2019年8月21日水曜日

新宿百人町に日本初「多様性」極めたホテル 全従業員がLGBTフレンドリー、充実したアメニティー 中庭や屋上テラスも

Source:https://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20190819-00010002-metro-life
8/19(月) 、ヤフーニュースより
全従業員がLGBT研修を受講
 混沌とした新大久保駅界隈。かつては韓国人の多く暮らす街として知られましたが、今は「多国籍人街」になったことを、道ゆく人々を見て感じます。駅そばのマクドナルドの店員は、ふたりともインド・ネパール系の外国人でした。

【写真】中庭や屋上テラスのあるお洒落なホテル内観(22枚)

 駅前の喧騒に少し疲れながら、向かった先は「CEN DIVERSITY HOTEL & CAFE」。2019年7月20日(土)にオープンした、新しいホテルです。

 駅から徒歩でおよそ5分。路地裏に入り込んですぐに、そこが同ホテルとわかるほど、異彩を放っていました。ヨーロッパ的とも、ニューヨーク的ともいえる、スタイリッシュモダンな佇まいです。

 アーチ型のゲートを入ってすぐのところに、陽の降り注ぐ中庭があり、座り心地の良さそうなソファーが置かれています。静かで、駅前大通りの喧騒とは別世界。通り側にカフェが併設されていて、中庭を挟んでホテルエントランスがありました。

 この新生ホテルを訪れた理由は、「日本初のダイバーシティホテル」と謳っていたから。「ダイバーシティーホテル」とは何か、またそのようなホテルを経営するに至った理由、どんな客室構造なのかについて、ホテルを運営するレジデンストーキョー(渋谷区代々木)代表取締役CEOの野坂幸司さんにお会いして話を聞きました。

「ここで働く全従業員がLGBT研修を受講し、マイノリティーの方に配慮したサービスを提供しています。コンセプト設計にLGBTのデザイナーの方を起用し、また、外国人やLGBTの従業員の積極的な採用も行っています」

 ここが「ダイバーシティーホテル」であることについて、野坂さんはそう説明。LGBTへの配慮については、「だれでもトイレ」を設置するといったハード面に加え、アメニティーの配慮、同性のふたりが泊まりにきても「ダブルの部屋しかない」といった応対をしない、「ミスター」「ミセス」をつけて呼ばないといったソフト面のサービスを徹底しているそうです。

 宗教についても、カフェではハラルやビーガンの食事提供が難しいため、界隈でこれらの食事ができる場所を把握して、案内できるようにしているそうです。新大久保から新宿にかけては、これらの食事を提供している店が少なからずあるのも、立地の強みといいます。

 それにしても、なぜこういったことをコンセプトに掲げたホテルにしたのでしょうか。
コンセプトは地名の「百人町」からインスピレーション
「どういったホテルにしようかと考えたとき、いちばんに『百人町』という住所がキーワードとして響きました。かつて、大名の家来が100人ここに住んでいたことが地名の由来なのだそうですが、ならば百人百様の生き方、時間の過ごし方、そうしたものに寄り添うホテルを作りたいと思いました。ホテル名の『CEN』はラテン語で100を意味する言葉『Centum』の略です。新大久保という土地柄も、それにピッタリだと思いました」(野坂さん)

 またダイバーシティーというコンセプトとは別に、「ありきたりのホテルは作りたくなかった」とも。「44室というコンパクトさゆえのアットホームさ、落ち着きと心地よさを気に入ってリピーターになってくれるコアなファンを作りたい。そのために、中庭を作ったり、屋上にテラスを設けたりして、部屋以外の場所でもくつろげるスペースを作りました」と語ります。

 そのこだわりを見せてもらうべく、ホテル内を案内してもらいました。

 館内はスタイリッシュで、黒、ダークオーク、白を基調としたシックな色合い。客室の壁は、コンクリート打ちっ放しで高級感があります。いちばん狭い部屋は11平方メートルですが、バスルームの壁がガラス張りになっているため閉塞感がなく、ブティックホテルと呼ぶにふさわしいお洒落感です。

 テラスのある最上階には、共用ランドリーと共用バス(バスタブ付き)の設置された部屋。その先に、椅子席とソファー席が設けられたウッドデッキのテラスがあり、のんびりとここで飲み物片手に本でも読みたくなるような、空間が広がっていました。

 この規模のホテルで、これだけゆったりとした共有スペースやカフェがあるのは、珍しいといえます。その利便性と快適性の高さを思うと、1室1万円前後というのはかなり手頃。開業より2週間で、宿泊率が平日のいちばん少ない時でも7割、週末は9割というのが頷けます。
ホテルの過剰供給、東京オリンピック後をどう乗り切る?
「カフェは宿泊客だけでなく、近隣の方々にもちょっと静かに時間を過ごしたい時なんかに、利用してもらいたいです」と野坂さん。

 カフェメニューはパスタやピザ、ハンバーガー、ケーキ、スペシャルティコーヒー等。お酒も提供しています。新大久保にはホテルがたくさんありますが、この規模で軽食を取ったりお酒が飲めるようなカフェが併設されているのはまずないとのこと。朝は宿泊客の朝食利用だけで、一般向けには11時から22時まで営業しています。

「できるだけ多くの人たちに利用していただきたいですが、マイノリティーの人たちにまた来たいと思ってもらえる安心感を与えられるホテルが目標です。ホテル供給が過剰になってきて、東京オリンピック後は大丈夫かと言われたりもしますが、こういったリピーターの方々が増えたら、心配はいらないと思っています」

 マイノリティーに心地いいホテル。即ちそれは、マジョリティーにとっての心地良さにもつながっていくことといえます。インバウンドだけでなく、日本人にも人気のホテルとなっていきそうです。
ULM編集部

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