Source:https://news.yahoo.co.jp/articles/7d46964a0084e00b28ac749bdaf443187b1e9c11
【列島エイリアンズ】 「母国に家を建てる」という夢を持って技能実習生としてベトナムから来日したフンさん。副業としてウーバーイーツの配達員として不法就労に汗を流す一方で、単発のアルバイトを請け負うこともあるという。 そんななかでも特に印象に残る「奇妙な仕事」があったという。フンさんが、振り返る。 「簡単な仕事だった。ベトナム人のおじさんと一緒に電器屋を回って、スマートフォンを買うだけ。おじさんはベトナム人の在留カードと、その人のデビットカードや銀行の通帳をセットにして、たくさん持っていた。私の役目は、電器屋の携帯電話コーナーで、在留カードに書かれてあるそれぞれの名前で購入契約書にサインするだけ。おじさんは私と顔が似ている人の在留カードを選んで持ってきていたので、店員には何も疑われなかった。おじさんが運転する車で、1日で5件くらいの電気屋さんを回って、合計30件くらいの契約書にサインして、1万円もらった。購入したスマートフォンが、どうなったかは知らない。多分おじさんが転売したと思う」 実は最近、ベトナム人をはじめとする外国人名義で契約されたスマートフォンが、いわゆるトバシ携帯として犯罪に使用される例が増えている。 詐欺事情に詳しい加藤・浅川法律事務所の加藤博太郎弁護士もこう語る。 「ベトナム人留学生など、コロナ禍をきっかけに帰国することになった在日外国人が、小遣い稼ぎに自分名義の在留カードや銀行口座などを転売するという例が増えている。彼らの名義で契約された携帯電話や銀行口座は、振り込め詐欺などの犯罪に利用されることが多いのですが、名義人が帰国してしまっていれば警察も追跡が難しい」 1月21日には、ベトナム人民軍の幹部候補生で防衛大学に留学中だった男が、在留カードやキャッシュカード、学生証などをSNSで知り合った別のベトナム人に7万円で売り渡したとして、出入国管理法違反容疑などで警視庁に逮捕されている。 警視庁は、男の在留カードが3台の携帯電話の契約に使用されたことを確認しており、特殊詐欺グループに悪用された疑いがあるとみているという。 フンさんが「おじさん」と出会ったのも、Facebook上の在日ベトナム人コミュニティーだという。そのコミュニティーをのぞいてみると、「銀行口座買います」や「学生証から運転免許証まで完全コピー可能」などなど、いくつもの怪しい書き込みが投稿されていた。 ■1都3県に住む外国人は120万人とも言われ、東京は文字通りの多民族都市だ。ところが、多文化共生が進むロンドンやニューヨークと比べると、東京在住外国人たちはそれぞれ出身地別のコミュニティーのなかで生活していることが多い。中韓はもとより、ベトナム、ネパール、クルド系など無数の「異邦」が形成されているイメージだ。その境界をまたぎ歩き、東京に散在する異邦を垣間見ていく。境界の向こうでは、われわれもまたエイリアン(異邦人)という意味を込めて。
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