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【山岳偉人伝 入門編】 このシリーズでは、山岳の世界で偉大なる功績を残した人物の軌跡を、簡単にまとめていきたい。 【画像】エベレスト“初登頂”に編成した英国登山隊はなんと総勢400人!
■第3回 人類初のエベレスト登頂者のひとり エドモンド・ヒラリー
ヒラリーは、1953年5月29日にテンジン・ノルゲイとともに人類で初めてエベレストに登頂した人物である。この快挙がなされる前には、世界最高峰に挑んだ人々の苦闘の歴史があった……。 20世紀初頭、北極点、南極点初制覇を他国が果たしていたことから、イギリスは帝国の威信をかけて「第3の極地」エベレスト征服を目指した。 1921年以降、1930年代後半にかけて度々遠征隊が派遣されるが、いずれも登頂はならず。 第二次大戦の激化による中断を経て、挑戦が再開されたのは1951年。イギリス隊がネパール側からのルート探索を行う。この隊にニュージーランド隊のメンバーも合流することになるが、そのなかにヒラリーがいた。ニュージーランドはその国旗が表しているように、イギリス連邦の一角。イギリス隊にとってはいわば身内だった。
■登山界でも屈指の身長195cmの長身を誇る
ヒラリーは1919年、ニュージーランド北島の大都市・オークランド生まれだ。幼少時はどちらかというと身体が弱かったが、子どもの頃から家業の養蜂業を手伝い、蜂の巣箱を運ぶ作業を繰り返すことで足腰が鍛えられたという。思春期になると、ヒラリーの身長は急激に伸びた。高校時代にはなんと195cmに達した。著名な登山家のなかでも、これだけ長身の人物は珍しい。 登山を始めたきっかけは16歳の頃の学校行事で、ルアペフ山(標高2797m)を訪れたことだ。そこで山の魅力を知り、登山を本格的に始めたヒラリーは、20歳のときに標高1933mのオリヴィア山に登頂している。その後、家業である養蜂業に勤しんでいたが、第二次大戦が勃発すると、航空士としてニュージーランド空軍に従軍している。 その後、1948年にニュージーランド最高峰クック山(標高3724m)に登頂。そして、1951年に母国のヒマラヤ探検隊のメンバーに選出され、その帰りにイギリス隊と合流。結果的にこれがヒラリーを世界最高峰に近づけた。
■初登頂を目指した英国が編成した登山隊は総勢400人!
1952年にスイス隊が山頂から240mの地点まで到達する。そのため、翌年イギリスは是が非でも登頂を成功させようと万全の態勢を築いた。イギリス人登山家11名、ニュージーランド人登山家2名、ネパール人登山家2名、ポーター362名、シェルパ20名の総勢約400名によるスーパー登山隊を結成したのだ。そして、そのなかに、当時33歳のヒラリーと、38歳(諸説あり)のテンジンが含まれていた。 ヒラリーはエベレスト挑戦までに2万フィート(6096m)以上の高峰を11座制していた。また、テンジンは、過去にイギリスの隊に参加し、6度エベレストに挑戦した実績があった。2人は、脂の乗り切った状態で、最強ともいえるバックアップ体制でエベレストに挑むチャンスを得たのだ。 今日のエベレスト登山では、サミットプッシュは1隊1度が常識。ところが、当時は複数回が普通だった。ヒラリーとテンジンは、2番めのサミットプッシュ隊に選出された。第1の隊は山頂までわずか91mの地点まで登るが酸素ボンベの不調により登頂断念。こうして、ヒラリーとテンジンの隊にお鉢が回ってきた。5月28日、2人はシェルパのサポートを得て、頂上前の最終キャンプ地を設置。翌朝、頂上を目指して出発している。人類が初めて、公式に世界最高峰に辿り着いたのは、その日の11時30分のことだ。偉業達成は地球全体に大々的に報道された。 隊員37名は、国王エリザベス2世より戴冠メダルが授与され、更に1953年6月6日に大英帝国勲章ナイトの勲位を授与されサーの称号を得ている。 ただし、世界的英雄となったヒラリーの冒険はそこで終わらなかった。1958年にはイギリスの南極横断遠征隊に参加、南極点に到達している。2008年他界。葬儀は国葬だった。 エドモンド・ヒラリー Sir Edmund Percival Hillary 【1919年7月20日~2008年1月11日】 人類初のエベレスト登頂者。偉業達成後はサーの称号以外にも数々の勲章を得た。なお、2002年に息子のピーターとテンジンの孫タシ・ワンチュクが登頂50周年を記念してエベレストに登頂した。 ●ヒラリーはこんな人物だった10代の頃から身長が195cmもあった 王立ニュージーランド空軍の航空士だった ニュージーランド人だがイギリスの登山隊に参加した 人類で初めてエベレスト登頂に成功した エリザベス2世よりナイトの勲位を授与された その後、南極点の到達にも成功した ニュージーランドの紙幣に肖像画がプリントされた BRAVO MOUNTAIN編集部 登山、スキー、キャンプなど、幅広いジャンルの外遊びに精通した多彩なライター陣が贈るアウトドア情報サイト『BRAVO MOUNTAIN』(ブラボーマウンテン)双葉社刊行のスキー誌『BRAVOSKI』やアウトドア誌『soto』の厳選記事も掲載。人気の山域紹介や注目ギアの使い方など、山にまつわる魅力溢れたコンテンツを展開します。
BRAVO MOUNTAIN編集部
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