2019年8月5日月曜日

在留外国人のアウト需要を獲得-南米だけじゃないアルファインテル

Source:http://www.travelvision.jp/interview/detail.php?id=85961

入管法改正で「エスニックマーケット」さらに拡大
まずはフィリピン、ベトナムやネパールも視野に

  • 2019年7月28日(日)、GOOGLEニュースより
 今年の5月に創業40周年を迎えたアルファインテルは、南米に特化する旅行会社では唯一のIATA公認代理店として、ブラジルを中心とする在留外国人への航空券販売などで事業を拡大してきた。1990年の入管法改正による日系人の増加や、2008年のリーマンショックによる帰国者増などを経て、ここ数年は再び在留外国人の数が急増しているなか(昨年末時点で約273万人)、同社は現在の状況にどのようなチャンスを見出しているのか。また、今年4月の入管法改正を機に増加するニューカマーに対しては、何らかのアクションを起こすのか。取締役第二営業部長の塩脇清仁アルナルド氏に話を聞いた。インタビューの終盤には、ヴァリグ・ブラジル航空日本支社営業部部長などを歴任した取締役副社長兼営業本部長の小野田孝英氏も同席した。

-ご自身も海外のご出身と伺いましたが

塩脇清仁アルナルド氏(以下敬称略) 私はアルゼンチンのブエノスアイレスで生まれた日系2世で、18歳だった1989年に初めて来日しました。当初は留学生として勉強に励むはずでしたが、さまざまな事情が重なって、アルバイトで入ったアルファインテルの仕事が本業となって今に至っています。入社してから今年でちょうど30年になりますが、私にとってはこの会社が日本での学校でもあったということです。

-入管法改正で日系人が急増し始めた90年とほぼ同時期に来日されましたが、この30年間の在留外国人の動向をどのように見てきましたか

塩脇 80年代末から90年代にかけては、日系ブラジル人が大きく増加しました。日本で暮らす外国人の数そのものは、今とは比べものにならないほど少なかったですが、日系人については90年代から2000年代半ばまでが最も多かったのではないかと思います。日系のブラジル人やその他の南米人を主な顧客とするアルファインテルも、彼らが多く住むエリアに進出し、現在は名古屋市の中区と群馬県の大泉町に支店を構えています。
 流れが変わったのは08年のリーマンショックで、これを機に母国に帰る人が増え、日系人は減少に転じました。入れ替わるようにして増えているのが、技能実習生として来日する日系ではないアジア人です。最も急激に増えているベトナム人は、08年には4万人程度しかいませんでしたが、昨年末の時点で33万人にまで増えています。
法務省の最新の統計より。ベトナム人の伸びがめざましく、減少していたブラジル人も増加に転じている。韓国人は減少

-アルファインテルの現在の業況について教えてください

塩脇 日本発の南米旅行に勢いがあった2010年頃までは、ブラジルを中心に南米でのランドオペレーター事業を主力としていましたが、現在は在留外国人の里帰りや、家族の呼び寄せに使う往復航空券の販売が増えていて、全体の取扱高の60%程度を占めます。それ以外の一般的な旅行の取り扱いを含めれば、在留外国人相手の取扱高は80%近くに上り、残りがランドオペレーター事業となります。
 航空券販売における国別の割合は、主力のブラジルが60%、その他の南米が20%で、あとはここ数年で取り組み始めたフィリピンが20%近くにまで拡大してきました。市場構造や国別の構成比は変化し続けていますが、その都度さまざまな施策を打ったことで全体の利用者数は伸びており、中国と韓国を除く在留外国人による「エスニックマーケット」では、最大の顧客数を持っていると自負しています。
 スタッフについては、東京本社に17人、名古屋支店に8人、群馬支店に9人を配置し、加えて海外にも支店やコールセンターを設けています。社員の出身国は日本に加えてブラジル、ペルー、パラグアイ、アルゼンチン、フィリピンなど多国籍で、各国の出身者に対応できるようにしています。

-南米旅行専門の会社が、在日フィリピン人の取り込みを始めた理由について教えてください

塩脇氏塩脇 「在日南米人への航空券販売のノウハウを生かして、新たなマーケットを開拓できないか」と考えた時、日本における在留者数が多く、最もノウハウを活かせそうだったのが在日フィリピン人でした。フィリピンは他のアジアの国々とは違って、スペインとのつながりが非常に深い国ですが、その点では南米と共通しています。
 例えば、宗教に関してはともにカトリックが多数派で、家族の結びつきが強く、クリスマスには何とかして帰国しようと努力するなど、さまざまな面で共通点が見られ、我々もお客様の気持ちやニーズを理解しやすいです。その結果、取扱高はブラジルに次ぐ2番手にまで成長させることができました。

-急増している在日ベトナム人やネパール人などにも同様のアプローチは可能ですか

塩脇 ここまで急増しているベトナム人に対しても、取り組みを開始しなくてはいけないと考えていますが、同じ東南アジア人でもフィリピン人とベトナム人では、取り巻く環境や事情などが大きく違います。例えば、フィリピン人には日本人男性と結婚した人が多く、母国との行き来は比較的自由にできます。しかしベトナム人については技能研修などで来日したケースが多く、ビザの関係上、簡単に行き来するわけにはいかない事情があります。
 一方、ネパール人については往来が比較的自由な留学生などが多いので、どちらかと言えばフィリピン人と似た状況にあり、しかもネパール航空(RA)が近日中に日本線を再開する追い風もあるので、ベトナム人よりも先に取り組むことができるのではないかと考えています。そのほか、インドネシア人やタイ人については技能実習生が増加していて、状況はベトナム人に似ているので…と、それぞれのマーケットについて、環境を詳しくリサーチしていく必要があります。

-単なる航空券販売ではOTAの攻勢に押されるのではありませんか

塩脇 今のところは脅威ではありません。例えば在日ブラジル人の場合、20年から30年ほど前に来日した人が多いですが、ブラジルを離れて久しいので、ブラジルのOTA事情には疎く、一方で言葉の問題から日本のOTAにも馴染めない人が多くいます。「20年間も日本に住んでいるのなら、日本語には不自由しないだろう」と思われがちですが、長く住んでいても不得手な人はたくさんいます。ロサンゼルスで長く暮らしていても、英語を話せない日系人がいるのと同じです。
 一般的な日本人ともブラジル人と違う環境にある彼らにとって、新たに成長してきたOTAはやや縁遠いもので、不安もあります。実際に、OTAで航空券を買った方が、米国での乗り換えの際にトランジットビザが必要であることを知らず、成田で搭乗を拒否されたケースが起きたりしています。そこで結局は、電話で自分たちの言葉で話すことができ、これまでと同様に安心して依頼できるアルファインテルを選ぶ、というお客様が多いのだと思います。

-単に航空券を販売するだけでは不十分ということでしょうか

在日ブラジル人向けのフリーペーパーに掲載している見開き広告(クリックで拡大)塩脇 在日ブラジル人は、空港にお世話係の社員がいる旅行会社で航空券を買う傾向が強いと思います。語学力が不十分なので、少しのことでも不安が生まれますし、慣れない飛行機での旅行となればなおさらです。だから我々は、空港にはセンディング(見送り)のための社員を配置しています。
 しかし、国が変わるとニーズは全く異なり、例えばフィリピン人はセンディングに関して「なぜそんなことが必要なのか」と、一向に理解できない様子です。決済方法についても一通りではなく、クレジットカードを好むマーケットがあれば、ブラジル人のようにコンビニでの支払いを好むマーケットもあります。
 勿論、いずれはOTAも脅威になってくると思います。しかしそれまでには、我々もエスニックマーケットに限定した予約販売サイトを用意します。利用者のニーズを熟知した上で用意するので、競争力を発揮できると思います。まずは在日フィリピン人向けの予約販売サイトを開発し、今年中には提供を開始する予定です。

-航空券の仕入れに関して、取組状況をお聞かせください

塩脇 エスニックマーケットにおいて多くの顧客を抱えていることで、交渉力はあると考えており、航空会社からは比較的良いレートをいただいて、他の旅行会社への卸売りでも実績を上げています。航空会社に対しては、レートの交渉をするだけでなく「一緒に商品作りに取り組む」という考え方で、我々が利用者のニーズを汲み取り、航空会社にはニーズに見合った条件の航空券を提供していただきます。
 変更やキャンセルの可否、手荷物の重量制限、有効期間の長さなど、航空券は条件次第で売れたり、売れなかったりします。そして条件のニーズは国によって異なり、ニーズを外すとまず売れません。

-今後のマーケット開拓に向けた方針や、目標についてお聞かせください

塩脇 我々は在留南米人のマーケットではすでにナンバーワンのシェアを占めていると思いますが、今後はフィリピン以外にも積極的に着手し、エスニックマーケットのすべてでナンバーワンをめざしたいと考えています。とはいえ在日フィリピン人のマーケットでさえ、まだまだこれからといったところなので、まずはフィリピンの強化をはかります。
(左から)小野田氏、塩脇氏小野田孝英氏 欧州諸国では増加する移民を受け入れきれず、さまざまな問題が発生しているが、その一方で日本はまだまだ移民が少なく、人口当たりの人数は欧州の10分の1程度にすぎない。しかも日本は人口減少社会に突入しており、すでに労働力不足が深刻化している。これらのことを考えれば、今後は日本もさらに外国人を受け入れないと、地盤沈下を免れないのは明らかだろう。
 アルファインテルは、日本でも外国人が増えるこれからの時代を、一定のアドバンテージを持って迎えることができる。我々はそのことにこと、旅行会社として生き残れる可能性を感じている。

-ありがとうございました

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