2020年1月8日水曜日

セールスフォースCEOが明かす、ビジネススクールでは学べないこと

Source:https://headlines.yahoo.co.jp/article?a=20200101-00031204-forbes-soci

1/1(水) 、GOOGLEニュースより

マーク・ベニオフは1996年、オラクルでの幹部職を長期にわたり休み、インドとネパールを旅した。ベニオフは道中、新しい種類の会社とはどんなものになるかについて、考えをめぐらせた。

そして数年後、そのアイデアを基に、スタートアップ企業セールスフォース・ドットコムを立ち上げた。ベニオフの大胆なビジョンは、従来の企業向けソフトウエア市場をひっくり返すことだった。

ベニオフのソリューションは、アマゾン・ドット・コムやイーベイのように使いやすく、インストール用CDを使わずともブラウザからアクセスできるソフトで、料金プランも手頃だった。

だが他にも重要な点があった。それは、価値観へのフォーカスで、信頼や顧客の成功、革新が(そして後には平等も)重んじられた。これらは社会への還元(利益・製品・時間の1%を慈善活動に投じること)や、より崇高な目的へのコミットメントによって支えられた。

そして同社は言うまでもなく、巨大企業に成長した。セールスフォースの時価総額は1300億ドル(約14兆円)を超え、従業員は3万5000人、売上高は130億ドル(約1兆4000億円)以上だ。

ベニオフは新著「Trailblazer: The Power of Business as the Greatest Platform for Change(仮訳:先駆者 変化に向けた最大のプラットフォームとしてのビジネスの力)」で、この驚異的な旅について詳述している。そのメッセージはとても明確で、企業の価値観は成功に向けた「最も強い原動力」となる、というものだ。

ベニオフは同著で、セールスフォースが重きを置くことを一つ一つ取り上げ、力強いエピソードと共に紹介し、貴重な教訓を示している。以下にその一部を紹介する。

信頼

成長に執着すると、近道をしたくなる。そうなると最終的に、信頼が弱まる結果となる。これは企業を弱体化させ、時には破滅させすらする。

ベニオフはしばしば、この成長と信頼のジレンマに苦戦した。その一例が、サイト障害が起きた時のことだ。同社にとっては悪夢のような状況で、沈黙を保つか、言い訳をしたい衝動にかられた。

だがそうすると、信頼は生まれるだろうか? そんなはずはない。ベニオフは本能的に、別の方法が必要だと感じた。そのためチームにダッシュボードを作らせ、リアルタイムでのシステムパフォーマンス状況、メンテナンス計画など、サービスの主要な指標を提供した。完全な透明性を推進したことで、危機をポジティブなものに変え、顧客忠誠度を高められた。
顧客のニーズに対して徹底的に注力
顧客の成功

ベニオフは常に顧客のニーズに対して徹底的に注力していた。そのため2013年、最大の顧客であったメリルリンチ銀行がセールスフォースのサイトは動作が重く、複雑だと考えていると知った時、ベニオフはショックを受けた。セールスフォースはメリルリンチ銀行から今後の取引を凍結する措置さえも受けた。

これは自省を促す大きなきっかけとなった。だが最終的に、この経験はセールスフォースをより強くした。ベニオフは、自社が「フィーチャー・クリープ(機能の追加を繰り返すことで複雑で使いづらくなること)」の罠にはまり込んでいることに気づいた。言い換えれば、顧客のペインポイント(悩みの種)理解に再度集中する必要があった。

ベニオフはアルバート・アインシュタインによる次の言葉を引用している。「もし問題解決のために1時間があるなら、私は55分で問題について考え、5分で解決方法を考える」

資本主義の新時代

ベニオフの著書は楽観的で、企業には(その規模に関わらず)世界をより良い場所にする力があることが書かれている。だが、これは株主価値のような狭い利害関係を超え、従業員や顧客、コミュニティーといったステークホルダーに注目することを意味する。そして全ては決断の根拠となる明確な価値観の設定から始まる。

ベニオフが書いているように、「今はもはや、成長と還元のどちらか、利益獲得と公益促進のどちらか、イノベーションと世界をより良い場所にすることのどちらかを選ぶという話ではない。必要なのはその両方だ。成功と善行は切っても切れない関係になっており、同じミッションの一部だ。そうするのが正しいからという理由だけではなく、従業員や顧客がそれを求めているのだ」。
Tom Taulli

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