Source:https://news.yahoo.co.jp/articles/aa3b22b3143befdbf73e098b939e2c2426042a35
中国が「マスク外交」に続き「ワクチン外交」でも物議を醸している。中国は新型コロナウイルスの感染が世界的に拡大した2月から各国にマスクと防護服など医療物資を送る「マスク外交」を積極的に展開した。 しかし中国の「善意」にもかかわらず、この「マスク外交」は中国の医療製品の品質問題と、受恵国が中国に感謝を表明しなければならない負担感などが指摘され、むしろ中国に対する反感を育てる逆効果を生んだ。 最近では中国が指導者を中心に各国に優先的にコロナワクチンを提供するという「ワクチン外交」を活発に展開している。だがこれが果たして中国の意図通りにできるのかとの指摘が出ている。 中国の李克強首相は24日に開かれた「瀾滄江・メコン川協力」第3回首脳テレビ会議で「中国がコロナワクチン開発を完成させ使うことになればメコン川流域諸国に優先的に提供するだろう」と宣言した。 李首相はまた、中国主導で公衆保健専門基金を設立し、メコン川流域諸国に防疫物資と技術支援をすることとも約束した。これによると今後中国が約束を守る場合、恩恵を受けることになる国はカンボジア、タイ、ミャンマー、ラオス、ベトナムの5カ国に達する。 香港紙の明報は26日に、中国指導者によるワクチン提供の約束は李首相が初めてではないと報じた。6月には習近平国家主席が中国・アフリカ防疫団結テレビ会議で「中国がワクチンを開発すればアフリカ諸国に率先して恩恵が行くようにする」と話した。 中国のワクチン提供の約束はこれだけではない。中国の同盟国であるパキスタンには早くから4000万回分のワクチンを供給すると確約した。また、王愚駐アフガニスタン中国大使は今月中旬にアフガニスタンのメディアに中国でワクチンが開発されればアフガニスタンにまず提供するとの意向を明らかにした。 そうかと思えば王毅国務委員兼外交部長は7月に開催された中国、アフガニスタン、ネパール、パキスタン4カ国外相テレビ会議で会議参加国に対しては中国のワクチンが容易に提供されるようにすると話した。 またフィリピンのドゥテルテ大統領は米中対立状況で米国に軍事基地を提供しないと発表した後、中国のワクチンがフィリピンに供給されることを望むとの意向を明らかにしており、これは中国の肯定的な反応を得てもいる。 中国はこのほかにも中国のワクチン開発会社が第3相臨床試験を進めている国に対してもワクチンを優先提供しないわけにはいかない立場だ。現在中国はサウジアラビアで18歳以上の5000人の健康な志願者を対象に臨床試験を進めている。 ブラジルでも9000人を対象に第3相臨床試験を行っているほか、メキシコ、アルゼンチン、ペルーなど南米諸国だけでなく中東のアラブ首長国連邦とアフリカのモロッコでも同様の臨床試験を進めている。 明報はこのように中国がワクチン優先提供を約束している国の人口を、概算でアフリカが12億人、メコン川流域5カ国が2億6000万人、ブラジルとパキスタンが2億人、ここにメキシコとフィリピンなどの人口を加えると20億人に達するとした。 そして中国の人口14億人を加えると中国がワクチンを優先的に提供しなくてはならない人口は35億人となり、世界の人口75億人のほぼ半分を占める。しかし中国のワクチン生産能力はせいぜい来年まで4億回分程度で極めて不足した状況になるという話だ。 結局中国がワクチンの独自開発が難しい国に「ワクチン優先提供」という空手形を飛ばしているのではないかとの指摘が出ている。明報はこうした理由から、中国がグローバル協力を通じたワクチン開発プログラムであるCOVAXに加入しないでいるとみられると指摘した。
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