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観光客に京都で「祇園精舎ってここから何分くらいかかりますか?」と聞かれたとき、なんと答えるべきだろうか? 【写真】「えっ?この辺にないんですか」…話題になったツイートを見る 学生時代に古典の授業で「祇園精舎の鐘の声、諸行無常の響きあり」から始まる『平家物語』の冒頭を暗記した覚えがあるだろうか。その答えをつぶやいた、みえっぱりな京都人botさん(@kyoutojin_bot)にお話を伺った。 観光客「祇園精舎ってここから何分くらいかかりますか?」 私「多分半日以上かかります」 観「えっ?祇園精舎って、この辺にないんですか」 私「インドですね」 観「えっ?平家物語の祇園精舎ですよ?」 私「インドですね」 そう、祇園精舎はインドだったのだ。 ◇ ◇ 【祇園精舎】(梵語/サンスクリット語 Jetavana-vihāra) 須達(しゅだつ)長者が中インドのコーサラ国舎衛城の南に釈迦およびその弟子のために建てた僧坊 <広辞苑より> ◇ ◇ インド北部のネパールと国境を接する地域に栄えた古代インドのコーサラ国にあった寺院で、現在は遺跡が残る。ちなみに本当に鐘があるのかどうか確認したところ、30年以上前、祇園精舎に鐘がないことを残念に思った日本人の有志達が祇園精舎に鐘を贈っていた。現在もその鐘は静かに佇んでいるそうだ。 ツイッターでは、 「え、京都にないんですか」 「京都に住んでた時でさえ「このへんにあったんやろな」って認識だった…」 「祇園にあるお寺だと思われてるのかw」 など数多くの反響があり、なかには、「江戸時代の日本人は、カンボジアのアンコールワットのことを祇園精舎と勘違いし、多数の日本人が、祇園精舎と錯覚したままアンコールワットを訪れたそうです」と、さらなるプチネタを投稿する人も。これらの反響から、祇園精舎は京都にあると思い込んでいる人が結構な割合でいることが浮き彫りになった。 こんな風に、読むとちょっと賢くなった気がする京都のトリビアや雑学、京都あるあるネタをご親切に呟きまくるみえっぱりな京都人botさん(@kyoutojin_bot、以下みえ京さん)。京都人の矜持を持ってはんなりと謙遜しながらツイートすることで人気を集めている。 ちなみにbotというからには、自動投稿しているのかと思いきやガッツリ手動なのだそう。その呟きには、地元愛が溢れつつも時にインテリジェンスな香りが漂うこともあり、中の人は博識な人物に違いないと想像を掻き立てられる。 一体何者なのか?と取材したところ、みえ京さんは生まれも育ちも京都なメンバーを中心に複数人で運営。とある国立大学の理系学部出身で男女混合の友人同士だという。今回は、みえ京1号さん(男性)にお話を伺った。 ――観光客が祇園精舎=祇園をイメージして、地元人に聞くことはよくあることなのでしょうか? もしくは、野暮ですが、京都市民あるあるの定番ネタなのでしょうか? 「聞かれたのはこの時1回だけです。学生時代に寺社で観光ガイドのアルバイトをしておりまして、実際にあったことを呟いたら、結構な反応があったので、おもろいなと」 ――意外にも定番の京都あるあるでは無いのですね。ちなみにこのツイートを呟いた時には反響を想定していたのですか? 「今までの雑学ツイートにもそれなりに反応はあったのですが、ここまでバズったのは、今回が初めてですね。昔に一度呟いていた内容の焼き直しやったので、ここまでウケるんやと驚きました。 ただ普通に京都の雑学を呟いてもおもんないので(おもしろくないので)、これからも切り口を変えて、地元愛に持っていけたらと思っています。結構、京都への地元愛はあるけれど普段表に出せない人が、我々の呟きで『ちゃうねん、それって~やから』みたいに反応してくれたりすると嬉しいですね」 ――確かに今回のツイートは地元人らしき方からも「知らんかったわ…てっきり祇園社(八坂神社)あたりのどっかのことだと思いこんでた」「祇園さんならあるけど神社」みたいな反応がありましたね。実際に聞いてきた観光客は祇園や八坂神社(祇園さん)に行きたかったのですか? 「いや、その女性の方に色々話を伺っていると、最終的にはチョコの店(ショコラトリー加加阿365祇園店)に行きたいらしく。それやったら、祇園ですねと」 ――チョコのお店に行くのに「祇園精舎」が出てくるのにもビックリですが、真面目に「インドですね」と返したみえ京1号さんも博識で、この妙に知的なやり取りに対して、「京都人らしい返し」というコメントが付くのも納得です。 「いや~、ただ雑学が好きなだけです。色々な反応がいただけて嬉しい限りです
ライバル奈良県民botさんとの漫才風な掛け合いも注目
実は、このインテリなみえっぱりな京都人botさんには、なんと強力なライバルがいる。古都の座を互いに譲らない関係である卑屈な奈良県民botさん(@nntnarabot)だ。 こちらも、ちょっぴり都会な京都に卑屈感!? を醸し出しながら、溢れる奈良愛と京都より深い歴史への自負とともに奈良あるあるの雑学から県政へのご意見まで、博識ぶりは負けてはいない。ツイッター上で、まるで漫才の掛け合いのようなやり取りを繰り広げ、ツイッター民を和ませてくれている。 ――そういえば、ライバルの卑屈な奈良県民botさん(以下、卑屈さん)からも「万バズおめでとうございますぅ~♡(嫉妬の炎を燃やしながら」と温かなリプライや「京都botがなんかバズってますねえ(嫉妬)」の引用リプライが送られていましたが、どんなお気持ちですか? 「ほんまご丁寧にリプライと引用リプライの両方をしてくれて、嗚呼、なんて優しい方やなぁ。さほどバズってないツイートにわざわざありがとうございますという気持ちです」 ――なんだか愛あるイジリ?が両アカウント間の美しい友情を感じさせますね。もはやライバルではなく、マブダチですね。 「マブダチだなんて畏れ多い…。面識のないところからスタートして、こちらからリプを送らせていただいていたら、今では京奈南北会談(オフ会)を行い、鹿せんべいを食わさ…いや、ご馳走していただいたほどの仲になりました。実は、卑屈さんと我々は中の人が一緒説、自作自演説があるんです。ほんまに違うんですけどね」 ――それはそれは。私(記者)は奈良県民なので、京都と奈良の友情には涙がこぼれんばかりです(笑)。そして、皆さん中の人に興味津々なのですね。 京都あるあるネタを溢れんばかりの知識と京都人らしい丁寧な物腰で呟くみえ京さん。とうとう卑屈さんに先んじてライターデビューを果たすというので、今後がますます楽しみだ。そして、みえ京さんは最後に「今後とも長々と楽しくお付き合いしていただけたら」と卑屈さんへ熱いラブコールを送った。 余談だが、みえっぱりな京都人botさんがバズった3日後に卑屈な奈良県民botさんも負けじとツイートがバズっている。両アカウントの今後の熱い友情にも期待したい。 (まいどなニュース/Lmaga.jpニュース特約・いずみゆか)
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