2019年7月25日木曜日

日本工営/ネパール「シンズリ道路」/維持管理能力を強化/安全・円滑な交通確保

Source:https://www.kensetsunews.com/archives/346228
2019-07-22、GOOGLEニュースより
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最大1000mの標高差を持つ急峻な山地を縫うように走る道路
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雨季には道路冠水により通行止めが発生するコーズウェイ
 日本工営は、ネパールの首都カトマンズとインド国境を結ぶ総延長約160㎞の山岳道路「シンズリ道路」の安全で円滑な道路交通を確保するため、同国公共インフラ交通省道路局に対する技術協力となる維持管理能力強化プロジェクト(フェーズ2)の現地業務を4月から進めている。2015年の全線開通による経済効果で沿線開発が進展し、路線の交通量が急激に増加したことに伴い、交通事故の増加や舗装の損傷、河川構造物であるコーズウェイの損傷が顕著に見られることから、フェーズ1で構築した道路の維持管理や安全管理に関する技術のさらなる活用と向上を図るための技術協力を実施する。
 主な業務内容は、年間維持管理計画や中期維持管理計画の策定、優良道路制度の導入、オーバーレイの舗装や部分拡張の実施といった維持管理能力の向上、道路交通安全対策の実施、EIS(緊急情報システム)の運営維持管理とRIB(道路情報板)の追加設置、交通安全に関する啓発と教育活動などの交通安全対策能力の向上、コーズウェイ改修に必要なマニュアル作成、損傷したコーズウェイの改修能力向上など。業務の契約期間は22年3月まで。
 シンズリ道路は、カトマンズとインド国境に接する南部の穀倉地帯タライ平野を結ぶ第2の幹線道路でJICA(国際協力機構)が手掛ける無償資金協力によって建設された。亜熱帯地方の豪雨と地滑りが多発する脆弱(ぜいじゃく)な地質、最大1000mもの標高差を持つ急峻な山地や川沿いの岩盤急傾斜地といった極めて厳しい自然条件の中で、環境保全にも配慮しながら安全な道路をつくるため、地元の石材や人手を有効に活用できるガビオン擁壁も採用し、現地の環境に合わせながら、ジオテキスタイル補強土壁、アンカー工、法枠工、ロックボルト工など多様な技術と斜面安定工法を使い分けて施工した。
 その建設技術の確かさは全線開通直後の15年4月に発生した大地震でも道路への被害を最小限にとどめ、震災後の救助や救援物資の輸送などでも幹線道路として大きな役割を果たした。
 日本工営は1986年のフィージビリティ調査開始から基本計画、詳細設計、工事監理のすべての段階に建設コンサルタントとして一貫して従事した。さらに建設工事が完了した区間から順次供用されていく中で同国公共インフラ交通省道路局に対する技術協力「シンズリ道路維持管理能力強化プロジェクト」(フェーズ1)を12年から15年にかけて実施。EISの導入や緊急道路復旧機材の供与、急カーブ部の山側法面カットによる視距改善対策や盛土部の河川浸食防止対策などパイロット事業を通じた災害対策工の技術移転、現地の維持管理事務所建設など維持管理体制や道路安全管理体制の構築などで一定の成果を上げている。

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