Source:https://news.yahoo.co.jp/articles/5ed0c51aa3366685668811c5d02a930c934818d6
国連が定める国際記念日「国際女性デー」は、女性の平等な権利や生き方について考える日。私たちも立ち止まって、自分自身のこと、身近な人たちのこと、そして世界中の女性たちの現状に目を向けてみたい。 【写真】影響力のある女性たちが送る、エンパワーリングフェミニスト名言集70 国連人口基金の佐藤摩利子・駐日事務所長は、「今起きているロシアのウクライナへの軍事侵攻や新型コロナウイルス感染症パンデミック、そして地球規模の気候変動でもっともダメージを受けるのは脆弱な人々、つまり、女児、女性、高齢者、マイノリティなどです。まさに世界はトリプルC(Conflict紛争・戦争、 Covid-19コロナ禍、Climate change 気候変動)の危機に瀕している今だから、女性や少女たちに与える影響が大きいことを知ってほしいと思います」と話す。 こうしたことによって当たり前と感じていた日常が失われるなか、一体女性たちにどんなことが起きているのだろう。佐藤摩利子・駐日事務所長のお話をもとに、女性たちの問題を数字に表すと多くのことが見えてくる。
1.3つの0(ZERO)ミッション
<2億1400万人以上>近代的な家族計画サービスへのアクセスがない人数 <1日830人>予防可能な妊娠や出産で命を落としている女性や少女 <3人に1人>世界中の女性が一生のうちで身体的または性的暴力を経験するといわれている数 <約4人に1人>18歳未満で結婚している開発途上国の少女 「SDGs実現のためにUNFPAが掲げているのが、2030年までにすべての男性や女性、若者を取り巻く世界を変えるための3つのZEROミッションです」と佐藤摩利子・駐日事務所長。 この3つのZEROミッションとは、まず、家族計画サービスへのアクセスが満たされない状況をZEROにすること。「近年増加率はやや減ってきたものの、この100年間の人口の増加は著しい。なかでも、出生率がいまだに高いのは、サハラ砂漠以南のニジェールやソマリアなどです。特に、貧しい農村地域では教育を十分に受けることができず、医療のアクセスがなく、家族計画のサービスを受けられていないのです」 次に、妊娠・出産による妊産婦の死亡をZEROにすること。「1990年以降、妊産婦の死亡率は減少しましたが、なお、途上国の少女たちが予防可能な妊娠や出産によって命を落としています。また、その多くが人道危機の場で起きているのです」 そして、3つめが、児童婚などの有害な慣習とジェンダーに基づく暴力をZEROにすること。
2.3つのCから目を離してはいけない
・Climate Change(気候変動) 2014 年から 2018 年にかけてウガンダでは干ばつの時期に、DV、性的虐待、女性器切除(FGM)の発生率がすべて増加、また、バングラデシュ、マラウイ、ネパール、フィリピンなど気候変動の影響を受けた国々では早期結婚が増加したという研究結果も。 <気温が 1℃上昇すると6%高くなる>出産前 1 週間の気温が 1℃上昇すると、高まる死産の可能性(5月―9月) ・Covid-19 Pandemic(新型コロナウイルス感染症パンデミック) <約1200万人>2020 年に家族計画サービスを受けられなくなった女性 <140 万件>上記によって、意図しない妊娠につながった可能性がある件数 <72%増加>2020年にエルサルバドルで増加した妊産婦死亡率 <最大100万人>新型コロナウイルスの感染拡大による学校閉鎖中に妊娠した結果、アフリカ全体で学校に戻れなくなる可能性のある少女の人数 ・Conflict(紛争・戦争) <400万人>イエメンで18歳までに結婚したとされる少女の人数 <2時間に一人>アフガニスタンの女性が出産とともに命を落としているとされる割合 <81人>ウクライナの首都キエフで2月26日(土)の夜、地下シェルターなどで出産をした妊産婦 <8万人>今から3カ月の間にウクライナで出産を予定している女性の数 「気候変動による自然災害が激甚化し、より頻繁に起こるようになり、直接的・間接的に妊産婦の健康に影響を与えています。新型コロナウイルスの感染拡大は、都市封鎖や外出制限によって性暴力を増加させた一方で、提供されるべきサービスの機会を喪失しました。今の世界はこれらが同時進行しているため、より、脆弱性が強調されることになったのです」
3.今、私たちにできること
「これらの危機が浮き彫りにしたのは、今、自分の体が自分のものかどうか、ジェンダーにかかわらず平等かどうかです。暴力を恐れたり、他人に決められたりすることなく、自分の体に関することは自分自身で選択すること、つまり、『からだの自己決定権』を誰もが手にすることが、将来を考える基本となり女性自身の力となるのです」と佐藤摩利子・駐日事務所長は強調。 たとえ大きな危機に直面していないとしても、身近で起きている“おかしいな”“正しくないな”と思うことを声に出すこと。「#生理の貧困もようやくオープンに語られるようになりました。去年の7月には『Let’s talk!in TOKYO』というイベントで、「生理」や「性」をテーマにした学生によるスピーチコンテストも開催されました。女性や若者がともに対話することが不可欠なのです」 佐藤駐日事務所長が語ってくれたように、見過ごしたりタブー視したりせず問題を洗い出し、みなで対話し解決法を模索していくこと。その1歩こそ、3つのCの影響を強く受けている女性や少女たちの力になる糸口かもしれない。
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