Source:https://news.yahoo.co.jp/articles/af61bb88f95eb7cf203facb9dfac5cc9eb831121
配信、ヤフーニュースより
【列島エイリアンズ】
外国人が日本に入国する際にパスポートに貼付される上陸許可証を偽造し、都内のゲーム販売店で提示した中国籍の男2人が先日、警視庁に逮捕された。彼らは、日本の居住者であるにもかかわらず、外国人旅行者などの短期滞在者を対象にした消費税の免税制度を利用してゲーム機を購入するのが目的だった。警視庁は、免税価格で購入したゲーム機を転売し、利ざやを得ようとしていたとみている。
そもそも、免税が認められるのは個人使用を前提とした物品の購入に限定されており、転売用の商材を免税購入することは制度の不正利用ということになる。
今回は、パスポートの顔写真が本人と別人だったことを不審に思った店員が110番通報し、事件が発覚したというが、偽造上陸許可証を使った免税購入は、かねてから外国人転売ヤーグループの常套手段とされてきた。
上陸許可証は、通常の郵便切手2枚分程度の大きさのシールで、上陸許可日や在留期限、在留資格、在留期間などが記されている。国税庁は、免税販売をする際にはこの上陸許可証の在留資格が「短期滞在」などになっていることを確認するよう、各店舗に義務付けている。
しかし、上陸許可証は、ホログラムやエンボス加工のような仕掛けも特になく、現代の印刷技術をもってすれば偽造も容易だ。毎日のように多数の外国人に免税販売を行っている店舗ならともかく、上陸許可証を見慣れていない一般人には偽造の判別は無理だろう。事実、中国のSNS上では偽造の上陸許可証を購入することも可能である。
また、転売グループなどがSNSなどで募集した訪日観光客を免税店に同行させ、彼らの名義で物品を免税購入するという手口も横行している。非消耗品の場合は免税対象金額に制限がないため、理論上は一人の訪日観光客の名義で無限に免税購入することができる。名義を借りた訪日観光客に、謝礼として数万円を支払っても、十分に元が取れる。
そんななか、国税庁に免税品の不適切販売を指摘される例が続発。最たる例は中国人転売ヤーの巣窟として知られるアップルストアだ。
アップルジャパンは、2021年9月期までの2年間の免税売り上げのうち、約1400億円については免税販売の条件を満たしていないと指摘され、過少申告加算税を含めて約140億円を追徴課税されている。
三越伊勢丹や阪急阪神百貨店、大丸松坂屋、さらには会員制量販店のコストコも、転売行為が疑われる外国人客に免税販売していたとして、それぞれ億単位の追徴課税を受けた。
いずれも免税制度の不正利用を見逃した販売側の落ち度が問われたワケだが、民間にのみ責任を押し付ける政府の姿勢には首をかしげざるを得ない。政府が定めた免税制度が、あまりにも抜け穴だらけだからだ。 =つづく
■1都3県に住む外国人は120万人とも言われ、東京は文字通りの多民族都市だ。ところが、多文化共生が進むロンドンやニューヨークと比べると、東京在住外国人たちはそれぞれ出身地別のコミュニティーのなかで生活していることが多い。中韓はもとより、ベトナム、ネパール、クルド系など無数の「異邦」が形成されているイメージだ。その境界をまたぎ歩き、東京に散在する異邦を垣間見ていく。境界の向こうでは、われわれもまたエイリアン(異邦人)という意味を込めて。
■奥窪優木(おくくぼ・ゆうき) 1980年、愛媛県出身。上智大学経済学部卒。ニューヨーク市立大学中退後、中国で現地取材。2008年に帰国後、「国家の政策や国際的事象が、末端の生活者やアングラ社会に与える影響」をテーマに取材活動。16年「週刊SPA!」で問題提起した「外国人による公的医療保険の悪用問題」は国会でも議論され、健康保険法等の改正につながった。著書に「ルポ 新型コロナ詐欺」(扶桑社)など。
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