛味
丈夫だが太りやすいので食事量には注意。身体を温める辛味の強いスパイスや温野菜をとるのがおすすめ。甘味や酸味は控えめに。


監修:水野香織●アーユルヴェーダ料理研究家。アユルダ代表。ヨガのトレーニングを修了し、ネパールや南インド出身の師からアーユルヴェーダを学ぶ。都内や名古屋を中心に料理教室を定期開催。


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水野香織=監修・写真(ダルバート写真)
土屋朋代=文 
トランジット編集部

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