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世界幸福度報告書、新たな「暮らしの質」指標の順位を発表 国の経済力との相関関係はあるが、韓国は例外 「他人より自分に集中」の割合は世界6位 幸福度ランキング1位はフィンランド、バランスと調和の点数も1位
先日、国連の諮問機関である持続可能な開発ソリューション・ネットワーク(SDSN)が発表した「2022年世界幸福度報告書」には、同報告書作成10年にして初めて、新しい指標の順位が掲載されている。暮らしの質を評価する指標として「暮らしのバランスと調和(Balance and harmony)」を基準として並べたものだ。 韓国人の暮らしのバランスと調和の順位は89位。およそ150カ国の中で下位圏に属する。経済力(1人当たりの国内総生産)の順位(26位)はもとより、幸福度の順位(59位)にもはるかに及ばない惨めな成績だ。幸福度の最上位圏である北欧諸国がこの部門でも最上位圏を占めている。 バランスとは、文字通り様々な要素や力のバランスがとれていることを言う。どちらか一方に偏ってはいないということだ。調和とは、これらの要素のつり合いが取れ、肯定的な影響を及ぼし合っている状態を言う。 報告書がバランスと調和を幸福度調査に追加したのは、既存の幸福研究は西欧中心的価値に偏っているとの指摘を反映したものだ。報告書の作成チームは2019年、日本のWell-being for Planet Earth財団との共同研究を通じ、東洋的価値を反映した9つの新たな項目をアンケート調査に加えた。 このうち4~5つがバランスや調和に関するものだ。バランスと調和は暮らしの特定領域に限られるものではなく、感情や性格、睡眠、食事、運動、仕事と暮らし、対人関係、自然、社会、政治などのすべてを貫く概念だ。 研究チームの問いは次のようなものだ。「あなたは暮らしにおいて、様々な側面のバランスが取れていると感じるか」(バランス)、「あなたは暮らしにおいて平和を感じるか」(平和)、「昨日は1日の中で平穏を感じたか」(平穏)、「あなたは興味深い暮らしと平穏な暮らしのうち、どちらを好むか」(平穏な暮らしの選好度)、「自分自身のケアに集中すべきだと思うか、あるいは他人のケアに集中すべきだと思うか」(自分-他人の優先順位) バランスと調和は一般的に東洋圏で重視されてきた暮らしの価値だ。実際に東洋圏の人々の暮らしは、このような価値へと近づいているのだろうか。蓋を開けてみた結果は全く異なっていた。 韓国人で「暮らしのバランス」が取れているとしたのは10人中6人のみ 「暮らしの様々な側面のバランスが取れていると感じるか」という問いに、「感じる」と答えた韓国人は60.6%のみで、順位は89位だった。日本も69.2%で73位にとどまった。中国は85.3%で13位、台湾は85.2%で14位だったが、東アジア圏を貫く傾向は見られなかった。 「バランスが取れている」との回答の率が最も高かったのは幸福度1位のフィンランドで、90.4%(マルタも1位タイ)だった。続いてスイス、ルーマニア、ポルトガル、リトアニア、ノルウェー、スロベニア、デンマーク、オランダが89~87%でトップ10位に入った。 西洋国家群(西欧と米国、カナダ、オーストラリア、ニュージーランド)と東洋国家群(日本、韓国、中国、香港、台湾、モンゴル)に分けて比較した結果でも、西洋国家群が81%で、東洋国家群(71.2%)およびその他の国家群(69.0%)よりも高かった。西洋国家群の中でも北欧(86.4%)が最も高かった。 一方、カメルーン、コンゴ共和国のブラザビル、ガボン、ザンビア、ベナン、ウガンダ、レバノン、マリ、ジンバブエの9カ国は、暮らしのバランスが取れているとの回答の割合が20~49%で半分に満たなかった。 上位10カ国を占めるのは欧州の先進諸国で、下位10カ国はほとんどがアフリカの貧しい国々だった。同報告書は、暮らしのバランスは国の経済力との多少強い相関関係があると述べている。しかし、韓国はこのような傾向からかなり外れている。 10人に7人は興味深い人生より平穏な人生を望んでいる 「暮らしにおいて平和を感じるか」においても似たような傾向が示された。東洋圏より西洋圏の方が「感じる」の割合が高かった。特に北欧圏が高く、先進国は発展途上国よりはるかに高かった。 「1日の中で平穏を感じたか」は多少異なる様相を呈した。ベトナム、ジャマイカ、フィリピン、キルギスタンが1~4位となった。北欧圏ではフィンランドが5位で唯一トップ10入り。ワースト10もネパール、イスラエル、インドなどの非アフリカ圏がほとんどを占めた。 どのような人生を望むかについての調査では、全世界の回答者の74.3%が平穏な暮らしを選んだ。興味深い暮らしを選んだ人は17.4%にとどまった。報告書は「相対的に貧しい国ほど平穏な暮らしに対する選好度が高かった」とし「貧しい国の人々が平穏を経験する可能性が低いだけに、それがより魅力的に感じられるのだとみられる」と分析した。 自分と他人のどちらを優先するかという問いにおいても、西洋は個人主義、東洋は集団主義の価値観が優勢だろうとの固定観念は覆された。アジア諸国が自分自身を優先するという回答率で最上位を占めたのだ。フィリピン(89%)が最も高く、インドネシア、タイ、カンボジアと続いた。韓国も77.2%で6位だった。一方、他人を優先するのトップ10には、欧州諸国が6カ国(オーストリア、ドイツ、オランダ、リトアニア、ベルギー、イタリア)も入った。グループごとにまとめてみても、他人を優先するとの回答率は西洋国家群(44.6%)の方が東洋国家群(25.4%)よりはるかに高かった。 世界全体では47.9%が自分を、27.8%が他人を選んだ。22.8%は両方を選択した。 暮らしのバランスを高める要因 同報告書は、回答者の回答を個人の特性と比較したところ、年齢、結婚、健康、友人、自由、寛大さ、機関に対する信頼度、否定的感情(心配、ストレス、怒り、悲しみ)の弱さ、喜び、笑いなどのすべてが、暮らしのバランスが取れているとの感覚を少なくとも5%向上させることにかかわる重要な予測因子であると分析されたと明らかにした。 報告書によると、ドイツを含む7カ国で幸福についての基礎認識を調査したところ、人々は心理的にバランスと調和のとれた状態のことを幸福と考えていた。同報告書は、幸福のことを内的平和、満足、バランスが実現した状態を意味する「内的調和」と定義する研究結果を紹介しつつ、心理的バランスと調和こそ幸福感を左右するもう一つの重要な要因だと強調した。 クァク・ノピル先任記者 (お問い合わせ japan@hani.co.kr )
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