Source:https://news.yahoo.co.jp/articles/00d3d1b2e1024d4b147bab1cde3926db2d8fc8d0
【列島エイリアンズ】 日本の中で、最も古く、そして最も大きい「異邦」をかたち作っているのが在日中国人コミュニティーだ。今や日本に居住する中国人は80万人とも言われている。もちろん、彼らの居住地はバラバラであるから、地理的に一塊のコミュニティーというわけではない。 しかし、在日中国人らはチャットアプリのウィーチャット(微信)やウェイボー(微博)などといった独自のコミュニケーションツールでつながっており、サイバー上には政令指定都市1つ分くらいの規模のチャイナタウンが形成されていると言っても過言ではない。 そんな在日中国人コミュニティーでは「店の経営者も来店する客も中国人のみ」という独立した経済活動が盛んに行われている。 例えば、JR池袋駅北口にある雑居ビルには、ネイルサロンや脱毛クリニック、タトゥースタジオなどが、日本人の目にはほとんど触れない形で営業している。なかには美容室、まつ毛エクステなどのように美容所開設届や国家資格が必要なサービスもあるが、「中国人客限定」で営業している店はまず、無届・無資格だと思っていい。 在日中国人コミュニティー内で完結するこうした業態の多くも、やはりコロナ禍の打撃を受けている。外出する機会が減ればオシャレや美容にカネを使わなくなるのは、どこの社会も同様だ。 もっとも、コロナ不況をどこ吹く風とばかりに大盛況なのが、中国人専用の風俗店である。 池袋駅北口一帯には、経営者、働く女性、客も中国人という風俗店が存在する。筆者はコロナ以前に、こうした風俗店の1つに潜入取材を試みたことがある。 その店は、JR池袋駅北口から徒歩3分ほど、中華料理店が1階に入るビルの上階にあった。扉を開いて中に入ると中年女性の店員に「初めてか」と聞かれ、うなずくと早口で「60分1万円、同じビル内にある小部屋か、近隣のホテルに移動してサービス開始」と説明された。 その後、サービスの詳しい内容について聞き出そうとしたところ、筆者の中国語の発音の悪さで日本人であることがバレてしまった。店内はちょっとした騒ぎになり、居合わせた女性従業員たちの罵声を浴びながら男性店員に力ずくで追い出されたのだった。 こうした中国人限定風俗店が、コロナ禍で職にあぶれた若い女性と、自粛生活の退屈を紛らわせたい男性を引き合わせる形で増殖している。 さらに取材を進めるとその独特で特異な実態が鮮明に浮かび上がってきた。 ■1都3県に住む外国人は120万人とも言われ、東京は文字通りの多民族都市だ。ところが、多文化共生が進むロンドンやニューヨークと比べると、東京在住外国人たちはそれぞれ出身地別のコミュニティーのなかで生活していることが多い。中韓はもとより、ベトナム、ネパール、クルド系など無数の「異邦」が形成されているイメージだ。その境界をまたぎ歩き、東京に散在する異邦を垣間見ていく。境界の向こうでは、われわれもまたエイリアン(異邦人)という意味を込めて。
0 件のコメント:
コメントを投稿